一首一首が鋭い遺書のような春日井建の歌は清々しさと潔さに満ち、一言一言に気品が漂います。ダンディズムと呼びたいようなこうした歌風は、意外と現代短歌には少ないものです。日本のふつうの世間の価値観や倫理を静かに完璧に拒み、たんなる歌人ではなく、まさに全霊の詩人として生涯を全うした人、という気がします。
近代短歌のど真ん中に居た最後の本格派の大物、土屋文明。堅苦しいつまらない短歌ばかりかと思いきや、とんでもない、近代でも滅多に出なかったような破壊僧ふうの歌風でした。ちょっと多めに選んでおきましたが(それでも少なすぎる!)、必要とあれば韻律も歌の固定概念も平然と吹っ飛ばす天衣無縫の作り方をとくとご覧あれ。短歌を破壊してやるとか、新たな歌風を打ち立ててやるとか、気炎を吐く前に、短歌そのものを演じ切って100歳まで生きたこの怪物の歌をよくよく読み込んでおきましょう。
◆ 春日井建 (かすがい けん) 一九三八~二〇〇四年◆
大空の斬首ののちの静もりか没(お)ちし日輪がのこすむらさき
童貞のするどき指に房もげば葡萄のみどりしたたるばかり
太陽が欲しくて父を怒らせし日よりむなしきものばかり恋ふ
弟に奪はれまいと母の乳房をふたつ持ちしとき自我は生れき
いらいらとふる雪かぶり白髪となれば久遠(くおん)に子を生むなかれ
青嵐過ぎたり誰も知るなけむひとりの維新といふもあるべく
爾後父は雪嶺の雪つひにして語りあふべき時を失ふ
男とや沈めとや水圏に棲むものの冷たかりける皮膚の誘へる
仰向けの額に晩夏の陽は注ぎ微笑まむ若年といふは過ぎきと
死ぬために命は生るる大洋の古代微笑のごときさざなみ
今に今を重ぬるほかの生を知らず今わが視野の潮しろがね
死などなにほどのこともなし新秋の正装をして夕餐につく
いづこにて死すとも客死カプチーノとシャンパンの日々過ぎて帰らな
今年また見しといふ程の花ならずさるすべりの白群がりて咲く
椅子に凭(よ)る老人が父たりしこと思ひ出づかの夜の地下鉄
てのひらに常に握りてゐし雪が溶け去りしごと母を失ふ
打ち寄せる波の白扇見てあれば礼節を知れといふ声はして
◆土屋文明 (つちや ぶんめい) 一八九〇~一九九一◆
細(ほそ)より尾根を横行き冬野の道教へし娘を上村老人覚えてゐる
知事筆を揮ひて家持の歌碑を立てり泥を飛ばしてトラック往反す
富の小川佐保川に合ふところみゆ二川(ふたかは)静かに霧の中に合ふ
立ちかへり立ちかへりつつ恋ふれども見はてぬ大和大和しこほし
老あはれ若きもあはれあはれあはれ言葉のみこそ残りたりけれ
年々に若葉にあそぶ日のありてその年々の藤なみの花
望(もち)の夜(よ)の月はいでむと水の音の静けき山の下をてらしぬ
ゆふがほの葉下(はした)にのびて覚束(おぼつか)な豆の花には露のしたたる
貧と窮と分ち読むべく悟り得しも乏(とも)しき我が一生(ひとよ)なりしため
消極に消極になるを貧の慣(なら)はしと卑(いや)しみながら命すぎむとす
人を悪(にく)み人をしりぞけし来し方(こしかた)もおぼろになればまぬがるるらむ
ふらふらと出でて来りし一生(ひとよ)にてふらふらと帰りたくなることあり
生みし母もはぐくみし伯母も賢からず我が一生(ひとよ)恋ふる愚かな二人
母に打たるる幼き我を抱へ逃げし祖母も賢きにはあらざりき
乳足らぬ母に生れて祖母の作る糊に育ちき乏しおろかし
寺を出でて冬の日しづかに歩みゆく妬(ねた)みも無けむ生きてゐることは
テグスに代るナイロンも上等は惜しむといふ茜(あかね)さす夕凪(ゆふなぎ)の海に向ひて
葵藿(きかく)の葵(あふひ)ははたしてフユアフヒなりや否や苗を収めて来む春に見む
葵藿の葵をヒマハリとする博士等がまだ絶えないのも仕方がない
船ゆかずなりたる水は竪川(たてかは)も横川もなべて浮く木の溜め場
この河岸(かし)に力つくしてあげし飼料或る時は藁(わら)在る時は甘藷澱粉糟(かんしよでんぷんかす)
木綿(もめん)織らずなりし真岡の町出でて田圃(たんぼ)道には箕直(みなほ)しが歩いてゐる
過ぎし人々いかにか山の湖(うみ)に上り来し別して明治四十二年左千夫先生
下り立ちて川見る時に嫗(おうな)来て橋の上よりごみを投げ込む
時雨来む七尾(ななを)の海に能登島に乗らむ船待つ牛乳を飲みて
原爆をまぬがれし与茂平亡きことも赤電話して知る関係なき菓子店に
敷物も代へたのにゴキブリは不思議不思議子等は言へどもまこと出ありく
背のはげし本の膠(にかは)はゴキブリの好(よ)き餌(ゑさ)といへど防ぐ術(すべ)なし
寝台古(ふ)りわらやはらかに馴(な)れたればここを城とし籠るゴキブリ
置く毒に中(あた)り死にたるゴキブリか後を頼むとわが枕がみ
眠る前の面に来りて散歩するゴキブリを憎む無告の被害者
何の為にゴキブリ我がまはりにはびこるか背のはげ並ぶ本を見るかな
本郷新花町(しんはなちやう)七十年前貸二階(かしにかい)に我を攻めしは小形のゴキブリ
食をつめる如き明け暮れの幾月か我とゴキブリ残し世帯主は夜逃(よにげ)
蚊が来なくなりしと思へばゴキブリか吝(をし)みつづける暖房のため
2009年6月24日水曜日
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臼井慶太さんの歌は、コメントがうまくいかなかったようで、メールのほうに届けられました。ここに転写しておきます。(藤原夏家)
返信削除突然ですが
早稲田大学第二文学部 表現芸術系演習34 を履修している
1D040094-8 臼井慶太 と申します
投稿がうまくいかない(というより上手くいかなかったら困るので)のでメールにて送信します
アスファルト湿った匂い雨の兆し今年もゲリラひそんでいる
丸氷回していくと融けてゆく悩みも解ければと望んでみる
酩酊し傾いた首傾奇者日本経済傾いている
政治家の私利私欲で動かすな高い税金払っているのに
戦国の武将のようなカリスマが今となっては草食男児
大学は授業料と単位を交換する場所なのです
次こそは決めてやるぞと頭の中BGMは威風堂々
携帯にwasedaにグーグルに実は私も住所不定?
雨、突然フォルテッシモ指揮者の狂ってしまったオーケストラ
乱高下不安と期待終わりの無い崩れかけのジェットコースター
パソコンは難解複雑でも実際0と1の集合体
以下の通り30程つくってみましたが良いものが少ないので上記のものを提出します
アスファルト 湿った匂い 雨の兆し 今年もゲリラ ひそんでいる
丸氷 回していくと 融けてゆく 悩みも解ければ と望んでみる
酩酊し 傾いた首 傾奇者 日本経済 傾いてきた
気になって 無心になれず 寝れぬ日々 もう一週 まだ一週
後悔を する度思う あの頃に 遊び過ぎてた つけがきたのか
G1の ファンファーレ 新緑に 儀式のようだ 馬に託す夢
なぜだろう スーツを着ると 雨が降る 嫌な予感を 何度も感じた
あと一杯 飲んだら帰る と言いながら もう一杯飲んで 気分良くなる
ブレーキを かけずに進んだ 今までの 勢いはどこに 行ったのだろう
年数を 重ねるごとに 愛着が わいてきたかな 6年目
六年間 通った校舎 取り壊し 村上春樹も 学んでいたのに
夕焼けで 赤く染まった 岩肌は 脳裏に焼きつく 美しき絶景
政治家の 私利私欲で 動かすな 高い税金 払っているのに
雨上がり 一服外に 出てみたら 蚊にさされた 今年もきたな
経済を 動かす者の 私利私欲 あまりに醜く 笑えてくるわ
突然の ゲリラ豪雨 吹きつける ビニール傘 また壊れた
パソコンは 難解複雑 でも実際 0と1の 集合体
弾く玉 回るデジタル 当たらない やってられるか パチンコなんか
戦国の 武将のような カリスマが 今となっては 草食男児
やってくる 忘れた頃に 今年も来た 住民税 高額過ぎる
大学は 授業料と 単位を 交換する 場所なのです
次こそは 決めてやるぞと 頭の中 BGMは 威風堂々
そびえ立つ 天に向かって 霊峰は 日本古来の 大和魂
針を置く 回るレコード プツプツと レコードプレーヤー アナログはいい
レバレッジ 膨れ上がり 破綻する 同じ過ち なぜ繰り返す
乱高下 不安と期待 終わりの無い 崩れかけの ジェットコースター
携帯に wasedaに グーグルに 実は私も 住所不定?
雨、突然 フォルテッシモ 指揮者の 狂ってしまった オーケストラ
80‘s 流れていると 思い出す ギターを始めた 中学生を
もし今、 イエスとアラーが 出会ったら いったい何を するのだろう?
○朝ごはん食べたら次は昼ごはん仕上げは夜の晩ご飯
返信削除○六月は毎日メロンを食べました。七月はスイカだ。八月はなんだ。
○アンデス タカミ クインシー アムスにアールス 六月メロン
○吸ってないのに煙草臭い 八百屋の親父は超やばい 安全地帯はメロンだけ
○六月は毎日メロンを食べたのか八百屋の煙草に慣れたのか
○四方八方ギラギラ視線を放つゴキブリが見ているのは床
○ありがとんぼ どういたしましてんとうむし ムシいないのに虫がいる毎日
○毎日を日々平穏に過ごしていたら光が砕けた。マイケルが死んだ。
ゆるりです。
返信削除マイケルが亡くなったのはやっぱり驚きますよね。
特別ファンなわけではありませんが、CD聴いてみようかなと思いました。なんとなく動機が不純な気もしますが。
2首です。
右が欠け左下欠け、メロンパンの表皮 ぼろり。 と黄色き星の砂
「ウーロンハイ!」「百年梅酒。」「生中ねー!!」カシスオレンジ乙女のしるし?
大沼です。
返信削除申し訳ありません。今週の授業(明日)は、就活の予定が入っていて行けそうにありません。こんなことなら、先々週ちゃんと出ておけばよかった(ぇ
ということで、欠席するぶん、今週も気合いを入れて投稿いたします。
初夏の憂鬱に寄せるうた四首
クールビズじっと見つめていた虫の死なぬのをじっ、と見つめている
ネクタイを緩める音の音飛びし、ああ疲れたと言える言える日
物欲がぐらり頭をもたげてき、そうだ何とか生き延びたい夏
髪を染め一人称を変え好きだった君は消えた、歌声よおこれ
今更ながら初投稿します。梓です。よろしくお願いします。
返信削除目を閉じて ゆりかごの中 夢の中 遠い空に 記憶はかえる
真夜中に 冷蔵庫の中 オレンジ一つ みずみずしい夢 切ってみる
スカートに落ちた りんご飴 広がり染まる 私の恋は 嘘みたいな赤
もうダメと つぶやき鏡に 泣いてみる マスカラパンダ目 悲劇のヒロイン
お久しぶりです。岸辺露伴です。
返信削除しばらく投稿出来ずすみませんでした。
残り期間は頑張って投稿していきたいと思います。
それでは11首投稿します。
江ノ島の夜明けの海を前にして寄せては返る夏の思い出
マイケルが死んだと聞いて動き出すアイポッドの中、眠るスリラー
政治家を情けないと言い放つ父の姿が滑稽に映る
六月の雨に打たれて黄昏れて君と別れた日々、思い出す
周りから草食男子と言われるがそれでも肉より草が好きです
これでもかと言わんばかりに聳え立つ都庁ビルに憧れ抱く
新宿のネオン街のまぶしさで人の寂しさ隠蔽してる
マルボロに慣れた仕草で火を点けるそんな姿を彼は知らない
人生がマラソンのようなものならば何時になるかなランナーズハイ
「ナマケモノは二十時間寝るらしい」「だったらキリンをもっと褒めなきゃ」
ナマケモノが二十時間寝ると聞きホッとしてしまう怠惰な気持ち
※キリンの平均睡眠時間は20分だそうです。皆さん知っていましたか?
お久しぶりです、神澤です。
返信削除時間がなくてなかなか作れず、申し訳ありません。今回は埋め合わせに、怒濤の36首です(37首かも)。
自分は考えすぎて詩から離れてしまうところが大いにあるので、技術とか云々は無視して書き殴ってみました。
バイクに寄せる36首
~バイクと愉快な仲間たち~
女性諸氏今よりもっとモテたくば釣り自衛隊バイクがいいよ
デザインと反比例するルックスよ夜でも外せぬミラーシールド
流行りモノよく知らないけどまず批判乗るとビグスク意外に便利
持つならば全てをなげうつ覚悟はあるかバイク・嫁・核・個人情報
キシャヤスデ轢いて転げる木曾道のライダーハウスの泡つき麦茶
視聴率天気予報は100%飛び出すやつはスリック野郎
薄れいく意識の中ではっきりと我を捕らえる保険の等級
那須/茂原/首都高/周遊/大垂水さらに2ちゃんで煽り煽られ
雨の日に笑顔溢れる見舞客止めれギプスにタイムを書くな
開けつつも周り気になる排気音シミシワタルミがこうさせるとふ
893 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 13:04:14 ID:u4Sp3j2e
馬場口で擦ったエヌワン転けかけてた
894 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 13:07:16 ID:wzQ0unAg
真っ赤だったろ?
895 名前:774RR[sage] 投稿日:2009/03/14(土) 13:13:56 ID:gMtzA/CH
あのコケリストかwwww
____________________________________________
ビグスク……ビッグスクーター。250cc単気筒エンジンを積んでいることがほとんど。若者に大人気だが、バイクではないという声も。
キシャヤスデ……梅雨時に突如大発生し、JR小海線を度々止める忌まわしい存在。踏むと凄まじく滑る。
泡つき麦茶……ライダーハウスではビールなど出ません、当然。泡の浮いたただの麦茶です、はい。
スリック……レース用ハイグリップタイヤ。公道走行は違法だし卑怯。タイヤが冷えたり濡れたりするとグリップしなくなる。
開ける……スロットル(アクセル)を開ける。暴走族と違い低回転では静かでも、レッドゾーンまで使えば爆音。
那須茂原……那須モータースポーツランド/茂原ツインサーキット/首都高速環状線/奥多摩周遊道路/20号大垂水峠。
前二者は安いミニサーキット、後三者は走り屋御用達の天下の公道である。雨の日はみんな2ch。
雨の日……雨が降ると走れないので、仲間の見舞いや嫁の機嫌取りに費やすライダー多し。
エヌワン……ホンダ・NS-1。レプリカ勢で最も遅く、見かけ倒しなのでネタにされる。真っ赤なNS-1が作者の愛車。
擦った……車体、ないし膝を擦るほど深くバンクしてコーナリングすること。交差点でやるのは危険極まる。
コケリスト……度重なる転倒で作者が頂戴した二つ名。芸術的に美しい転倒だそうである。悲しいがちょっと有名。
~バイク、ライダー、自然~
太陽の燃える季節にレプリカの我が懐に炎かかえつ
夏峠君にみとれし10R離るる緑に想い届かず
紫陽花と濡草香る点描の道 あばずれ単車(おんな)よ機嫌を直せ
奥山にもみじ蹴散らし泣くタイヤ声きく時ぞ秋は悲しき
___________________________________________________
レプリカ……レーサーレプリカ。二十年前に大流行した。現在のものはSSと呼ばれるため、速いが古いバイク。
10R……ZX-10Rというカワサキ製SS。排気量こそ1000ccと小さいが、フラッグシップである。
カワサキ製ゆえ扱いにくいが、乗る人によってはべらぼうに速い。ワークスカラーである緑が人気。
ホンダ、ヤマハ、スズキのワークスは赤、青、黄を基調とするが、漢・カワサキだけ蛍光グリーンである。
メットから孫の手まで全て緑。全身緑のライダーは、ダサいを通り越して凄い。腕も凄いので道を譲ろう。
点描の道……オフロードマシンでないと走れないような林道。地図上で点描で描かれることが多いため。
あばずれ……仲間内で共有状態にされたバイクのこと。金持ちや年配者の税金として自然発生する。ここではオフ車。
タイヤ……秋が深まると路面温度が下がるため、グリップ力が低下しよく滑るようになる。シーズンオフが近い。
~ライダーと悪の組織との戦い~
望むなら速さ味方に周遊はマスクパンダも趣味入ってる
オレ貧乏あいつ市原彼失業黙って支払うハゲの離婚者
白蠅のばらまく切符は警察署・簡裁経由の市原行き
交差するフルフェイスたちのピースサイン脅威障害オールグリーン
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マスクパンダ……覆面パトカー。周遊では公務と言いつつ法定速度の三倍くらいで走り回っている。忌々しい。
市原……市原交通刑務所。罰金が十万を超えた場合、金のないライダーはお世話になりに行く。
白蠅……白バイ。そのウザさ、動きからこう呼ばれる。単に蠅、白馬の王子様とも言う。
ピースサイン……ツーリングスポットを行き交うライダーたちの挨拶。ピースは「気をつけて」「いい天気ですね」程度の挨拶。
フルフェイス+ライダースジャケットという最低限の格好をしていない人には無縁の話だ。むしろ捕まれ。転けろ。死ね。
グーパーはネズミ捕り・覆面・白バイ(脅威)注意。地面を指すときは路面(障害)注意。パッシングで代用することも。
ちなみに、片側一車線の道で追い越しをする際は左手を上げる。「お先失礼」の意味。自転車にも使う。勝負の際は無論省略。
まれにこういう強者もいるが。http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/a6/65216e436bf98160038cddc07c032689.jpg
~単車乗りの孤独~
返信削除太陽を浴びずに枯れるは嫌だなと鎧の下の写真とお守り
蝉時雨ガソリンスタンド我も給油しばし楽しむ内股の涼
空仰ぐ少年でありし夏は遥か土下座バイクで今日しか見えない
すばらしさ教えたかったあの夏の若木の青さは目に焼き付いて
「嫁もらう」「会社に入る」奥多摩は世捨てオヤジとゆとりのみになり
宗教や芸術なくば生きられぬ人は解るかライダーズ・ハイ
この峠Uターンせず独り往けば行き着けるのに君の住む町
_______________________________________________________
土下座バイク……座席が高く、ハンドルが低いバイク。前屈みというレベルではなく、横から見ると土下座に見える。
空気抵抗を減らすため、コーナーを速く回るための苦行であるが、これでツーリングをこなす馬鹿(ほめ言葉)もいる。
すばらしさ……バイク界には、バイクに乗ることを勧めてはいけないという暗黙のルールがある。煙草を吸う人なら分かるだろう。
ゆとり……我らゆとり教育世代。バイク乗りは20年前の1/10になっている。いわんやスポーツバイクをや。
~バイクと命~
奥多摩にユメタマ駆りて逝き人の名をも知らねば顔も知らねど
スピードの向こう側とは言い得て妙 不運(ハードラック)とダンスを踊る
ビバンダム天使の輪なきZX-9R(ユメタマ)が逝ったは地獄かまだ二十歳とふ
攻めすぎて人馬は共にオーバーレブ カムな弾けそ死なば諸共
大治郎・ノリックの次を賭けながらふと黙り込む騎上の四人
心地よい疲労感じつ降りようかふと考える朝練のあと
速かった誰もがそう言うGSX(ジスペケ)の義足はそれでもなぜ走るのか
帰り来てシャワーを浴びてベッドに入り震え始めるああ生きている
数多なる憂い憾みもこの美しき天地(あめつち)の元に還ると思へば
神様へ今日を駆け抜くライダーの全てにどうか明日をください
_______________________________________________
ZX-9R(ユメタマ)……打倒ホンダCBR900RRを掲げて登場した、カワサキ製900ccSS(スーパースポーツ)。
車体に貼られているデカールの「ZX-9R」ロゴがカタカナでユメタマと読めることから愛称がついた。
五年前には後継車であるZX-10Rにその座を譲っているため、安い……とはいえ、作者のバイクの4倍ほど。
スピードの向こう側、不運と踊る……いずれも昔のバイク漫画の電波なセリフ。死んだ人に。
ビバンダム……ミシュランタイヤのキャラクター。白いタイヤを積み重ねた恰好をしている。
転じて、タイヤの縁に残る白い未接地部分を指す。腕と度胸のあるライダーほど少なくなる。
完全にない人はよっぽどキレた人である。自虐的に、「天使の輪」「余リング」とも言われる。
ヤスリで削るのは外道である。ちなみに作者はヘタレだし腕もないから、1cm近く残っている。
オーバーレブ……エンジンブレーキを最大に利用しようとして、レッドゾーンを振り切って限界回転数を超えてしまうこと。
大二郎・ノリック……近頃泉下の人となった、世界的な日本人レーサー。次は清成か関口と思う。
朝練……深夜のうちに峠に出かけ、白み始めたら練習し、車が増える前に戻ってくること。主に土曜の夜に行われる。
GSX……スズキ・GSX-Rシリーズ。現在まで続く、スズキの誇る「クラス最速」バイク。
最後にURLをクリックしていただくと、何となく雰囲気がつかめるかも知れません。http://motor.geocities.jp/team_repals/kura.html
最後のURL間違いました。こっちです。
返信削除http://motor.geocities.jp/team_repals/061008.html
ここは奥多摩ではないですが、奥多摩もこんな感じですね。