2010年2月3日水曜日

投稿作品13(2月2日までの分)

 ついに最終回となりました。
 毎回が、授業というより、歌会や詩会というべきものでした。正直言って、主催役・先生役の私としては、想像もしていなかったような楽しい刺激的な時間でした。
 短歌はこうあるべき、といった枠組みをできるだけ取り払って、しかし、短歌ならではの字数の少なさを生かしつつ約一行で詩作してみると、これほど豊かな、バラエティーに富んだ作品が出てくるのかと驚かされ続けでした。
 授業中にもたびたび言いましたが、短歌というものを超えて、出短歌記ともいうべき詩的な旅が始まるべき時が来ていると確信しました。今回の授業にたまたま集まった人たちには、短歌的形式への自らのセンスを発見できた人たちも少なくないはずですが、言語表現のひとつの選択肢として、ぜひ今後も考え続けていってもらいたいと思います。

 2月10日の親睦会もお忘れなく。



◆投稿作品13(2010年2月2日までの分)◆


うぐいすさんのコメント...
うぐいすです。新年から暗いテーマですが投稿いたします。

自殺とは涅槃の最期欲捨てて来世に堕ちる甘き業なの
「いつ死のう」答えなき問い空に消え枯れし涙は今日も応えず
一過性人身事故は他人事舌打ちされる命の尊さ
籠揺れる色んなものを抱きながら 時には命ひきずりながら
泣かないで精一杯に微笑んで生き急がずに吾は死にたい
2010年1月22日10:11

マルディさんのコメント...
こんにちは。昨日の授業には間に合わなかったのですが、投稿します。

ポーズ(pose/pause)とる「苦しい時こそ深い呼吸」ヨガの教えをくり返す朝
人生は予兆、予兆に満ちている だから、いつも明日までは待って
2杯目のアルコール廻るときみたい我が身貫くきみのその声
隣りからサクランボ来た桜桃忌揺らし眺めつ回診を待つ(2009年6月の入院日記より)
すべてのきみ「きみしにたもうことなかれ」音は違えど私も晶子
きみ宿りわが教会に光射し 恋と信仰、学問を得る(2009年12月の日記より)
2010年1月22日10:13

時間さんのコメント...
時間です。長くなってしまいすみません。よろしくお願い致します。

○ 葉がずしりと重くざわめく口にすると甘さ膨らむ緑の青さに吸い込まれゆく
○ 雑草のような姿この黄色い花の少しの動物性をふくんで春になると際立つ
○ 主として秀でるのではなく一つとして息ささやくそれとして意味深長となる
○ 奇跡のカビかなにかの菌が形をふくんで形状と化すその歯ごたえは確かに
○ 記憶は果てることなく回転すあるがままの姿はどこへ飛ぶのか
○ ふんわりとした甘さかそれとも繊維の密かすでにこの骨は知るのか
○ 赤い鱗が綺麗にならぶ寒さに凍えてあざやかに光る昔のままでそこにいるのか
○ はちきれるほどの白さのなかに味噌がひそむ体の実は遥かにそれをこえる
○ 三種類のそれぞれがほど良く合わさった皿にならぶと華やかなまで彩る
○ 言葉はそこになくて音だけが箸を交じわす、わずかなわさびの香りがする 
○ 茶の照りかかったその形の動きのない空とともに噛むと、現れるのは青
○ 歩く足がそれぞれに進み、それぞれを進む、知らぬ所へとわからぬ時へ
○ 同じように見える一つが束になって現れると、勢いをまして近づいてくる
○ 虹が通りすぎたように揃えて三列となって眩しく、たんぽぽの花そこに咲くのか
○ 下にいるのか上にいるのか、北から来たのか生きてるままに閉ざされた場所へは帰らず
○ 部は想像をこえ全は見えず、そのままを見てそれとするのか遥かをのぞくか、足の形は現れるのか○ 同じように見える一つが大きくなって現れると、恐ろしいほどの物になる
○ 包丁の音、冬の音、水の音、ざるの音、ビニールの音、葱の音、軽快な音、味の音
○ 土のなか、足跡だけが増えていく、数が増すほど目がよろこぶ
○ 真っ赤な鳥居を見あげると遠くに鳥の姿があった、見透かされたような気持ちになった
○ 走っているようなオレンジ色が深い緑と色合いに見ている人を驚かす、夕方だった
2010年1月29日11:45

マナ子さんのコメント...
とうとう最後の授業ですね。いろいろと考えるの楽しかったです。

あの雲は竜のかたちと言う子供「今はカモメを食べているところ」
さみしさが溢れ過ぎててびしょ濡れで雫を撒き散らしてごめんね
春になってカメラもってお花畑へ駆けつけよ我が安直!
オレンジと白と黄色とやがて黒 溶ろけるチーズが餅の上
金色の光まっすぐ目を刺したネオン韻踏む学生ローン
出かけよう湿った髪もそのままで風が吹くのでもう帰らない
2010年1月31日18:55

匿名さんのコメント...
佐橋です。今頃初投稿でごめんなさい。兄が結婚するので、それについて何となくつくりました。なお最後の歌は無関係ですが授業開始してすぐに考えた歌なのですが投稿の勝手がよく分からなくて放置してた歌です。

・今春に挙式する兄祝福す ポツリと我に「仮テンツモった…」 
・メーテルが理想の女と言っていた 彼の背中は小さく見える
・式あげる ただそれだけで300万 既に自分もマリッジブルー
・酔い潰れ 病院起床でカテーテル そんな愚兄が家庭持つとは
・葬式と結婚式の相違点 曰く「当事者の生き死にだけ」と
・痣らしき 常は永久にぞ 右為の志士 寝ず見失しつる 冷めた抜き樺
2010年2月1日10:17

SAI さんのコメント...
前回は自殺・鬱についてのテーマで来たので、そのインスピレーションで投稿しようと思いました。私自身、出口の見えないトンネルを歩いているような気がしていた時期がありました。今もまだ、トンネルの中にいるのかもしれません。しかし、その先に光をイメージできるようになったのも事実です。どんな自分であれ、中途半端で不完全な自分であれすべて、引き受けて一歩踏み出していくこと、これがトンネルの中で学んだことです。過去はもう過ぎました、未来はまだやってきません。私たちの手の内にあるのは唯一、今という瞬間だけです。過去への後悔や、未来への不安も糧にして、思いっきりスパークしましょう!!

死にたいと思うあなたの本当は生きたいんだと他の誰より
いいんだよ弱さは弱さのままでいてそれがあなたの花になるから
弱いから大切なものに気付くんだたった一つのいのちの果てに
まっすぐだだから挫けもするだろうでも開いてこう今のまんまで
不完全それがスタートいつだって永遠の歌探しに行こうよ
ビーイング支え合って生きてきたまなざしたちは見守り続ける
ありがとう出会ってくれたもの総て道に咲く花ともに生きよう
2010年2月1日19:44

北寺瀬一さんのコメント...
雪ですねー!自転車に乗っていたら指が切れそうに痛かったです。

ギターより君から借りたニルヴァーナ ケースのヒビ割れ撫でる指先
「俺ギター弾くからお前、アレ買えよ」僕がベースを始めた理由
柑橘の色と香りが通過した中央線と踊る黒髪
ブレザーじゃ第二ボタンに意味はなく、こころに近いなにか下さい
2010年2月1日20:56

大沼貴英さんのコメント...
 大沼です。一年間、ありがとうございました。でもこれで終わりにはしたくありません。今後ともよろしくお願いいたします。先生の仰る「まったく新しい、短歌ではなく別の名前で呼ばれるべき何か」を本当に出版できないものか、夢物語でなく、真剣に考えていきたいと思います。 では、とりあえず区切りの四首です。    

   卒業に寄せるうた四首 
日曜の夜にシュガーベイブを聴いて泣くなら感傷ごと愛せよ俺 
赤いカルボナーラとミルフィーユ。この相性も信じなきゃ嘘だよ。 
夏なんです。秋なんです。冬なんです。卒業なんです。春なんです。 
文学部四年が小学国語を教え「一番つまんないのが答え」
2010年2月1日23:41

礒部さんのコメント...
いそべです。短いあいだでしたが、この授業に参加できてよかったです。毎回皆さんの意見が聞けてとても勉強になりました。

もうすぐで電車が入るホームにて鳩が並んだ白線の上
押しつけた本を光が飲み込んで機械は紙に写し吐き出す
手芸屋のボタン売場の引き出しをすべて開けたし冬の日の午後
開かない自動扉の前にいてとっさに浮かぶ呪文のことば
真夜中の公園にあるブランコを自由に揺らす冷たい夜風
子どもから大人に変わり増えるのは心のなかの疑問符ばかり
2010年2月2日0:13

青木さんのコメント...
今夜の投稿をみて、みんな起きてるなーと思いました。

夢に出たギターを背負う女子高生 例えるならばティーンの匂い
高校の授業パスする二時間目 今日はきみとの青春ごっこ
帰りぎわメールアドレス聞けなくて戻ってこないブーメランする
いつまでもトライアングル鳴らしてる「何かあったの?」って聞いていい?
「すべて」とか「ぜんぶ」とかついまとめちゃう(でも、世界は単純かもね)
2010年2月2日1:08

青木さんのコメント...
■親睦会の出席を取ります!
■あと、こんなコメントの最後の方に書くのも何なのですが、10日の親睦会の出席を取りたいと思います。参加する人はこのコメント欄にその旨を表明してください。10日は18h15に馬場のロータリー集合にしましょうか。お店は、ロマーノというところを取りました。値段も比較的リーズナブルでまったり出来そうだったので。。。遅刻する人は適当に現地に赴いてください。東京都新宿区高田馬場2-14-27 村山ビル1F 03-3208-7388
2010年2月2日1:13

耳野さんのコメント...
とても変な時間にすみません。変な時間に眠ったせいか逆転しています。いまは雪がやんでいるようですね。

制服に拙ぬ唄声の横顔を仰ぐほど尊き我が情念よ
橙の窓辺より白き雪道と急くひと観て生きる今日は浮世絵
一瞬のセンタースポット浴びし後配送されしぼくは貸付屍体
緞帳色の泪だけ覆う仮面して肉曝すぼくらは青毒症だつた
声持たず食事せずとも息づいた乳肌のきみは創世主もどき
藍空に浮かぶ星採りては飴玉のよに呉れるきみよ成らなくていい

あ、親睦会 行きたいです。
2010年2月2日4:34

マツクラさんのコメント...
マツクラです。少ないですが投稿します

オレンジのバンダナ巻くとダサいけど蕎麦屋娘を蕎麦屋たらしめ
うつむくと泣いてるように見えるのを確かめもせず見つめてる
2010年2月2日12:50

叉旅猫目さんのコメント...
叉旅猫目です。一年間ありがとうございました。

ℓのキッコーマンがぼくたちの間で揺れる日曜の午後
真夜中のスタッカートが合図八分音符は街を駆け抜け
ぼくたちは白いページを黒くするために生まれたわけじゃないもの
2010年2月2日13:45