
どうやらここには写真も載せられるようなので、猫が危急の際にスーパーマンみたいに飛び出している面白い写真を載せてみようと思います。
まったく短歌とも今週のなにかとも関係ないのですが、とにかく関係ないことをやったり見たりするのが好きなので、いったん思いつくと、こういうことには抗しがたいのですネ。
ともかくも、この数週間、ちょっとこの写真の猫がお気に入り。非常に真剣に飛びあがっているところが、いかにも猫らしい。猫っていうのは、飼っていた時に観察し続けてわかりましたが、なにをやるにも超まじめなものです。もう少し余裕を持ったり、ふざけたりしたらいかが?と思わされたものでした。
人間も、神様の視点からは、こう見られていたりして。
◆香川ヒサ(かがわ ひさ) 一九四七~◆
人あまた乗り合う夕べのエレヴェーター升目の中の鬱の字ほどに
かさはさか きゆはあはゆき くさはさく 循環バスは渋滞の中
白き雲鯨と思へば鯨にて鰐と思へば鰐なるが浮く
黄昏の道を急げる人の群その先端はいづくを行かむ
フセインを知らざるわれはフセインと呼ばるる画像をフセインと思ふ
タバスコを振り過ぎ「ありゃ・りゃ」と言ひたれど誰もをらねば「りゅ・りょ」と続ける
二つとも旨いそれとも一つだけまたは二つともまづい桃二個
その存在そのものがすでに悪なれば抹殺せねばならぬゴキブリ
(作品中の表記では「ゴキブリ」に××××がつけられている)
トーストが黒こげになるこのことはなかったといふことにしませう
語りえぬことを言葉が語らせる例えば神の計画などを
人あまた行く夕暮の地下街を無差別大量の精神過ぎる
ひとひらの雲が塔からはなれゆき世界がばらば らになり始む
わたしには世界の果ての私がコーヒーカップをテーブルに置く
洪水の以前も以後も世界には未来がありぬいたしかたなく
何時間ここにゐたのか見つめゐる石の白さを言葉にしたら
往還の道の辺にある丸き石 とてもこれには勝てそうにない
冬の雨遠き広場に水溜り作りてをらむ 見なくともわかる
〈はじめに言葉があつた〉 幼な児が眼みはつて嘘をついてる
◆ 小池光(こいけ ひかる) 一九四七~◆
雪に傘、あはれむやみにあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ
くらぐらと赤(せき)大輪の花火散り忘れむことをつよく忘れよ
とほき日のわが出来事や 紙の上にふとあたたかく鼻血咲(ひら)きぬ
いちまいのガーゼのごとき風たちてつつまれやすし傷待つ胸は
薄明のそこはかとなきあまき香は電気蚊取器はたまた妻子
ガス室の仕事の合ひ間公園のスワンを見せに行つたであらう
廃駅をくさあぢさゐの花占めてただ歳月はまぶしかりけり
佐野朋子のばかころしたろと思いつつ教室へ行きしが佐野朋子をらず
おそろしき速度をもちて蟻ひとつ灼けたる馬頭観音くだる
たましひのあかるくあれば象印魔法瓶こそ容るるによけれ
デパートにわれは迷ひぬ三匹の金魚のための沙(すな)を買はむとして
たはむれに懐中電灯呑まむとぞする父おやを子がみて泣きぬ
ふたふさの缶詰蜜柑のるゆゑに冷し中華をわがかなしまむ
そこに出てゐるごはんをたべよといふこゑすゆふべの闇のふかき奥より
日本語をあやつるときの天皇をつねにはらはらとわれらおもへりき
煙突に付帯せる鉄の梯子にてあるところより失はれたる
きんなんの異臭ただよふ境内にましろき犬をみちびく少女
外科医なるわが弟にしづかなるこどもひとりがありて悲しも
魔法瓶にいま蔵(しま)はれし熱湯は暗黒の中にありしとおもふ
◆投稿作品9(12月15日までの分)
大沼貴英さんのコメント...
大沼です。初の一番乗りですかね? あの、一番乗りしておいてアレなんですけど、例のごとく俺は今週も遅刻して参上します。始業時間に間に合わせるのは物理的に不可能なので、これは確定事項です。なので、拙作の批評は、いちばん最後に回していただけないでしょうか。作者不在のまま批評をやるのは双方にとって不利益でしょうし、始業時間から参加されている方々の作品の批評時間を削ってしまうのも申し訳ないと思うのです。 ご検討のほどよろしくお願いします。 ちなみに、今週の短歌のうち、後半の二首はmixiボイスへの投稿が初出です。mixiボイスとは、まあ、ツイッターみたいな「呟き」垂れ流し機能です。出来たての短歌をそのまま「呟き」として投稿したというわけ。短歌でライブをやっているような感覚で、なかなか新鮮でした。これからは短歌もライブ化してみたらいいんじゃないでしょうか、なんて。
大沼です。初の一番乗りですかね? あの、一番乗りしておいてアレなんですけど、例のごとく俺は今週も遅刻して参上します。始業時間に間に合わせるのは物理的に不可能なので、これは確定事項です。なので、拙作の批評は、いちばん最後に回していただけないでしょうか。作者不在のまま批評をやるのは双方にとって不利益でしょうし、始業時間から参加されている方々の作品の批評時間を削ってしまうのも申し訳ないと思うのです。 ご検討のほどよろしくお願いします。 ちなみに、今週の短歌のうち、後半の二首はmixiボイスへの投稿が初出です。mixiボイスとは、まあ、ツイッターみたいな「呟き」垂れ流し機能です。出来たての短歌をそのまま「呟き」として投稿したというわけ。短歌でライブをやっているような感覚で、なかなか新鮮でした。これからは短歌もライブ化してみたらいいんじゃないでしょうか、なんて。
ゆりかもめに寄せるうた四首
求めたら頬をすり寄せ何もせず夜が明けていく基礎知識とす
ゆりかもめ/妙に姿勢の良いサボり/ビルに移り気/空中散歩
リクルートスイーツ君とゆりかもめ夢を語ったっけなあ螺旋で
もうすぐで夜が明けるから眠らずに朝焼けを見るために抜け出す
寂しいときみに向かってつぶやいたことを取り消すための電話
もう二度と会えない人を思い出す事ばかりしている訳じゃない
上がらない原稿ばかり増えてゆく 最後のプリンを食べたのは誰?
平気だよ達也がいなくても私ひとりで鐘をついてみるから
冬の朝眠たい顔に吹きつける地下鉄の風ぬるく気だるく
図書館に下巻が残る文庫本 遠い手のなか始まる話
乗りこんだバスの座席は前向いて今夜最後の主人を探す
無機質な茶封筒の左上 真っ赤な色の花咲く切手
グーの手と同じぐらいの柚子の実も冬をめがけて黄色く染まる
リースないままクリスマス来ちゃうね笑う玄関の清清しさ
週末を迎えるために金曜の雨がしっとり街を緩める
グラビアで中谷美紀が眠ってる夜請け負うと言わんばかりの
思い出すことも忘れることもせずただきみ想う感情教育
鶏肉を切り分ける時ほど指先がかじかむ時は無いと思うの
カミソリは安全でない方がいい氷雨の夜にわたし眉剃る
はためいた瑠璃色砂絵もとうに散り運ばれていく冬の蝶の死
口笛の反響が痛い耳の奥 青春ドラマじゃあるまいしねぇ
凹凸が抱きあう二人の邪魔をする これが今夜のテイク・ファイブ
(凹凸は「おうとつ」と「でこぼこ」とどっちがいいでしょうね。決めかねます)
2009年12月15日13:16
北寺瀬一さんのコメント...
北寺です。いつも駆け込みですみません。プラネタリウムをイメージした連作です。
2009年12月15日13:16
北寺瀬一さんのコメント...
北寺です。いつも駆け込みですみません。プラネタリウムをイメージした連作です。
暗闇を好いことに生まれては消えるシートの間に白色矮星
隣席の灯初心な君には眩し過ぎ瞑る目澄んだ耳に天声