2009年4月14日火曜日

必読短歌2 ~斉藤茂吉1・塚本邦雄1・初井しづ枝

 4月14日に教室で鑑賞した歌を載せておきます。
 今週から来週21日にかけての投稿は、こちらのコメント欄から送ってください。

◆ 斎藤茂吉 (さいとうもきち) 1882~1951  ◆

しろがねの雪ふる山に人かよふ細ほそとして路見ゆるかな

死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる

のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳根の母は死にたまふなり

あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり

ゆふされば大根の葉にふる時雨いたく寂しく降りにけるかも

壁に来て草かげろふはすがり居り透きとほりたる羽のかなしさ

ただひとつ惜しみて置きし白桃のゆたけきを吾は食ひをはりけり    

くさぐさの実こそこぼるれ岡のへの秋の日ざしはしづかになりて

あららぎのくれなゐの実の結ぶとき浄けき秋のこころにぞ入る

沈黙のわれに見よとぞ百房の黒き葡萄に雨ふりそそぐ

秋晴れのひかりとなりて楽しくも実りに入らむ栗も胡桃も

うつせみのわが息息を見むものは窗にのぼれる蟷螂ひとつ

かくのごと雪は流らふものなべて真白きがうへになほし流らふ

をやみなく雪降りつもる道の上にひとりごつこゑ寂しかるべし

ほそほそとなれる生よ雪ふかき河のほとりにおのれ息はく

雪ふぶく丘のたかむらするどくも片靡きつつゆふぐれむとす




◆  塚本邦雄(つかもとくにお) 1922~2005 ◆
 
革命歌作詞家に凭りかかられてすこしずつ液化してゆくピアノ

貴族らは夕日を 火夫はひるがほを 少女はひとで恋へり。海にて

炎天の河口にながれくるものを待つ晴朗な偽ハムレット

赤い旗のひるがへる野に根をおろし下から上へ咲くジギタリス

戦争のたびに砂鉄をしたたらす暗き乳房のために祷るも

海底に夜ごとしづかに溶けゐつつあらむ。航空母艦も火夫も

みづうみに水ありし日の戀唄をまことしやかに弾くギタリスト

夜会の燈とほく隔ててたそがるる野に黒蝶のゆくしるべせよ

裏側にぬれたひとでの絵を刷つて廻す――愛人失踪告知

かへりこぬ牡の鵞鳥をにくみゐし少女も母となり森は冬

雪の夜の浴室で愛されてゐた黒いたまごがゆくへふめいに

銃身のやうな女に夜の明けるまで液状の火薬填めゐき

ヴァチカンの少女らきたりひしめける肉截器械類展示会

夜のつぎにくるはまた夜、かなしげな魚の眼の中に燈ともせ

眼を洗ひいくたびか洗ひ視る葦のもの想ふこともなき茎太き

ここを過ぎれば人間の街、野あざみのうるはしき棘ひとみにしるす



◆ 初井しづ枝(はついしづえ) 1900~1976 ◆


弧をゑがき打ち水の飛ぶ林泉(しま)のかげ萩は涼しく花こぼすべし

しづかさをふと照り出でて夕日なり紅葉燃えたち地には庭苔

落ちてゐる鼓を雛に持たせては長きしづけさにゐる思ひせり

青磁瓶のひびきと思ひそそぎゐる水充ちゆきて水の音となる

向うむき雨中に咲ける日まはりの花を緊めたる真青のうてな

氷塊の透きとほるなかに紫の翳としてわれ行きすぎゐたり

鳴きかけてやみたる蝉の籠もりゐる槇の木かげを歩みてすぎぬ

白き鯉の泳ぐ水深は見えながら池のおもてに夕翳つどふ

空間のどこよりとなく降る雪の吾を囲みて加速ともなふ

わが胸にむきて飛びくる糸蜻蛉の翳の如きを手もて払ひぬ

湧くごとく暁を鳴き交ふ小鳥らの喜びもちて皆散りゆけり

カットグラスは透明少し濁りゐて「白瑠璃碗」といつの世名附く

渓流のたぎちに低く迫り咲く赤き椿は水に散るべし

あぢさゐの球花こもる夜の闇に見舞蛍の光止むなし

開きたるはづみに震ふ夜顔にみなぎり尽す花の白さは

目ざむれば水仙の花が活けてあり死を呼ぶごとき寂しき花や

33 件のコメント:

  1. こんばんは。ペンネーム叉旅猫目という者です。
    まずは3首。よろしくお願いします。


    右耳にせえのであけた丸い穴今はときどきじくじく痛み

    したあとの湿った疲れぶつけ合いペットボドルがごとんと揺れる

    散らばった契約書類の氏名欄には匿名匿名匿名希望

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  2. 今週は二番手で。
    炬燵(こたつ)です。今週も5首。

    クリスマスプロパガンダを秘密裏に指揮するのですセント・ニコラス
    潮風と煙が染みた缶詰めに必要なだけ労働者たち
    戦うと決めた者らを嘲笑うならそうやって朽ちてゆけ日々
    両端の垂れた真白のバチストのネクタイに散る晩年の赤
    彼が亡き王女のためのパヴァーヌにひっそり記したフォルテの理由

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  3.  叉旅猫目さんの歌は、焦点の定め方がはっきりしているので、読者がどの方向に向かえばいいのかがわかりやすいですね。短歌のような短い形式ではいい手法です。
     ふたつ目がいちばんいいかな。
    〇したあとの湿った疲れぶつけ合いペットボドルがごとんと揺れる
    「ペットボトルがごとんと揺れる」という質感に持っていったところがいいわけです。毎日のように見るペットボトルですが、「ごとんと揺れる」さまを歌にしようとは、なかなか思いませんよね。そこに発見があります。
     一首目は「今はときどきじくじく痛み」が、いま一つかな。容易に想像できる結末。三首目は、「契約書類」なのに「匿名」っていうのはあるのかな?と、ちょっと疑問を感じます。アンケートだとかなら、ありでしょうけれど。このあたり、もっと説得力を出す必要がありそうです。
     

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  4. 今週は早めに。。以下五首投稿致します。
    ・君が君であるが故に破壊するダージリン香の残る揺り椅子
    ・シュー皮の様なため息飛んで行く未だ幼い映写機の中
    ・名も知らぬジンジャエールの銘柄を記したメモがどこかに消えた
    ・君の頬の黒子が作る仔ぐま座を僕以外には誰が知り得る
    ・日を追って高くなりゆくピンヒール厳つい街を踏み砕く赤

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  5. みなさまお疲れ様です。霧島六です。
    あぁ超過申請に行かなくちゃ…。
    名前の都合でまた六首投稿させて頂きます。

    騒がしき201号室の前にほこり被ったベビーカーひとつ
    あの雲が魚に見えるか野良猫の髭を揺らすが日曜の風
    帰省して夜も更けたれば猪口ふたつ白髪まじりの父に酌する
    あの頃は何も知らずに済んだよねと幼馴染の吐いたマルボロ
    冬服を仕舞う場所なく箱につめ実家の母とは無料通話を
    ふと君が捨て紙で折った折り紙をもう何年も飾ってあるんだ

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  6.  大沼貴英です。ちなみに本名です。
     先週ぎりぎりに投稿してしまったので、今週は俺も早めに出します。
     
      美しい水に寄せるうた五首
     
    「別れよう?」自分で言って泣いている女は勝手、俺は滑稽
     
     別れぎわ借りた君の部屋のトイレそれでも立って用は足せない
     
     閉まる戸に投げつけた傘、骨ひしゃげ 放置して去るとき雨、上がる
     
     いつからか磨き上げられた便器を見るたび携帯で撮っている
     
     別れると途端に君が凝ったこと スープコトコト、深層水で

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  7. 炬燵さんの今回の歌を見ていると、塚本邦雄の歌調がうまく作用したかな、と感じさせられます。それだけの理由ではないのでしょうけれど、自分の文体へと急進していく緊張感を湛えた歌を出してきました。内容的には他人にはわかりづらい部分もありますが、文体の強さや表現処理の個性がつよく出てきている場合、その魅力のおかげで、内容面のわかりづらさは超えられてしまいます。詩歌の特徴はこういうところにあります。よくわからないところが残るけれど、魅力的だし心に残ってしまうというのが、散文にはできない詩歌ならではの芸です。
    〇クリスマスプロパガンダを秘密裏に指揮するのですセント・ニコラス
     これは十分にわかる。「クリスマスプロパガンダ」というのが大げさな表現ですが、大げさは詩歌の命のうち。針小棒大大歓迎です。しかし、それなりに読者が納得できるように、とりあえずのオチを仕込んでおくのは必要。オチだけが浮き立つと、しかし、詩歌は台無しになっちゃいます。
    〇潮風と煙が染みた缶詰めに必要なだけ労働者たち
     「必要なだけ労働者たち」がいまひとつわからない感じ。でも、「潮風と煙が染みた缶詰め」というのは、いいイメージを出してきたなぁ。忘れ難い表現です。
    〇戦うと決めた者らを嘲笑うならそうやって朽ちてゆけ日々
     見方によっては、青春ドラマにありそうな、ちょっとクサイ表現?しかし、「日々」のような非人格の対象に命令形をぶつけるこんな口調も短歌ならでは、です。他のどの文芸形式で、いま、恥ずかしげもなくこれができるでしょうか?制約の多い短歌形式だからこそ許されている自由も、けっこうあります。
    〇両端の垂れた真白のバチストのネクタイに散る晩年の赤
    〇彼が亡き王女のためのパヴァーヌにひっそり記したフォルテの理由
     このあたりの歌は、もう、炬燵調というべきものになっている。パヴァーヌのほうは名歌ですね。「ひっそり記したフォルテの理由」に読者の思いを向かわせる、そこにポエジーが発生します。「理由」をまったく説明しなくていいのが、詩歌の特色。小説なら、ここを細かく書いていかないといけないのでしょうが、詩歌はそれを無駄事と見るわけです。「バチストのネクタイに散る晩年の赤」には、もう少しニュアンスがほしい気もするけれども、字数的にはむずかしいか。このサッパリさを評価する人たちもいるでしょうし。

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  8.  拾語さんの歌。
    〇君が君であるが故に破壊するダージリン香の残る揺り椅子
     この歌、たとえばこんな改作を思いつきました。
    ⇒君は君 君であるゆえ破壊するダージリン香の残る揺り椅子
     べつに、こちらのほうがいいでしょ?と言いたいわけではなく、「君が君であるが故に」をもうちょっとやわらかくしてもいいかなと思った次第。漢字とひらがなの使い分けも、その時々に応じて柔軟に考えていってください。「ダージリン香の残る揺り椅子」はとっても魅力的な表現なので、「君」をはずしちゃって、これを中心にしてべつの歌を作っていってもいいと思います。即興で、ちょっと本歌取りさせてもらいます。
    ◆ダージリン香の残る揺り椅子ぼくたちは心の島を忘れないから
    〇シュー皮の様なため息飛んで行く未だ幼い映写機の中
    「中」は「なか」、「様」は「よう」でもいいかな?「シュー皮の様なため息」というのは秀逸。「未だ幼い映写機」というのが、ちょっと、わかるようなわからぬような。
    〇名も知らぬジンジャエールの銘柄を記したメモがどこかに消えた
     この歌の場合は、論理的にちょっとムリがあるか?「名も知らぬジンジャエール」だとしても、「メモ」に「銘柄を記した」のなら一応その時点ではわかったんじゃないの?…と思っちゃうんですが、いかが?つまらない理屈の詮索のようですが、意外とこういうところに読者はひっかかる。こういうところは、しっかり理屈を通しておくほうがいいようです。
    〇君の頬の黒子が作る仔ぐま座を僕以外には誰が知り得る
     けっこう多くの男たちが知っていたりして… これが、「きみの胸の」とか、さらに他の場所となると、なかなか。「仔ぐま座」というのはちょっと可愛いので、あえて、大胆な場所に見てとるほうが、コントラストが出て効果的かも。イタイケな少女にさそり座の黒子群を見てとる、なんていうのも効果的。つまりは、正反対のものを勝ち合わせる詩的方法。これはロマン主義の代表的手法です。
    〇日を追って高くなりゆくピンヒール厳つい街を踏み砕く赤
     ピンヒールって、先端のとがったハイヒールですよね。あれにはあれなりの「厳つさ」があるので、だからこそ「厳つい街を踏み砕く」というイメージも出てくるんでしょう。この歌の場合、社会風俗を写して、ちょっと批評を加えるという作り方。こういう歌はけっこう発想しやすいんですが、なかなか、これぞという歌は作りづらいものです。作者の視点や感性の独自性をもっとどんと入れたらいいのでは?(言うは易し、ですけれども…)

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  9.  霧島六さんの歌は、だんだん人生歌としての雰囲気が出てきたようです。自分の歌調を固定する必要はありませんが、作っていくうちに得意不得意な方向というのはわかってきますから、自分なりにうまく言葉が出てくるようなテーマに向かっていくのはいいことでしょうね。
    〇騒がしき201号室の前にほこり被ったベビーカーひとつ
     ほこりを被っているということは長く使われていないということでしょうが、にもかかわらず「騒がしき201号室」、いったいどうして騒がしいのか?子供がもう大きくなってしまったということなんでしょうか?ベビーカーを片付ける暇もない生活状態を見るべきなんでしょうね。…歌のこととは別ですが、こういうのを片付けないっていうのは、きれいに見えなくってヤダなと思っちゃうけれども。
    〇あの雲が魚に見えるか野良猫の髭を揺らすが日曜の風
     これは、ちょっと表現を工夫して、もっと楽にしたらいいのでは?「日曜の風」と「野良猫」と「魚」に見えそうな雲の組み合わせは、のんびりした雰囲気を出すのにいいので。作り変えるのは、しかし、けっこう難しいですけれどね。
    〇帰省して夜も更けたれば猪口ふたつ白髪まじりの父に酌する
    〇あの頃は何も知らずに済んだよねと幼馴染の吐いたマルボロ
    〇冬服を仕舞う場所なく箱につめ実家の母とは無料通話を
     このあたりの歌は、いまの日本中でたくさんの人たちが作っている生活短歌(生活詠という)のレベルに既にあります。こういう歌をいっぱい作っていくと、短歌形式に慣れるし、それに生活や感情の記憶にもなります。十年以上経って、こういう歌を詠み直すといろいろと感慨深いものですから、日記のかわりに作るというのもけっこうお勧めです。自分だけでなく、家族や将来の子孫に見せるつもりで作るのも、悪くないですよ。短歌にはそういう可能性もあるんです。
    〇ふと君が捨て紙で折った折り紙をもう何年も飾ってあるんだ
    「飾ってあるんだ」といった口語調、おしゃべりやつぶやきの口調も、うまく使えば効果的。

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  10.  大沼貴英さんは本名で投稿。しかも、別ればなし歌五首で、なかなか勇気があっていいです。もちろん、まったくのフィクションでもかまわないわけですが。
    〇「別れよう?」自分で言って泣いている女は勝手、俺は滑稽
     よくあること。「俺は滑稽」は、たしかにそういう気分になることはあるでしょうが、もうちょっと別のしめ方にしたほうが効果的か?
    〇別れぎわ借りた君の部屋のトイレそれでも立って用は足せない
     これは、汚さないように使うのを考えている、ということなんでしょうね。「それでも」という表現が微妙。別れる相手のトイレは、いっそうきれいに使いたい、という気もするんですが、いかに?歌のモチーフとしては、リアルでユニークな視点です。
    〇閉まる戸に投げつけた傘、骨ひしゃげ 放置して去るとき雨、上がる
     最後の「雨、上がる」がいいね。この読点が生きている。
    〇いつからか磨き上げられた便器を見るたび携帯で撮っている
     これについては、作者の創作意図を聞きたいところ。磨き上げられた便器への愛にフェティシズム的に目覚めたのか?マルセル・デュシャン的な興味なのか? 
    〇別れると途端に君が凝ったこと スープコトコト、深層水で
     表現の上では、もうちょっと工夫ができそうですが、これも面白い。深層水でのスープ作りに凝る女。小説向きのテーマかな。短歌を作っていて、他のジャンル向きのテーマが見つかったら、そのまま他の形式のものも書いちゃいましょう。短歌だけ作ればいいってもんじゃありません。短歌を、テーマのメモベースに使う手だってあります。

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  11. ゆるりです。
    気合の入った短歌たくさん詠ませていただきました。私も続きたいところですが、なかなか浮かばないものですね。
    四首いきます。


    キューポラの黒い煙は夢のあと シャッター街は黙るばかりで
    笑う声 放れば返る 眠る山 友のカメラと 埋もれる足と
    四月の雨去って冷え込む夜の路 影をふみふみカレーの匂い
    前を駆けるセーラー服のプリーツの伸びた少女にわが面影を
    子育てはもう終わったと笑う母 声に混じった強がりは見ぬふり 

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  12. 麻生首相が18日、東京・新宿御苑での「桜を見る会」で披露した歌。
    〇故郷に早桜咲く故問えば冬の寒さに耐えてこそあれ
     古今集を彷彿とさせる歌いっぷり。係助詞「こそ」を使って、「あれ」と已然形で結んでくるあたり、なかなかやりますね。「遅桜咲く」のほうがいいのではないかと思いますが、「早桜」としたところに、早期解散・総選挙の意思を滲ませている感じがします。「故郷」を自分の地盤、票田、党などと見てみれば、すでに堅固な麻生支持の花が咲いたのを確認しているようにも読めます。
     開花ということの関連で、参考に別の歌を引用しておきます。桜ではないですが。
    〇生き急ぐほどの世ならじ茶の花のおくれ咲きなる白きほろほろ(馬場あき子)
     生き急ぐほどの世の中ではないだろう、遅速など気にせず、自分の花を咲かせたらよい、と茶の花を出してくるところ、とても大きな人生観が出ています。

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  13.  ゆるりさんの歌。
    〇キューポラの黒い煙は夢のあと シャッター街は黙るばかりで
     キューポラと言っても、だんだんわかる人も少なくなってきたのでは?鋳物工場で有名だった埼玉県川口の現在のことでしょうか?時代の流れに、さらに不況が重なって、歌のような光景になっているわけでしょうか。内容はわかりやすいのですが、歌としてはもう少し工夫がほしいところです。ニュースなどで見聞きするような「不況」や「現代」や「時代の流れ」のイメージにぴったりおさまってしまっていて、意外な発見がない。ほんの少しでもいいから、一般的なイメージを逸脱するような発見がほしいと思います。
    〇笑う声 放れば返る 眠る山 友のカメラと 埋もれる足と
     この歌は、逆に、わかりづらいですね。もちろん、各句の表現が喚起するイメージを重ねればそれなりの雰囲気は受け取れますが、コラージュのままで放り出し過ぎ。どこかに固有名詞を入れるとかして、読者に読解の手がかりを与えたほうがいいようです。
    〇四月の雨去って冷え込む夜の路 影をふみふみカレーの匂い
     前の二首よりも面白い。「影をふみふみカレーの匂い」が生き生きしているからです。「影をふみふみ」の後に「カレーの匂い」という表現が来るとは、ふつう想像しません。しかし、日ごろ町を歩いていると、こういうことはじつは多い。つまり、表現上の珍しさと日常における頻度の高さがここで出会っているわけで、よく経験するような事柄に新鮮な表現が与えられているのです。こういう時に、印象に残る歌が生まれてきます。「影をふみふみ」というのは、ちょっと子供っぽい表現にも見えますが、これも使いようですね。幾つになっても、子供っぽい表現というのは自然に意識のなかで回っているはずですし、歳を取るほどいっそう意識に上って来るものでもあります。そこを無視しないというのは大事なこと。擬声語や擬態語では宮澤賢治が大家でしたが、あの姿勢にはつねに学びたいものです。社会的動物であることから逸脱したり、それを脱ぎ捨てたりして、音を発するものや現象に言語的に自ら成っていこうとする姿勢が、擬声語や擬態語として現われます。主体的・理性的な行為としての言語行為が、もっとも非主体的・非理性的になる瞬間、その水際が擬声語や擬態語でもあります。
    〇前を駆けるセーラー服のプリーツの伸びた少女にわが面影を
     これもよくわかる歌、しかし、もう少し表現をなんとかしてみたい歌。まだ歳をとったとはいえないはずの作者が、セーラー服の女学生を見て、早すぎる懐旧の思いにとらわれている歌です。もっと年上から言わせてもらえば、大げさな!、まだまだご自分自身が若いのに、ということにもなるのですが、まだ若い人だからこそ感じるこういう感覚というものは、たしかにありますね。そこを表現しようとした点、とてもいい着眼です。これはこれでベースとしてはできているので、時々思い出して考えては、直そうとしてみてください。立場がまったく違うし、経験もないながら、本歌取りを試みさせてもらいます。
    ■駆けていくセーラー服のプリーツのくっきりとして少女、永遠
    ■駆けゆきしセーラー服はわれならずやプリーツひとつひとつ愛おし
    ■プリーツの線くっきりと駆けゆきし少女よわれはあなたの未来
    〇子育てはもう終わったと笑う母 声に混じった強がりは見ぬふり
     これもいいところを見ています。ゆるりさんは着眼点がいいですね。母の声に混じった強がりを娘のほうでもちゃんと見抜いている、しかし、見ぬふりをしている、というところが、母の心、娘の心を、それぞれよく示していますし、ドラマになってもいます。こういう歌は、完成度さえ高めれば、ひろく一般の人々の心にアピールしますし、国民的名歌にも成り得ます。あとは、それをよく生かせるような表現力の幅を身につけること。短歌独特の手法にも馴染んでもらいたいのですが、さまざまな日本語表現を意識的に見つめ直すようにしていってください。

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  14. 北村仁美です。
    皆さん上手すぎです。自分の下手さ加減が恥ずかしいです・・頑張って3首投稿します。

    三年目これでいいのと言い聞かせ 枯れた涙とウイスキーの味
    まっさらな青いお空を底辺に あしぶみをするおおあくびをする
    ほろ酔いの赤いほっぺた気分良く 肥えた月さえまるまる歌う 

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  15. まあるです。
    歌いたい情景・感情のどこに集中しようかと言葉をしぼるっていくのが、詩と違っていて難しいなと思いました。
    四首投稿します。

    ・霧雨に濡れてあでやか赤松のさかむけた肌 哀れ女よ
    ・「わかれよう」言うと決めた電話だけ 限ってとってはくれぬ君
    ・高原でこのもや雲よと教えるとふわふわしてきたと笑う十八
    ・銀座道 プラダ、シャネル、ルイヴィトン 「およびでないし」ツンとすまし顔

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  16. こんばんはSAIです。

    ちなみに現在就職活動中です。皆さんはいかがでしょうか?

    今回は5首投稿します。

    星たちの夢 月のカーテン滲む入り江でまだ見ぬ宵を運ぶ船
    風に吹かれてたなびいている 偽りを生きるのはもうやめた
    旅すれど旅すれど変わらぬ内を抱えてどこぞ行く
    移りゆく季節に咲きし永久の春 いのちめぐりてまたいつの日に
    葉桜や散りし音等を敷き詰めて 君を踏み行く青々の道

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  17. 北村仁美さんの歌。
    〇三年目これでいいのと言い聞かせ 枯れた涙とウイスキーの味
     分かち書きにすると演歌の歌詞になりそう。それはそれでかまわないのですが、「枯れた涙とウィスキーの味」という、名詞で止める表現がふたつ連なるのは、この場合ちょっとつまらないかナ。「枯れた涙」も「ウィスキーの味」も、使い古されているような表現だから、そうなってしまうのです。
    〇まっさらな青いお空を底辺に あしぶみをするおおあくびをする
     寝っ転がって空を見ている時のことでしょうか。下の句、「あしぶみをするおおあくびをする」は、「あしぶみをするおおあくびする」としたほうが、ここはいいかも。
    〇ほろ酔いの赤いほっぺた気分良く 肥えた月さえまるまる歌う
    「ほろ酔いの赤いほっぺた」から、「肥えた月」へと無理のない連想が生まれました。ちょっと童謡ふうですが、北村さんはこういう傾向の歌が向いているかもしれません。ひとつ前の空の歌にも共通したところがありますね。「これでいいの」と言い聞かせてたりせずに、自分のなかに浮かぶ童謡ふうの雰囲気をとらえて、それを膨らませていったほうが収穫が多くなるだろうと思います。小さくみえるようでも、ちょっとした幸福感をいちいちつかまえて、読む人をほっとさせるような温かいイメージや口調を北村さんは作っていけるはずです。 

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  18.  まあるさんの歌。
    〇霧雨に濡れてあでやか赤松のさかむけた肌 哀れ女よ
     赤松の剥けたような肌が霧雨に濡れて、女の哀れさのようなものを思わせる、といった歌意でしょうか。作者の日常的な心情を表現するのよりも、もっと上位の詩的境位を目指している感じの歌。よくわかるのですが、しかし、だからこそ、ちょっと厳しく批評しておきたくなります。こういう歌の場合、「霧雨に濡れて」、「あでやか」「さかむけた肌」、「哀れ女よ」などのいちいちの表現の普通さ、通俗性が際立ってしまうものです。どれもが、いかにも…という感じになってしまい、それによって言葉のリアリティが損なわれてしまいがち。そこをどう逸らすかが問われてきますね。狙いが高いからこそ、ひとつひとつの表現が、いっそう借り物ではいけなくなってきます。
    〇「わかれよう」言うと決めた電話だけ 限ってとってはくれぬ君
     別れを告げる決意をして電話すると、きまって相手は電話にでてくれない、というほどの歌意。ちょっと、すんなりとは意味のとれないところがあるので、表現をもう少し素直にしてもいいのでは?ひとマス空けているところも、この場合は不要と思います。
    〇高原でこのもや雲よと教えるとふわふわしてきたと笑う十八
     靄に見えるけれども、これは雲なのよと教えてあげると、十八歳の相手(妹?弟?後輩?)が「ふわふわしてきた」と答えた面白さ。短歌で伝えるには、なかなか難しい光景ですが、いいところをとらえたと思います。「このもや雲よ」は、でも、ちょっとわかりづらい。「靄」と漢字で書いたほうがいいようです。そうすると、「靄」と「雲」をちょっと離して使う必要が出てきそうです。
    〇銀座道 プラダ、シャネル、ルイヴィトン 「およびでないし」ツンとすまし顔
     こういう心情は多くの人が共感するでしょうし、大資本と高額所得者とそれに乗るマスコミによって作られる価値観の領域への不参加を「ツンとすまし顔」で軽く表明しているのだと見れば、それなりのマニフェストの歌です。なので、ひとつひとつの部分をもっと磨きたいところ。
     今回のまあるさんの歌のそれぞれに共通しているのは、細かい表現をもっとよく選び、もっと磨きをかけよう、という点かな。まあるさんの歌自体が、それを要求してきているのです。

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  19.  SAIさんの歌。
     詩歌を作ろうとすると、誰もが「構え」てしまいがちになります。いかにも詩歌っぽいものを作ろうとしてしまう。メモでも散文でもなくて、詩歌を作ろうとあえて思うのですから、そういう「構え」も当然と言えます。しかし、自分の意識のなかにある「詩歌」というのは、じつはつねに、すでに古くなった詩歌なのだし、しかもたいていの場合は他人の作ったもの。つまりは、借り衣装です。中古品。リサイクル品。骨董品。ヤドカリ。それらで、いまの自分の表現したいものが表わせる場合もたしかにありますが、どうもちがうなァということも多い。そこで、自分で踏み出して、完全に新しい自前の表現を作っていこうとするのですが、この際に起きるのが、それまで自分の意識に堆積していたたくさんの「詩歌」のイメージが剥離していく現象です。
     今回のSAIさんの歌は、そういう剥離現象が起こっている最中の制作に見えます。韻律の乱れや分解、続け具合のもつれ、ふいに表われる素直な「構え」のない表白などは、こういう場合には好ましいものです。
    〇星たちの夢 月のカーテン滲む入り江でまだ見ぬ宵を運ぶ船
     盛り込み過ぎで韻律に過剰な圧力が加わりましたが、「まだ見ぬ宵を運ぶ船」という強い表現を獲得。
    〇風に吹かれてたなびいている 偽りを生きるのはもうやめた
     これはいいんじゃないですか?「偽りを生きてきた偽りをやめる」とか「偽りを生きてきてやめる」などと本歌取りしたくなる。山頭火の俳句など思い出しますね。
      分け入つても分け入つても青い山
      ひとりで蚊にくはれてゐる
      まつすぐな道でさみしい
      しぐるるや死なないでゐる
      どうしようもないわたしが歩いてゐる
      こほろぎに鳴かれてばかり
      すべつてころんで山がひつそり
      ながい毛がしらが
      やつぱり一人がよろしい雑草
      何が何やらみんな咲いてゐる
      山ふところのはだかとなり
      逢ひたい、捨炭(ぼた)山が見え出した
      月へひとりの戸はあけとく
     山頭火も早稲田文学部の先輩でした(中退)。  
    〇旅すれど旅すれど変わらぬ内を抱えてどこぞ行く
    「どこへ行く」でいいと思う。無駄な古語ふうの力みをしないほうがいい。
    〇移りゆく季節に咲きし永久の春 いのちめぐりてまたいつの日に
     上の句はいい。下の句はちょっと表現がフツウ。フツウっていうのは、表現をサボっているということ。ここにふさわしい表現を探し尽くしていないということ。(特異な表現をしろ、というわけではありません)
    〇葉桜や散りし音等を敷き詰めて 君を踏み行く青々の道
     おもしろいけれども、ちょっと意味が不安定。「君」とは?葉桜のこと?「散りし音等を敷き詰めて」も、もう少し整える必要あり。

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  20. 大変おそくなってしまいましたが、今更投稿です…

    左手をそっと開いてみてみれば 君の面影追えるはずかな
    引き出しの奥へ奥へと仕舞いこむ 笑顔と思い出忘れた振りだよ
    ギシギシと鳴らして歩く散歩道 君との会話つくるスカート
    赤茶色、好みの色ではないけれど浮かぶ姿は笑顔の君で
    桜花集めて飛ばして集めて飛ばす 恋する気持ちに例えられない

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  21.  空目さんの今回の歌では、
    〇桜花集めて飛ばして集めて飛ばす 恋する気持ちに例えられない
     がいちばん。上の句の「集めて飛ばして集めて飛ばす」というくり返しが心情をよく表わしている。それが「恋する気持に例えられない」と展開していくところもスムーズだと思います。「さくらばな」とか「桜ばな」のようにして、漢字表記の「集めて」との連結を避けるのもいいでしょう。
    〇左手をそっと開いてみてみれば 君の面影追えるはずかな
    〇引き出しの奥へ奥へと仕舞いこむ 笑顔と思い出忘れた振りだよ
     この二首は理解されやすい歌で、このままでもいいと思いますが、もうちょっと読者の感情を高めるような表現を模索してもいいのでは?「はずかな」とか「振りだよ」という結び方が、印象を弱めてしまっているところがあります。結び方というのは難しいもので、短歌的な定型の締め方というのはいくらでもあるけれど、一応まとめました的なものになってしまうことがとても多いので、投げ出さないように踏んばるというのも必要になってきます。
    〇ギシギシと鳴らして歩く散歩道 君との会話つくるスカート
     この「ギシギシ」って、なんだろう?素朴にそう疑問を持つ人は多いのでは?スカートが「ギシギシ」鳴るの?
    〇赤茶色、好みの色ではないけれど浮かぶ姿は笑顔の君で 
     ここでも、「赤茶色」のものはなんだろう?と疑問が浮かぶ。あえて不完全な表現を提示する意思も短歌の場合は必要ですが、わからなすぎるのはやはり問題。どんなふうに表現してもいいというのはもちろん大前提にあるのですが、読者というのは、なかなか、しっかりはついて来てくれないもの。ちょっとわからないとすぐに投げ出す場合が多いし、つまらなくてももちろん投げ出すし。

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  22. 藤岡文吾です。遅くなりましたが、投稿させていただきます。


    ・人の渦 もまれてもつれて 一か月 抗いながらも 違う己に

    ・地球紀行 行きたい自分は いるけれど 財布の中身 深いため息

    ・眩しい空 きつい青さに 苦い笑顔 昨日の酒が 残る頭で

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  23.  藤岡文吾さんの歌。
     どれも句ごとに切られていますが、はじめは最後まで続けて書いてみるほうがいいと思います。そうなると、単語を羅列するような方法がとれなくなるので、歌の背筋のようなものを鍛えることができるはず。
    〇人の渦 もまれてもつれて 一か月 抗いながらも 違う己に
     これを「人の渦にもまれもつれて一か月抗いながらも違う自分に」というふうに、とにかく繋げて書いてみる。ここから始めるほうがいいということです。
    〇地球紀行 行きたい自分は いるけれど 財布の中身 深いため息
     これも「地球紀行に行きたい自分はいるけれど財布の中身に深いため息」としてみる、ここから、表現の工夫に取り掛かってください。
    〇眩しい空 きつい青さに 苦い笑顔 昨日の酒が 残る頭で
     これも「眩しい空のきつい青さに苦い笑顔昨日の酒が残る頭で」から始めるわけです。

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  24. 山田太郎です。遅くなりました。最後のはラップ?みたいになりました笑

    大手町スーツを着こみみな疲れ線路は続くよどこまでも
    君は言うもう少しだけ開いたらそれでも私こもる貝殻
    愛想尽かされても一向に構わない君が幸せならそれでいい
    酔っぱらいホームで嘔吐三時間山手ぐるぐる我記憶なし
    痛む膝青あざをみて思い出す昨夜のひとりボーリング大会
    カーリング電話が鳴ってコーリング最近流行りのサイクリング

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  25. 山田太郎さんの歌。
    〇大手町スーツを着こみみな疲れ線路は続くよどこまでも
     ちょっと安易、かな?「スーツを着こみみな疲れ」というのは、ワンパターン過ぎる思いこみ。どうしてどうして、サラリーマンたちは一筋縄ではいかんですぞ。疲れているように見えて、深浅取り混ぜて、なかなか多様に人生してるもんです。ちなみに、勤めはじめれば、スーツがいかに便利かわかると思います。あれは仕事着、野良着。資本主義の野良で、みんなスーツさ着て、えっちらおっちら労働すんだべ。「線路」もねぇ、…どこまでも続いているわけではない、ってとこが問題ですよね。
    〇君は言うもう少しだけ開いたらそれでも私こもる貝殻
     こもってもこもっても自分のなか。そして、自分は死ぬまで世界に投げ出されたまんま。そこにこもってもアヤウイ。
    〇愛想尽かされても一向に構わない君が幸せならそれでいい
     まず自分がしあわせになるべきです。自分のしあわせを放り出して「君」のしあわせなんて願っていると、とんでもない面倒な人間になっていく可能性、大。
    〇酔っぱらいホームで嘔吐三時間山手ぐるぐる我記憶なし
     ホームから落っこちないでよかったです。
    〇痛む膝青あざをみて思い出す昨夜のひとりボーリング大会
     前の歌といい、この歌といい、なかなかハードな日々。
    〇カーリング電話が鳴ってコーリング最近流行りのサイクリング
     短歌のほうは、今回はもうちょっとtuningが必要みたい。将来的にはcallingに出会えるといいよね。

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