2009年11月26日木曜日

投稿作品6(11月24日までの分)

 11月もそろそろ終わりですね。まだ作品を出していない人は、そろそろ出し始めてください。50首などというタイヘンな数は求めません。10でも20でも。短歌はうまくいかないという人は、散文でも他のかたちでもOK.

◆投稿作品6(11月24日までの分)◆

青木さんのコメント...
一番乗りの男、青木です。

「毎日が、自宅‐会社の往復で・・・」そんな彼らの妻たちに唄う
塾帰り森できのこを食べていた子どもらがまだ帰ってこない
探すのをやめてしまったオニの背を影からずっと見続けた冬
雪の降る聖夜新宿東口一人で食べるキムチリゾット
通勤のエスカレーター階段が希望者を乗せ空まで伸びる
六甲の『意外とおいしい天然水』飲んでけっきょく今日もがんばる
2009/11/21 0:19

匿名さんのコメント...
こんばんは。叉旅猫目です。授業にほとんど行けていなくてすみません。24日は行けることと思います。

・夏に日に置き去りにされたハブラシのふと見るとまるでひまわりのような
・「いっせーの」二人で乗った方舟にあるのはカラータイマーみたいな永遠
・12360402あなたがくれたまばたきの数
・電気式ギターを初めて弾いたときから毛穴が息を息をしている
・けどそれが?教室は今日も戦争ごっこわたしは見えない銃を手にして
2009/11/23 1:53

耳野さんのコメント...
こんばんは、耳野です。先ほどの記事は長々とすみません、普通に投稿します。どうぞよろしくおねがいします。

田子ノ浦臨む工業地帯にて伸びゆきしぼくの灰色気管
我が咽に白熱光の迸り 嗚呼、グシャリ歪みし紅白煙突
竪堀駅高架下二時のササメキは白柔き脚より垂るる透液
月見草ひとつポッケに突き刺して機械めく宵の本栖湖を往く
灰色の硝子管を舌裏よりソッと突き刺す我が夜癖なり
東海道線降りて雪染む富士を背に我が胸にも貼る遺失物番号
2009/11/23 3:20

マルディさんのコメント...
こんにちは。

駅前の書店2階のレジ裏にひっそりと在る“ニャンとかしよう会”
“バイアグラ”アーユルヴェーダの老医師の机の横にマグネット有り
冷蔵庫で干からびている切り抜きをつい諳んじる「自動エレベーターの…」
枝離れ土に転がるかりんの実 終の住処を定めるごとく
どうかしら?さしだす手の甲一瞬で愛の現場にかわるキッチン
2009/11/23 13:03

うぐいすさんのコメント...
うぐいすです。投稿します。

巡りゆく季節の中の一舞台 落ち葉の輪舞曲(ロンド)輪廻の催事
ゆるゆるとブランコ揺すれば軋む音ただ懐かしく園に響けり
門前で吾を見据える番犬の威嚇のかまへ微動だにせず
不思議にも帰宅がわかる飼い犬の喜び勇む影に和みぬ
仄かなる甘栗の香の誘惑に尻尾で応ふる犬の正直
怠惰なる生活リズムしみついて冬の多忙をおそれつつをり
2009/11/23 13:59

礒部さんのコメント...
こんばんは、いそべです。短歌も卒論も行き詰ってます・・・

足音が響く廊下をまっすぐにかかと踏んづけ駆け抜ける春
オレンジのお道具箱の底に住む羽をたたんだ折りかけの鶴
背もたれの上にはみ出る新聞の同じ文字追う朝の飛行機
図書館でひそひそ話す乙女らが両手広げて見せあう手相
私とは違うところでアクセント置く君が呼ぶ私の名前
「乾杯」と口にしてから近づけるグラスの先が触れるためらい
2009/11/23 20:41

爆裂カレーライスさんのコメント...

朝食べるおぼんのなかで揺れていたネギをめがけてみそしるすする
二次会をどこでやるのかわからなくなってわたしは船にのってる

今日は、爆裂カレーライスが、口を使って、耳野さんに話しをします。覚悟していて下さい。
2009/11/24 10:41

鈴木有さんのコメント...
耳野さん。ぼくも、自分の都合のいいように解釈する傾向があります。自分の都合のいいように解釈をする傾向のあるひとほど、作者の意図を知ろうと解釈をすることが必要といえます。いまのじぶんの傾向と反対のことを無理にすることによって、感動が生まれることがある、というのもその理由です。マルディさんは、教室での解釈を聞くかぎり、作者の気持ち、意図を考えた解釈をしようとしているように感じられます。それはあなたが、自分の都合のいいように解釈をする傾向があるからかもしれません。ぼくはぜんぜん読んでない本で「応答する力」、「他者という試練」という本があります。これだよ、この題名なんだ。常々思い返す題名です。
2009/11/24 10:42

11 件のコメント:

  1. 前回の授業で、関係性が感じられる歌にチャレンジしてみようと思いました。


    静かなる呼吸を乗せたきみの手が僕を掴んだ夜明けのダンス
    暗がりで蔑められた目を開く涙はかくも美しきかな
    キラキラと視線Xかわしつつ背後でそっとささやくような
    口をつく「変態だね」という言葉寂しき二人の合い言葉にする
    繋ごうと差しだした手をはねのけて明るく笑うバイバイまたね
    気がつけば返さずにまだ持っている『リルケ詩集』に挟まれたメモ

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  2. こんばんは、北寺瀬一です。
    短歌以外の形式でもOKとのことですので今回の作品は、詩の最後に短歌が付いた作品を投稿します。()の中の文が短歌です。



    終わりに向かってさまよう船の中で
    薄い酸素が見せたスローモーションの物語も
    そろそろ燃え尽きようとしているのに
    こんな穏やかな気持ちで小さな窓の外を眺めている

    いつ訪れるとも知れぬ断罪の時を待つ中で
    「真実が常に僕にとって正しいとは限らない」
    と言う君が
    昔旅したという遠い星の
    砂漠にある澄んだ泉の話を
    もう何度も思い出したことだろうか

    『その泉では、コブを湧水で満たしたラクダと
    嘴の折れたハゲタカが暮らしていました。
    先に死んだのはラクダです。さて彼らは幸せだったでしょうか?』

    こんな謎かけで一体何を伝えたかったのか
    答えをひとつ生むたびに君に近づけるような気がしていたけど
    ありもしない希望を求めることにも飽きてしまった
    どこまでも尽きることのないはずだったエンジンの
    断末魔みたいな揺れに身を委ねているうち
    遠退く

    (モノローグのない物語は最終章へ光の速さで駆け抜けてゆく)




    蒸気で白く煙ったバスルーム
    曇った鏡に写る悲しい顔の君
    何かを言おうとしたところを
    シャワーを向けて消したら
    残像と自分の姿が重なって流されて
    何も残らなかった

    眠れない夜の
    逃げ場のない密室で
    僕を苦しめる鏡像
    どこで間違ったかももう思い出せない

    頬を温い水が伝って
    排水口へ絡めとられていく
    湿った空気で
    やっと呼吸ができる
    君をなくした夜の乾いた風を
    忘れて僕は
    訪れるはずのない朝を迎えるだろう

    (誰もいないはずの深夜のバスルーム家主はバイクの二ケツで死んだ)

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  3. こんばんは。いそべです。
    自分の感情を歌に入れて無理に作りこむことよりも、
    目で見た風景を自然に歌にするほうが、私には向いているようです。


    頭だけきょろきょろ動く警官が街を見渡す交番の前

    布団からすこしはみ出た足の指 夢を集めるアンテナのよう

    水銀の体温計を振りながら額にそっと置かれる右手

    行列の一番後ろ知らせてた看板遠く離れて見えず

    「愛」よりも「哀」の言葉が先にある国語辞典を眺める夜は

    金髪の男子生徒が手に握るやさしい色したいちごポッキー

    鍵盤にゆっくり触れる調律師 音の狂いを拾い上げてく

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  4. こんにちは。耳野です。
    今回は寓話的な要素を入れてみようと思ったのですが 実際はあまり変わってないかも知れません。


    別訳・幸福概論

    靴屋とは哀しき生業なりと云い木型研きし口は薄笑

    靴屋より誂え靴を貰い来て二、三歩の挨拶我が浮舟よ

    覚束ぬ我が足向きに苦笑せし君との喫茶でツイ脚を組む

    右足の片側減った革靴で三日月灯下を滑ってもみるのだ

    野分渦き藍染む夜更けは軽薄に滑空せよ我が脚我が背徳よ

    綻びし革靴治しに来た我と廻り唄歌う靴屋の横顔

    宙を舞う羊革のうつくし残像よ哀し幸福は確かに在りし

    誕生日靴屋へ連れ立ちぼくと君ステキをひとつ誂えお呉れと


    休日の午後 嗚呼、あの日のようだと
    ぼくは思いつ きみを迎えに
    靴はまわる 生き死にまわる
    例い廻っても 君と居たらば 
    ぼくは概ね 幸せ、なのだ

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  5. うぐいすです。寒くなってきましたが、まだ秋かなと黄葉を見ながら思います。


    手相には未だ知りえぬ相手との破局の相が色濃く映り

    皆が皆オアシス探し彷徨えり東京砂漠に住む吾もまた

    川の面に洗い出したる大根のしずくきらめく秋の夕暮れ

    駅前の商店街はいつの日かさびれて露地に風吹き抜くる

    捨てること出来ず片付け滞る幼きころの絵画数枚

    故もなく心重たく疲れたり今日の終わりにメガネを外す

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  6. こんばんは。
    私は今たいへん混乱した状態なのですが、その様子が歌にも表れているように思います。

    うぐいすさん、手相はいくらでも変えられるじゃないですか。


    さかしま。水たまりも杏ジャムも鏡になった水曜の午後

    秋色がひかりのなかで燃えている もうじききみの記念日がくる

    女たちはそわそわしてるよその晩になにを飲もうかどう騒ごうか(きみとね)

    開けるまえから香しい、セザンヌの林檎たちより…、重いダンボール

    名前たち、こんなとこにも付いてたの。修繕屋さんの靴クリーム瓶

    ちょっとプルーストに訊いてくる!駆け込んだオスマン通りはただただ黒い

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  7.  大沼です。
     忙しさにかまけてなかなか作歌モードになれないのですが、苦しいながらも絞り出した三首をこっそり投稿します。
     
      誰かがマスクの裏で落とした言葉に寄せるうた三首
     
     花も実もしょうもないヒマ耳年増ひねもすはねトビひもねすハモネプ
     
     呟く。インターネットはさまざまな可能性を言い訳にして。
     
     冬物は柄があるけど絵はないと主張してみるセンスもないのに

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  8. >手相はいくらでも変えられるじゃないですか。
    マルディさん、確かに手相は毎日刻々と変わっていきますよね。見方も考え方も色々ありますし…
    なにごともポジティブに考えたいものです。
    マルディさんも混乱状態を抜けたらゆっくりお休みになってください。私の方もゆるゆるといけたらと思います。

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  9. >女たちはそわそわしてるよその晩になにを飲もうかどう騒ごうか(きみとね)
    >名前たち、こんなとこにも付いてたの。修繕屋さんの靴クリーム瓶

    の二首が好きです。
    二番目の、「名前たち」という表現がかわいい。名前に向かって呼びかけるような姿がよいです。

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  10. こんにちは、

    SAIこと、高橋大悟です。

    今期初投稿です。まずは、軽めに三首どうぞよろしく。

    小さいなそんな自分でいいからさ言ってごらんよ「えいままよって」

    燃え尽きた灰をそっとねかき集め灯を灯すからもう一度だけ

    天と地を貫いて立つ大樹のように育てよ若木強く優しく

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  11. こんにちわ。叉旅猫目です。

    ・酩酊しふと見る鏡の中の吾列車待つ家出少女の如き

    ・男の子女の子たちただ外に出よ街は今××だから

    ・怪獣のルーティンワークは食べること飲むこと寝ること涙すること

    2首目の「××」は無音であるのが望ましいのですが、音読する場合は「ぺけぺけ」とでも読めばよいかと思います(でも、「ぺけぺけ」だとちょっと間抜けですね……)。

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