2009年6月1日月曜日

第1週目制作  4月14日までの提出短歌

 先週は専門歌人たちの作品を読まずに、参加している人たちの短歌作品を読んで検討を行いました。このブログに「コメント」として投稿された作品群で、このブログ上でどれも読むことができますが、この機会に、これまで提出された作品をまとめて掲げておきましょう。まずは、第一週目の作品から。

◆第1週目制作  4月14日までの提出短歌◆

炬燵
取り替えたバケツの水の透明に絵筆を落とす彼をみている
あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜は並んで歩く
君からの新着コメント赤文字をただ待つだけの生きものである
おそらくは彼に二物を間違って与えた間抜けな神様がいた
雨粒のようにこぼれる絵 涙のようにあふれる絵のような恋

霧島六
夕暮れに冴え渡りしはチャルメラの豆腐売りさえ我より若し
目が覚めて桜吹雪の向こう側黒く蠢くリクルートスーツ
ひとり部屋日々を送りつ徒然と横目にバナナの黒ずんでゆくを
雀鳴く蒲団の外の大都会行かねばならぬ、離せ蒲団よ
鈍行を抜く特急に友の顔お前仕事か俺青春だ
幼子の旅立ち母の道しるべ、風よ吹かんやいま雪送り
ゆるりいい酒で触れそうで触れない肩ふたつ終電逃せと言いたいけれど
迫りくる三浦の海よ ああ海よ 思わず叫ぶ サーファー笑う
日が延びて西日が襲うキャンパスで輪をかけ眩しい新入生たち
眠れない夜に電話で泣いてみる きみも泣くからちょっと笑える

空目(うつめ)
春風に乗せて想いよどこまでも飛んでしまえと呟いてみた
夢と希望決意に変えてしまうため 話し相手に呼んだの、君を
頭のさ、後ろに目があるのかしらね だって君は振り返らない
強さなど置き忘れたよどこかにさ だからここにいるのはわたし
繋がって溶ければいいと望むけど ずるりと離れて別々になる

まある
夏風にざざめく稲葉の濃緑の海辺 汗にすける君の背をみていた
後輩がくれた別れのマグカップ茶渋の色に歳月を思う
梅粥の酸味に偲ぶふるさとの青梅つける祖母の手恋し
霧雨に相合傘をしてた秋 春の雨には2つ傘をさす
柏の葉 公園見ないふり きらきらひかる 薬指 どんな女(ひと)かと 思い巡らす

北村仁美
小説と現実世界をうろうろといつの間にやら時間旅行
満開の桜を見上げそれよりも美しくおもう 足元を見て
金髪に白い目を刺す電車内 老婆が近づく 彼、立ち上がる
今から帰る、と 突然放つわがままに 出来立てごはんのあたたかさ

藤岡文吾
色落ちて枝に残るは緑葉のみぬるい春風に揺られて漂う

岸辺露伴
暁の月の姿は寂しげで田舎の祖母を思い浮かべり
鶯の鳴く声響く早天に安心感を与えられたり
とおり雨からだ通じて心まで洗い流して欲しいと願う

手鞠(てまり)
貴方の髪の 水玉掬う ドライヤーの 熱風が好き 布団寝転ぶ
牛蛙 蓮華 深池 貴方の声 ミルクみたいな 白い明方

SAI
人ごみの内に映りし我が幻影 心苦しくともなお開きて歩む

澁谷美香
一目惚れ はずしてほしいサングラス ガラスの奥の瞳が気になる
ステージでキミが歌ったラヴ・ソング 長澤まさみが好きなのね。
終わりだね 話すことばがもうないよ 残すはたった好きの二文字

山田太郎
満開の舞い散る桜みて思う風に流されどこいく未来
満開のさくら飛び散る強い風私のさくらいついつ咲くか
吹雪のよう風に舞い散る桜たち「綺麗」そういう君が「綺麗」だね
桜の木今年咲いたら一年後来年もまたまたありがとう
風が舞い今年も桜咲きましたあのこも桜みれているかな
それでも星は輝くし太陽はまた昇るそれでいいいいんです

7 件のコメント:

  1.  空目さんの歌。
    〇図書館で5月の陽だまり集めたようなあなたが私の初恋でした
    〇清楚なる微笑みまるですみれ花つよき乙女は野道に咲くのか
    〇物語食べちゃいたいほど愛してるあなたはそうだ文学少女
    〇好きと言うならば殺したいほど焦がれてよ君は俺のサロメでしょうか
     初恋、スミレ… どこか懐かしいような。と思っていると、「好きと言うならば殺したいほど焦がれてよ君は俺のサロメでしょうか」というような調子になっていきます。こういうギアチェンジも面白いけれど、今のところの自分の歌体(文体)がまだまだ安定していないということでしょうね。文体が安定すればいいというものじゃない(つまらなくなることも多い)けれど、初歩段階では、ちょっとマジメに、オゴソカに進んだほうが、後々の進歩にはいいようです。

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  2.  時間さんの歌。
    〇五七五五七五五七五七五七七頭の中は俳句のことでいっぱい
     あれ?俳句も同時に作っているの?しかも、この歌は短歌でも俳句でもない破調。なんと呼ぶべきでしょうかねェ。

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  3.  大沼です。ひそかに皆勤賞を狙って今週も投稿します。
     今週は鉄道の歌ばかり七首ですけど、残念ながら(?)俺は鉄オタでも何でもありません。その方面にお詳しい方で、何かご指摘などありましたらいただけると幸いです。
     余談ですが、七首と匕首って恐ろしく似てますね。
     
      鉄道の旅に寄せるうた七首
     
     満員の急停車「窓、開けてくれ」叫ぶ親爺に「はめ殺しです」
     
     どの海を荒川線は渡るのか聴きつつ想う、はっぴいえんど
     
     宇都宮‐湘南つなぐ快速が浦和駅前高架上、飛ぶ
     
     朝五時に十八きっぷ切りまして午後五時、黄金の瀬戸内海
     
     土讃線「おおぼけ」「こぼけ」「ごめん」駅、余所者だけが珍しがる名
     
     一両のワンマン運転オーバーラン、のっそり行き来する運転手
     
     左手に時刻表、右手には傷、スケボー抱え舟こぐ少女

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  4. 渋谷 彰広です。投稿します。

    19首
    ハァハァァ
    キュるるぐぐぐ
    おいおまえ!
    はぁなんだって?
    え・・めしまだ!
    こんなんでも57577。
    すこし遊んでみました。

    20首
    かなしみが
    その身を焦がし
    やきつくす
    燃えゆく瞳
    眼そらせなくて
    21首
    かわいそう
    ことばあふれて
    わずかだけ
    なにもできない
    わすれないひと

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  5. 叉旅猫目です。ちょっと久々ですが、よろしくお願いします。
    5首。

    キスしたらかちりと何か音がしてこれは始まり?何かの終わり?

    復活の呪文が思い出せませんプラスチックで出来ていたのに

    人を刺すためのナイフはこちらです可愛く包んで差し上げますね

    夏服の透ける背中を目でなぞるノストラダムスよ力を貸せよ

    夜が明けてキオスクで触れる指先が失くした温度を思い出してる

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  6. まあるです。今週も4首。
    梅雨も家から出ないならいいのですが、外出が多いと嫌なものですね。

    あなたの頭蓋骨きれい、目蓋、奥歯 てのひらの恋 まどのそと、あめ
    言葉などいらない愛を最上と呼ばないで 背に呟くは、
    現実は換気扇の音まわる山手線 立ちくらむ青
    海抱かぬ大地に生まれ夢中に水の中をえがく いま日々生きる

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  7. 炬燵です。身内の不幸でばたばたして、
    少し間が空いてしまいました。

    レプリカのエレクトロニカ聴き飽いてSHIBUYA-TSUTAYAでケッヘル番号(ナンバー)
    自動的にビターヴァレーをゆれるきみJPEGにとじこめておいてよ
    どうやったところで結局埋め尽くすオブセッションオブセッションオブセッションオブセッション
    嘘に嘘を重ねてハートディスクまでハイクオリティなムービーで埋めてよ
    また死んでるアート・アズ・アート商品性に負けたんでしょうと嘲笑う街

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