二〇〇九年四月から七月、早稲田大学第二文学部表現芸術系演習三十四の参加者たちは、ネット短歌会KUREMUTU CLUB(http://kuremutu.blogspot.com/)に作品投稿を続けた。初めて作歌に手を染めた人たちばかりにもかかわらず、作品は六〇〇首を上まわり、質的に高度なものも多く、斬新な挑戦も少なくなかった。大学の演習での実作としては慶賀すべき稀な事態であったといってよい。詩歌の道は経済的繁栄に遠く、地味で報われることも少ないものだが、これらの歌の数々に明らかな才能の可能性を示し得た人たちは、今後の生の中でも、ぜひ詩歌にかかわり続けていってもらいたい。今回の成果を記念し、歌を作者別に並べ直し、全作品をここに集成する。配列は作者名によるあいうえお順とした。
なお、著作権は個々の作者たちに存する。著作権に関わる事務は制作者・駿河昌樹が担当する。
二〇一〇年二月二十六日
編者 藤原夏家
制作 駿河昌樹
くれむつ和歌集
梓
目を閉じて ゆりかごの中 夢の中 遠い空に 記憶はかえる
真夜中に 冷蔵庫の中 オレンジ一つ みずみずしい夢 切ってみる
スカートに落ちた りんご飴 広がり染まる 私の恋は 嘘みたいな赤
もうダメと つぶやき鏡に 泣いてみる マスカラパンダ目 悲劇のヒロイン
岩田壮一郎
笑ってと約束交わした日暮里駅一人涙するスカイライナー
困窮し働く時間もありゃしない啄木のような生活つらし
二本ある歯ブラシ一本捨てました心は軽いがならない電話
目覚ましを増やし続けて三個目だそろそろ鶏飼っちゃおうかな
香水を久々に見たら空っぽだドライつけっぱゴメンね環境
苔球も一日半でカピカピだドライつけっぱゴメンねおもいで
単位無い金もないし友もないこんなはずじゃぁなかった大学
悲壮感漂い始める残高照会売るもの探す何も無い部屋
シャンプーを詰め替え気付く月日の経過昨日七夕だったらしいね
テレビがねえ新聞とってねニュースしらねえ勧誘電話で知った解散
ペアリング鈍くなるその輝きに反比例する二人の時間
今起きた寝る前に届く超えられえぬ時差地球は狭くなってるのかな
知らぬ間に切れたミサンガベットの下何かいいことおこったっけか
臼井慶太
アスファルト湿った匂い雨の兆し今年もゲリラひそんでいる
丸氷回していくと融けてゆく悩みも解ければと望んでみる
酩酊し傾いた首傾奇者日本経済傾いている
政治家の私利私欲で動かすな高い税金払っているのに
戦国の武将のようなカリスマが今となっては草食男児
大学は授業料と単位を交換する場所なのです
次こそは決めてやるぞと頭の中BGMは威風堂々
携帯にwasedaにグーグルに実は私も住所不定?
雨、突然フォルテッシモ指揮者の狂ってしまったオーケストラ
乱高下不安と期待終わりの無い崩れかけのジェットコースター
パソコンは難解複雑でも実際0と1の集合体
(以下は作者が完成を自認していないもの)気になって 無心になれず 寝れぬ日々 もう一週 まだ一週
後悔を する度思う あの頃に 遊び過ぎてた つけがきたのか
G1の ファンファーレ 新緑に 儀式のようだ 馬に託す夢
なぜだろう スーツを着ると 雨が降る 嫌な予感を 何度も感じた
あと一杯 飲んだら帰る と言いながら もう一杯飲んで 気分良くなる
ブレーキを かけずに進んだ 今までの 勢いはどこに 行ったのだろう
年数を 重ねるごとに 愛着が わいてきたかな
6年目六年間 通った校舎 取り壊し 村上春樹も 学んでいたのに
夕焼けで 赤く染まった 岩肌は 脳裏に焼きつく 美しき絶景
政治家の 私利私欲で 動かすな 高い税金 払っているのに
雨上がり 一服外に 出てみたら 蚊にさされた 今年もきたな
経済を 動かす者の 私利私欲 あまりに醜く 笑えてくるわ
突然の ゲリラ豪雨 吹きつける ビニール傘 また壊れた
パソコンは 難解複雑 でも実際 0と1の 集合体
弾く玉 回るデジタル 当たらない やってられるか パチンコなんか
戦国の 武将のような カリスマが 今となっては 草食男児
やってくる 忘れた頃に 今年も来た 住民税 高額過ぎる
大学は 授業料と 単位を 交換する 場所なのです
次こそは 決めてやるぞと 頭の中 BGMは 威風堂々
そびえ立つ 天に向かって 霊峰は 日本古来の 大和魂
針を置く 回るレコード プツプツと レコードプレーヤー アナログはいい
レバレッジ 膨れ上がり 破綻する 同じ過ち なぜ繰り返す
乱高下 不安と期待 終わりの無い 崩れかけの ジェットコースター
携帯に wasedaに グーグルに 実は私も 住所不定?
雨、突然 フォルテッシモ 指揮者の 狂ってしまった オーケストラ
80`s 流れていると 思い出す ギターを始めた 中学生を
もし今、 イエスとアラーが 出会ったら いったい何を するのだろう?
空目(うつめ)
春風に乗せて想いよどこまでも 飛んでしまえと呟いてみた
夢と希望決意に変えてしまうため 話し相手に呼んだの、君を
頭のさ、後ろに目があるのかしらね だって君は振り返らない
強さなど置き忘れたよどこかにさ だからここにいるのはわたし
繋がって溶ければいいと望むけど ずるりと離れて別々になる
左手をそっと開いてみてみれば 君の面影追えるはずかな
引き出しの奥へ奥へと仕舞いこむ 笑顔と思い出忘れた振りだよ
ギシギシと鳴らして歩く散歩道 君との会話つくるスカート
赤茶色、好みの色ではないけれど浮かぶ姿は笑顔の君で
桜花集めて飛ばして集めて飛ばす 恋する気持ちに例えられない
ずるりと離れ繋がり溶けぬ体がふたつ君笑みながら指絡みつく
恋人の愚痴を言い合う口元が緩んでいるのは自覚あります。
匂いたつ春が君とリンクして抱きしめたくてたまらないんだ
目がかすむ年齢のせいかと言う母よ 夜更かしパソコンゲームをやめんか
まんまるに少し足らぬと拗ねる君 膨らむほほを幾望が照らす
酒飲めば心の底の声聞ける出でてくるのは君の名ばかり
図書館で5月の陽だまり集めたようなあなたが私の初恋でした
清楚なる微笑みまるですみれ花つよき乙女は野道に咲くのか
物語食べちゃいたいほど愛してるあなたはそうだ文学少女
好きと言うならば殺したいほど焦がれてよ君は俺のサロメでしょうか
指先にちょこんと触れるそれだけの熱で伝わるみっつめの欲
来年の今日も一緒にいられるように君の手帳に書き込んでおく
好きだから好きなのになぜ好きかしら 言葉遊びか恋の遊びか
「出て行け」と言われないからここにいるそんな惰性が同棲3年
稼ぎありゃ結婚するよと午後のカフェいやそれ初耳だからいやまじで
真っ暗の窓に気がつき息つめる他人の君に似てる気がして
思い出をなぞる写真とゆびわとスカート君が触れた記憶は体に
大沼貴英
春の嵐に寄せるうた四首
「明日から小学生だよどうするよ?」問うと弟「やるしかないでしょ」
事由欄「一身上の都合にて」と書くとき我の狭さ感じる
電柱になびくブラジャーどピンクに映える空の青、春一番
男三十、独身、趣味はカメラ、残像ばかり追ってきました
美しい水に寄せるうた五首
「別れよう?」自分で言って泣いている女は勝手、俺は滑稽
別れぎわ借りた君の部屋のトイレそれでも立って用は足せない
閉まる戸に投げつけた傘、骨ひしゃげ 放置して去るとき雨、上がる
いつからか磨き上げられた便器を見るたび携帯で撮っている
別れると途端に君が凝ったこと スープコトコト、深層水で
戸山公園に寄せるうた五首
フェンスぎわ猫背のアルトサックスに野良猫だけが寄っていく夜
足もとの「きもち」と書いた空き箱に『ビッグイシュー』と煮干しが二匹
カップルはブランコを漕がないのです 風に問う『恋とは何でしょう?(What Is This Thing Called Love?)』
自販機でほんの「きもち」の「BOSS微糖」買って戻ると猫すらいない
遠方の彼女の母にいただいた「カンコーヒ代」三万だった
深夜特急に寄せるうた四首
色褪せた深夜特急のチケット「使わなかっただ」と祖父の言う
「ずいぶんと洒落た名前で呼ぶだぁね こいつぁただの夜汽車の切符」
あのころの僕には読めもしなかった夜汽車の向かう先の「指宿」
じいさんの夜汽車はついに出ただろか天国行きの切符ともなれ
円に寄せるうた四首
「受け取ってくれよ」「いやいや」「頼むから」「いいよ」「いいから」そんな間が好き
別れぎわ胸ポケットに突っ込まれ野口英世は笑っていたり
遠方の彼女の母にいただいた「カンコーヒ代」三万でした
くれるのは嬉しいけどね一万と二千円也、明日の食費
眼鏡の君に寄せるうた六首
箱入りの看板娘、眼鏡屋の眼鏡屋なのに盲目なんて
輪郭をひと撫で、あとは無駄話それで見立ては完璧な君
評判は良いのに当の本人は瓶底眼鏡、ずり落ちている
唯一の趣味はラジオ、ただ聴いているだけで完コピ、歌はプロ級
「どうしたらそんなに上手く歌えるの?」「普通に呼吸するのと同じ」
「産声をあげた昔に戻るだけ、私は筒であなたは水面」
鉄道の旅に寄せるうた七首
満員の急停車「窓、開けてくれ」叫ぶ親爺に「はめ殺しです」
どの海を荒川線は渡るのか聴きつつ想う、はっぴいえんど
宇都宮‐湘南つなぐ快速が浦和駅前高架上、飛ぶ
朝五時に十八きっぷ切りまして午後五時、黄金の瀬戸内海
土讃線「おおぼけ」「こぼけ」「ごめん」駅、余所者だけが珍しがる名
一両のワンマン運転オーバーラン、のっそり行き来する運転手
左手に時刻表、右手には傷、スケボー抱え舟こぐ少女
その音楽に寄せるうた七首
明日からボブ・ディランでも目指そうか夢の夢また夢に見た午後
病み上がり雨の日比谷の野音の「や、」すらない残響にしがみついている
噴水の先また先のとどめおく一瞬、夏をきらめきわたる
天高くリバーブかかる風呂屋にて浅黒い小田和正を聴く
二十四時だれの姿もない風呂でこっそり歌う、リバーブかかる
真夜中の路地に紛れてアイポッド爆音で聴く爆音で聴く
突然の三連符わすれてたたた男の不能さらけ出す夜
あの音楽に寄せるうた七首
朝の駅ふいに和音を知った君アカペラでもおじけず歌えよ
十六分音符の裏の抜け穴に乳首の位置を透かし見る梅雨
俺たちのロックスターが愛を説き顰蹙を買うのもまたロック
冷え性の君が重ねた手の甲のうわべ掠めるポップンポップ
酸欠の渋谷クアトロ耳鳴りという免罪符もちかえる夜
臆病な友の後ろで発射台、モッシュにダイブさす仲直り
濡れ枕ふいに聞こえる弦楽を知ってしまった知ってしまったね
定型の夜に寄せるうた五首
持ち越してゆく秒針に苛まれ切り刻む言葉の先は曇り
大丈夫だと責め立てるやつがぜんぶ繰り越していってしまった夜
窓のない部屋の壁すなわち痛み、ひとの心を吸って膨らむ
十六夜の月の明かりもご多分にもれず宵越しの気分は晴れ
思い過ごしだったというよ青春はぜんぶ、この夜そのままでいる
初夏の憂鬱に寄せるうた四首
クールビズじっと見つめていた虫の死なぬのをじっ、と見つめている
ネクタイを緩める音の音飛びし、ああ疲れたと言える言える日
物欲がぐらり頭をもたげてき、そうだ何とか生き延びたい夏
髪を染め一人称を変え好きだった君は消えた、歌声よおこれ
梅雨どきの恋に寄せるうた六首
降りしきる雨のなか夜の道を行く、あなたは想い出に傘さして
笑わない、けれどあなたはこの僕の諦め早いことを知ってる
濡れそぼる高田馬場にひとり立つ、あなたは想い出だけ手懐けて
恋は気を病むものですとものの本、ちくしょうすべて知っていやがったな
あかあかと燃える証しの灯を抱いてあかぎれた手であかつきを待つ
垢じみた昨日は捨てて明かしてよ、飽かず続いてゆく欲望を
七夕の熱帯夜に寄せるうた五首
コーヒーを飲むと疲れる、東京に七夕飾りの大放物線
朝四時に寝酒を飲んで七時まで眠って起きて
最終面接最終と知らされてはいなかったけど予感がしたんだ社長がいる
確信が強すぎて思った以上に嬉しないのがちょっと嬉しい
内定を貰って気づく「おめでとう」よりも欲しい言葉「頑張って」
一度きりの夜に寄せるうた四首
処女ではない君が気にする背の低さ乳輪の小ささこそを愛す
戦争は遠きにありて思ふもの寝取り寝取られ人生と知る
オーガズムの旅に出たいと言う君の物言わぬ荷物持ちになれたら
男三十、独身、趣味はカメラ、残像ばかり追ってきました
柏の葉
公園見ないふり きらきらひかる 薬指 どんな女(ひと)かと 思い巡らす
すっぴんを可愛いという君は近視がすすんで盲目ですね。
「じゅーろっこ。顔のほくろを数えてみました。」君嫌がることやりたがる私
ボルビッククリスタルガイザービッテルどれにも負ないじいちゃんちの水
青い筋ボーダー見ていて頭痛したそんな近くに寄ってこないでよ
ぐうの音も出ないと先生言うけれどおなか鳴ります鳴りやむまでは
むくどりのヒナは人をまだ知らなくてわたしはそっと窓をしめた
傘ふたつバスを待っている人がいて大人になってもトトロは来ます
梅の実をつぶしてかぶれた指先もいとしいものの一つならずや
道端のたそがれどきのねこじゃらし車のライトにぼうっと光る
コリアンダを摘んで匂う指先を不思議なもののようにもちいる
白雲が尾を曳きのぼる はじめたることどもなどを思いつつ来て
緑から赤らむまでの数日を黄金(きん)のりんごと呼んで恐れる
「よし」「よし」と運転手は言い 跳ねるように京浜急行緑を抜ける
表札の「江島」がオブジェの題になる気の向くままに樹々の茂れば
ちらっと見てあなたがいるのを確かめて自室に戻りにんまりとする
神澤一葉
他人の目の 張り付いた部屋 足元の 電源コードを 不意に手に取る
文字遊び 業深狂者の 排泄物 褒めよ讃えよ 大家が通る
美し富士の 懐深き 白樺は 何に食われて 腐って行きしか
人轢きて 遅れし列車に 苛立つ君よ 幾刻許すや 我が命なら
鎮痛剤 抗不安剤 睡眠薬 制吐剤 皮質ホルモン剤
アスピリン トリプタノール ハルシオン プレドニゾロン プリンペラン
アスファルト 飛び石 三和土 扇風機 古きラジオの ヤニのにおい
シャンパンに たかった銀バエ 殺したと にっこり振り向く 美しい君
代経れど 理想は同じと 人は歌ふが 毒蛾の一念 蝴蝶は知らず
ふるさとは 君ありてこそ 思ふもの 山河田園 いかでか恋はん
子らの側 躑躅は今も 咲けれども 蜜吸う我は いずくに居るらむ
十字架は 日ごとに重く 自らの 腹食い破りし 蟷螂の死より
温室の 花壇に溢れし 月見草より 葉桜似合ふ 逆さ富士かな
老ひし母の孫を呼ぶたび我が名呼ぶ赤子と変わらず泣くだけの我
夢に病んで魂は荒野を彷徨ひぬ38.9℃の肉塊
夢のごと光の瞳交ぜ交わし陰も知らずに戯れし頃
代掻きも頃合いなりやおだまきの伸びすぎたるに車輪の絡めば
導けと夢に言はれど羊の我も救えぬ君が血はや酸くなりし
バイクに寄せる三十六首
バイクと愉快な仲間たち
女性諸氏今よりもっとモテたくば釣り自衛隊バイクがいいよ
デザインと反比例するルックスよ夜でも外せぬミラーシールド
流行りモノよく知らないけどまず批判乗るとビグスク意外に便利
持つならば全てをなげうつ覚悟はあるかバイク・嫁・核・個人情報
キシャヤスデ轢いて転げる木曾道のライダーハウスの泡つき麦茶
視聴率天気予報は100%飛び出すやつはスリック野郎
薄れいく意識の中ではっきりと我を捕らえる保険の等級
那須/茂原/首都高/周遊/大垂水さらに2ちゃんで煽り煽られ
雨の日に笑顔溢れる見舞客止めれギプスにタイムを書くな
開けつつも周り気になる排気音シミシワタルミがこうさせるとふ
馬場口で擦ったエヌワン転けかけてた 真っ赤だったろ? あのコケリストかwwww
バイク、ライダー、自然
太陽の燃える季節にレプリカの我が懐に炎かかえつ
夏峠君にみとれし10R離るる緑に想い届かず
紫陽花と濡草香る点描の道 あばずれ単車(おんな)よ機嫌を直せ
奥山にもみじ蹴散らし泣くタイヤ声きく時ぞ秋は悲しき
ライダーと悪の組織との戦い
望むなら速さ味方に周遊はマスクパンダも趣味入ってる
オレ貧乏あいつ市原彼失業黙って支払うハゲの離婚者
白蠅のばらまく切符は警察署・簡裁経由の市原行き
交差するフルフェイスたちのピースサイン脅威障害オールグリーン
単車乗りの孤独
太陽を浴びずに枯れるは嫌だなと鎧の下の写真とお守り
蝉時雨ガソリンスタンド我も給油しばし楽しむ内股の涼
空仰ぐ少年でありし夏は遥か土下座バイクで今日しか見えない
すばらしさ教えたかったあの夏の若木の青さは目に焼き付いて
「嫁もらう」「会社に入る」奥多摩は世捨てオヤジとゆとりのみになり
宗教や芸術なくば生きられぬ人は解るかライダーズ・ハイ
この峠Uターンせず独り往けば行き着けるのに君の住む町
バイクと命
奥多摩にユメタマ駆りて逝き人の名をも知らねば顔も知らねど
スピードの向こう側とは言い得て妙 不運(ハードラック)とダンスを踊る
ビバンダム天使の輪なきZX-9R(ユメタマ)が逝ったは地獄かまだ二十歳とふ
攻めすぎて人馬は共にオーバーレブ カムな弾けそ死なば諸共
大治郎・ノリックの次を賭けながらふと黙り込む騎上の四人
心地よい疲労感じつ降りようかふと考える朝練のあと
速かった誰もがそう言うGSX(ジスペケ)の義足はそれでもなぜ走るのか
帰り来てシャワーを浴びてベッドに入り震え始めるああ生きている
数多なる憂い憾みもこの美しき天地(あめつち)の元に還ると思へば
神様へ今日を駆け抜くライダーの全てにどうか明日をください
アクセルを握った時の歌
池袋醜く群れる歩行者よトラックだったら轢き殺してるとこ
白バイよお前が死ぬたび酒がうまいから飛ばす背中がゾクゾクしちゃうの
原付でNINJA煽ったら転けちゃって高尾病院で反省する朝
原付に煽られ転けて血だらけの君の表情(かお)が忘れられないの
アクセルを握ると人間変わるって?いえいえこれが地なんですよ
アクセルを握っていないときの歌
寄りかかる防音壁で背を白くして僕はピアノなんて聞いてなかった
穴だらけの音楽室で背を丸くして君はピアノなんて弾いてなかった
お祈りをしてから走るの?あれはただバイザー下ろしただけだったのか
*バイザー:フルフェイスヘルメットの透明なシールドの部分。
やわらかにホワイトノイズを奏でる雨に耳塞いだのはいつの日からだろうか
黒板に張り付いた夏草いきれ目を刺す青空掴めぬ空白
火をまとい揚羽は紋様鮮やかに小指の先まで縮んでいった
溢れ出す都会の唸り尾を引いてテールライトがカーブに消える
頑張って良い奴買えよもう疲れたよ次こそ死ぬぞ次こそ死ぬよ
美味しくて安いワインは見つけたが水割りエタノールの充実感がない
岸辺露伴
暁の月の姿は寂しげで田舎の祖母を思い浮かべり
鶯の鳴く声響く早天に安心感を与えられたり
とおり雨からだ通じて心まで洗い流して欲しいと願う
江ノ島の夜明けの海を前にして寄せては返る夏の思い出
マイケルが死んだと聞いて動き出すアイポッドの中、眠るスリラー
政治家を情けないと言い放つ父の姿が滑稽に映る
六月の雨に打たれて黄昏れて君と別れた日々、思い出す
周りから草食男子と言われるがそれでも肉より草が好きです
これでもかと言わんばかりに聳え立つ都庁ビルに憧れ抱く
新宿のネオン街のまぶしさで人の寂しさ隠蔽してる
に慣れた仕草で火を点けるそんな姿を彼は知らない
人生がマラソンのようなものならば何時になるかなランナーズハイ
「ナマケモノは二十時間寝るらしい」「だったらキリンをもっと褒めなきゃ」
ナマケモノが二十時間寝ると聞きホッとしてしまう怠惰な気持ち
北村仁美
小説と現実世界をうろうろといつの間にやら時間旅行
満開の桜を見上げそれよりも美しくおもう 足元を見て
金髪に白い目を刺す電車内 老婆が近づく 彼、立ち上がる
今から帰る、と 突然放つわがままに 出来立てごはんのあたたかさ
三年目これでいいのと言い聞かせ 枯れた涙とウイスキーの味
まっさらな青いお空を底辺に あしぶみをするおおあくびをする
ほろ酔いの赤いほっぺた気分良く 肥えた月さえまるまる歌う
霧島六
夕暮れに冴え渡りしはチャルメラの豆腐売りさえ我より若し
目が覚めて桜吹雪の向こう側黒く蠢くリクルートスーツ
ひとり部屋日々を送りつ徒然と横目にバナナの黒ずんでゆくを
雀鳴く蒲団の外の大都会行かねばならぬ、離せ蒲団よ
鈍行を抜く特急に友の顔お前仕事か俺青春だ
幼子の旅立ち母の道しるべ、風よ吹かんやいま雪送り
騒がしき201号室の前にほこり被ったベビーカーひとつ
あの雲が魚に見えるか野良猫の髭を揺らすが日曜の風
帰省して夜も更けたれば猪口ふたつ白髪まじりの父に酌する
あの頃は何も知らずに済んだよねと幼馴染の吐いたマルボロ
冬服を仕舞う場所なく箱につめ実家の母とは無料通話を
ふと君が捨て紙で折った折り紙をもう何年も飾ってあるんだ
道端に仄香りたる濡れツツジ摘んで蜜吸うあの日は帰らず
食堂の中年女性に大盛りと注文めば彼女やけに笑顔で
午前二時マクドナルドで繰り返す男は「だから」女は「でも」と
新宿の昼下がりにハーモニカ吹く老人メガネ妖しく光れり
宝島探す話で盛り上がるいかにも我らが厭世同盟
プリントで切りし指舐め武器の味ぼくとあなたのホメオスタシス
這う虫を信号待ちに哀れみてやはり轢かれて鯨幕かな
この口は何であろうか欠伸して我が生活圏人のいぬまま
バルコニーに誰の涙か五月雨のピリオド一つ、二つ、三つ四つ
我が部屋の小国家なる混沌に窓を放てば神の嘆息
思ひ出を売れば幾ばくなろうかと全財産百五十円也
屹然たる戸山の裏手の研究所パンデミックの威圧的様
炬燵
取り替えたバケツの水の透明に絵筆を落とす彼をみている
あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜は並んで歩く
君からの新着コメント赤文字をただ待つだけの生きものである
おそらくは彼に二物を間違って与えた間抜けな神様がいた
雨粒のようにこぼれる絵 涙のようにあふれる絵のような恋
クリスマスプロパガンダを秘密裏に指揮するのですセント・ニコラス
潮風と煙が染みた缶詰めに必要なだけ労働者たち
戦うと決めた者らを嘲笑うならそうやって朽ちてゆけ日々
両端の垂れた真白のバチストのネクタイに散る晩年の赤
彼が亡き王女のためのパヴァーヌにひっそり記したフォルテの理由
レプリカのエレクトロニカ聴き飽いてSHIBUYA-TSUTAYAでケッヘル番号(ナンバー)
自動的にビターヴァレーをゆれるきみJPEGにとじこめておいてよ
どうやったところで結局埋め尽くすオブセッションオブセッションオブセッションオブセッション
嘘に嘘を重ねてハートディスクまでハイクオリティなムービーで埋めてよ
また死んでるアート・アズ・アート商品性に負けたんでしょうと嘲笑う街
簡単じゃないときもある親切じゃないときもあるそういう感じ
マジキモいってことは知ってるけど君が欲しいとか俺死ね♡♡♡俺うぜえ♡♡♡
Re:Re:メール末尾の―END―が君からの本文よりも切なく光る
あなたには無意味でも僕には強く響いたのです 強く強く強く
君が好きといった少女コミックの中では君が恋をしていた
君の横顔が見られるポジションをすぐに見つける習性みたい
いつからか君に貸すこと考えてから本を選ぶようになってた
そこ俺も一緒に行きたいって言えなくてまたその話題に戻りたいんだ
君が来る日覚えてから最近は曜日感覚はっきりしてる
「この恋がいいね」と君がいったからその漫画みて努力はじめた
SAI
人ごみの内に映りし我が幻影 心苦しくともなお開きて歩む
はらはらと落つるよ花 君はゆく 我をおいていくな おいていくなと
星たちの夢 月のカーテン滲む入り江でまだ見ぬ宵を運ぶ船
風に吹かれてたなびいている 偽りを生きるのはもうやめた
旅すれど旅すれど変わらぬ内を抱えてどこぞ行く
移りゆく季節に咲きし永久の春 いのちめぐりてまたいつの日に
葉桜や散りし音等を敷き詰めて 君を踏み行く青々の道
青染める貫くようなスケールたたえ雄大世界展開する
しなやかに春風吹けば戯れて緑葉いのちのつややかなるを
ゆく船に積みし想いはいつの日の別の世界を旅し行きかう
太陽の裏 星たちの夢 隠されたストーリーは荒野を向かう
蜜のように甘い微笑みこぼすだけ心を溶かす優しい調べ
木の精がニコリと笑った雨の日の静けさのなか小さな出会い
最近流行不満体質改善方季節限定感謝体質
シラサギさん今日の成果はどうですか?まだまだですよと長伸びる影
雨の日に「にゃお」と鳴かないで夜知らぬ自販機住まう傷ついた猫
眺めやる瞳はいつの日の光正午の日陰老人は待つ
缶蹴りのどこかに忘れていた缶のふた開けるって約束したね
離れてもいつでも共にあるのだと何かのはずみあのふたが開く
耳奥にかすかに残るざわめきを閉じ込め眠る落日の鐘
雨音に負けじと鳴いてる君思い六月雨の街をスキップ
朝もやの薄霧のたつ芝原は雫の奏でる目覚めの歌ね
脱衣所のすっぱい臭い染み込んではるかなる日々湯気の向こうに
光もち母より出でてしばしの夜舞い散るいのち空かけてゆく
ひとつぶを重い口開けをつかみとる心の霞メロディになる
窓の外雨降りしきる灰色に遠くの音がはっきり聞こえる
砕け散る雨粒たちよどこへ行くこの降りしきる雨音の中
この場所に君はとどまり僕は行く呼吸し止まぬ海越えて
白き犬が海とたわむれる波打ち際にわれ昔友の逝くを見る
波の音思い出たちも一滴寄せては返す時の流れに
君の死はもうここにない血肉へと消えてしまったね共に生きよう
波際の寄せては返す音に入り命の呼吸に漂う泡か
靴底にいっぱいの夢すり減らしお姫様は大人になるの
ざわめきを靴底深くに閉じ込めてあの日を偲び眠るハイヒール
花々の散ってしまった残骸が大地を汚し蟲らは住まう
静寂の虚空を破る意志つぶて波緩やかに目覚める意識
雨滴たわむれた日は清らかに静かな音の空白残して
時間
バドミントン 勝っても負けても バドミントン 世に勝敗はなかりき
犬がいる 足 短いなと ひそかに思う つつじの花が綺麗だ
猫たくさん早稲田の街にはいるけれどすべての猫が皆親戚ではないのか
銭湯はとても気持ちがよいけれど年寄りばかりで眼の遊がせどころなし
五七五五七五五七五七五七七頭の中は俳句のことでいっぱい
あじさい祭り境内に賽銭箱一つ二つ三つ願いごとは宙を舞う
朝ごはん食べたら次は昼ごはん仕上げは夜の晩ご飯
六月は毎日メロンを食べました。七月はスイカだ。八月はなんだ。
アンデス タカミ クインシー アムスにアールス 六月メロン
吸ってないのに煙草臭い 八百屋の親父は超やばい 安全地帯はメロンだけ
六月は毎日メロンを食べたのか八百屋の煙草に慣れたのか
四方八方ギラギラ視線を放つゴキブリが見ているのは床
ありがとんぼ どういたしましてんとうむし ムシいないのに虫がいる
毎日毎日を日々平穏に過ごしていたら光が砕けた。マイケルが死んだ。
100円秋刀魚パサパサだ。500円秋刀魚はプリプリだ。同じ秋刀魚で何故こうも違うか
100円秋刀魚パサパサで500円秋刀魚はプリプリだ同じ秋刀魚で何故こうも違うか
人間を秋刀魚に置換えてみるならばやはり100円か500円か
私を秋刀魚に置換えてみるならばやはり100円か500円かいや、1000円か
100円秋刀魚プリプリで500円秋刀魚パサパサかも思い込めばそこは天国
500円秋刀魚に100円秋刀魚おれもプリプリ思い込みは世界を救う
5人と1人 5匹と1匹 イチローと俺 人間に区別があるないような不思議な気分
丑の日に蒲焼ばかり並んでる鰻の顔はどこへいった
丑の日に蒲焼ばかり並んでる鰻の顔はどこへやら
丑の日は牛食べないのにうっしうし鰻を前にうっしうし
捨てられ続ける鰻の頭いっそのこと身だけで養殖すればよし
夕暮れどき携帯に刺す茜色新宿の空は不気味に美しい
夕暮れどき鰻頭に刺す釘 身は不気味に光るにょろにょろ
夕暮れ時マンション屋上男女がふたり心震える高所恐怖症
美しい空をつくるは光化学スモッグ マンション屋上に男女心震える高所恐怖症
不気味な熱気渦巻く早稲田の街目立った者勝ちひげ、基本
早稲田の空不気味な熱気が籠ってるこれは人か犬か猫か天気か
どん どん どんどんどん どんどんどんどんどんどんどん 煙草をやめたら鰻のぼりのハイテンション
布団の匂い太陽の匂い良い匂いそれはノミダニの焦げたにおいだ
ばしゃばしゃばしゃ ばしゃバシャバシャ ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃバシャバシャ 縦に泳ぎ続ける大人の集団
ばしゃばしゃ必死で泳いでる中年心が痛む青年
風もラジオもテレビもゆっくりしてる日曜日 自殺のための月曜をひかえて
風もラジオもテレビもゆっくりしてる日曜日 自殺の多い月曜をひかえて
おなかがすいたテーマは食べ物に自然と詩歌づくりは腹が減る一方
夕飯は何食べようかと考える秋刀魚に鰹ミョウガオクラとフルーツトマトデザートはメロンかスイカかこんなことでは詩歌は書けない
煙草くさいそれは自分が喫っていた大好きだった煙草の香り
スパスパと喫えば喫うほど喉イガイガ オエオエなくなる身体変化しつつ
カーペット洗濯するのは大変だ厚いし重いし乾かないし人生は汚れがたまる
半年ごとに汚れがたまる人生内臓は掃除することができない
半年前毎日楽しく過ごしてた半年後毎日楽しく過ごすだろうまたカーペットを洗いながら
暑苦しい汗が体中から流れ出るカキ氷で冷やす夏の内臓
暑苦しいオペラがラジオを流れるこいつは顔中ヒゲ面の獣だ夏の夜
暑苦しいほんとに顔が暑苦しい政治のイチロー
暑苦しい存在OS暑苦しいあの唇を少し削れ
ビデオ屋に行ったらいつもの顔がいっぱい俺の名前は新作だ
コンビニに行ったらいつもの顔がいっぱい俺の名前はたまごスープだ
100円が財布にいっぱい溢れてる言ったらアンマリ面白クナイと
リモコンがうちにはこんなにいっぱい動きたくないのか動きたいのか人間
クリネックススコッティセレナーデ食べてもないのにすぐなくなるティッシュたち
かき氷もうすぐ祭りが終わっちゃうこんなに暑苦しくて苦しいのにブルーハワイ
渋谷 彰広
ひとあし、くずのはひらり ふたあし、くずのははらり ああここはそら
ざわ、ざわ 澄んだお空が さしこんだ あるくちおしさ こみあげてくる
だそうとも いでこれずもの 然れども にじみでるもの ここにありや
わだかまり はじけずとも、くすぶるは いつぞのいかり あまたのおもい
土塊を ほじくりふれる かわいてる 貸し出す先も 枯れた土地なら
現れる 限界集落 次々と ここは都か 姥捨て山か
ひしめいて ぎゅうぎゅうと 風の音 おきなとおうな
たからかに 弱きをまもれ うっかりと よわきてのひら ふみつける
転ぶちご しかるははおや おにのよう ちごはしらずや あいされている
きず滲む つーっつーっと こぼれおつ ゆれるひだまり うつるすがたは
やわらかな まなざしといき なでるよう からめとられて かせかきずなか
ひとり住む 四割こえた ここはどこ ここはうつつよ こことうきょう
いつのよも かたりつがれる おやばなれ まちどうしいな しんやくエヴァ
ちごのかず ペットのほうが あまたをる ちごに取立て けもの払えず
たまごの値 ふつふつあがり かすみたつ デフレのさなか ぶきみさかすむ
日たかだか あかりあふれて 線消して。ひかげ褪せゆく こわい、こわい
ふとみると 異形の姿 ざら、ざら べたりごつごつ ハハこれわたし
父はよく 痛い痛いと 囁いて こもれびのよう かげふむわたし
大樹の しなりぐあいが まるでそう 父の腰沿う かたちのようで
ハァハァァ キュるるぐぐぐ おいおまえ! はぁなんだって? え・・めしまだ!
かなしみが その身を焦がし やきつくす 燃えゆく瞳 眼そらせなくて
かわいそう ことばあふれて わずかだけ なにもできない わすれないひと
水差しの湛える青に映る盆運ぶ思いはわだつみに注ぐ
水差しの湛える青に映る盆運んでゆけばわだつみにつぐ
いきずらき 飛び込んだ先 ジャパン。吐けど浸れど キックリターン
巷行く 文末泳ぐ 海馬 気づけば背伸び おもしろきかな
たつ霞 関所につけず 霧の中 どこか聞こえる まつりごとの音
焼けた肌 綺麗なうなじ ふふふ麩麩 特価品 美女木の店
水回り かまびすしきね じゃあじゃあ 子の口捻れば ぽとり、ゴメン
澁谷美香
一目惚れ はずしてほしいサングラス ガラスの奥の瞳が気になる
ステージででキミが歌ったラヴ・ソング 長澤まさみが好きなのね。
終わりだね 話すことばがもうないよ 残すはたった好きの二文字
エナメルのにおいが部屋からしてきたら 今夜の夕食準備はいいです
手紙ならすぐに返信くれるかな メール嫌いとつぶやくあなた
友達もその友達も知っている きみだけだって、気づいてないの
屋上から 高層ビルの隙間から同じブルーを見ている二人
新しい彼女が出来て就職した 劇団辞めた 君は変わった
角砂糖3つもいれたミルクティー アイツのことはもう忘れたわ
童顔の彼の残り香 汗 甘い香水 ラッキーストライク
君の顔照れてるように見えるんだけど 真っ赤な夕日のせいかなぁ
「みにきてよ」もらったライブのチケットは鞄の底でくしゃくしゃにする
オツカレサマ 形式だけの言葉しか言えない私はファービー以下
相手の立場考えないで行動する17才など卒業しました
カレーがね、作りすぎててあまってて…ハートを盗む泥棒のはじまり
弾くたび埃舞い散るレスポール 削れてくプレゼントだったピック
添削済みおたおめメール 先生いわく1日遅れがミソらしい
本当はお金も時間もあったのに チキンは当分肉食になれず
藍色のひと夏だけの浴衣着て 自分のためかあなたのためかなんて 考えたくない
水玉にインクを一滴落とすように今日をとじこめられたなら
左から右手にうつったピンキーリング みじかい夏よ さようなら
〝いつだって別々さ君がそう思うなら〟 死んでもそんな事思うもんか
拾語
いつからかタールのように噴き出したたったひとつの動的な何か
目の下の黒子と腕の宝毛は父親譲りの幸福の証
鏡台に並べた凱旋門とガスタンク引き出しの奥の野ばらの香水
雨が降る陽が降る葉が降る鉄が降る全部吸い込んで肺が膨らむ
君はなぜこんな夜更けに詩を吼える野犬の喉を刺す月、鋭利
君が君であるが故に破壊するダージリン香の残る揺り椅子
シュー皮の様なため息飛んで行く未だ幼い映写機の中
名も知らぬジンジャエールの銘柄を記したメモがどこかに消えた
君の頬の黒子が作る仔ぐま座を僕以外には誰が知り得る
日を追って高くなりゆくピンヒール厳つい街を踏み砕く赤
手鞠(てまり)
貴方の髪の 水玉掬う ドライヤーの 熱風が好き 布団寝転ぶ
牛蛙 蓮華 深池 貴方の声 ミルクみたいな 白い明方
藤岡文吾
色落ちて枝に残るは緑葉のみぬるい春風に揺られて漂う
人の渦 もまれてもつれて 一か月 抗いながらも 違う己に
地球紀行 行きたい自分は いるけれど 財布の中身 深いため息
眩しい空 きつい青さに 苦い笑顔 昨日の酒が 残る頭で
夕焼けに光る麦茶と水滴と赤茶に染まる君を見ている
いつだって私私は私私がなんで誰かになれるの
よる波が僕をさらって帰って行くぼくなんてもうどこにもいないのに
流れる雲を見ているとこう思うんだ世界なんて無くなれば良いのに
羽を割いたその感触は今も忘れないあの子が笑って踏みつぶした夏
誰かがいた電信柱に支えられた夜初めて知った人は優しい
あぁ蝉や声高らかに叫ばずともぬけがらはすべて潰してあげる
息をしないで身をよじり衣の上から触れ合えばああここにこそ人間を見たり
本間武士
この国で俺の家だけ石器時代何故か楽しげ笑う無精髭
約二分開け放たれた冷蔵庫貧相ながらも悩める喜び
狭い国自由気ままに飛び回り気づけば故郷ロシアより遠く
頭打ち歌を忘れて勉強家気づけば歩くことわざ辞典
成すは凡夫成さぬは英雄いつからかどこか狂った歩合制
しがみつき身を震わせるのは蝉よ明日の自分を思うのか蝉よ
清水に魚は住めずと知りつつも注ぎ込みたくなる漂白剤
雲を見て遠くへ往くと言った君動けないのは浮いた僕だけ
なるほどなこれはおそらく蜃気楼腕を伸ばさず理解した振り
もっと窓をもっともっと空気を!蟻塚で漏れた微かな呟き
金曜日ぶつかり合った傘と傘笑いかけても顔すら見えず
月曜日ぶつかりあった傘と傘睨み付けても顔すら見えず
日曜日昼か夜かもわからずに荒いすりガラス遮光カーテン
お世辞だとわかっているのについ笑顔何回言ったの素敵な顔ね
お花見と言いつつ枝は緑一色過ごした時だけ何も変わらず
今日だけは渋滞さえも流れ星飛び込んでみた高速道路
押入れにしまったテレビ置くラジオただ声だけを聞いていたくて
帰ろうかそんな空気の三人組ここに自分をもひとり足せたら
捨てたらどう 守るためには今日とて分別憂鬱な声背で受けながら
なぜ走るただ立ち止まる日を追い続け岩流の荒野吐く息は黒く
まある
夏風にざざめく稲葉の濃緑の海辺 汗にすける君の背をみていた
後輩がくれた別れのマグカップ茶渋の色に歳月を思う
梅粥の酸味に偲ぶふるさとの青梅つける祖母の手恋し
霧雨に相合傘をしてた秋 春の雨には2つ傘をさす
霧雨に濡れてあでやか赤松のさかむけた肌 哀れ女よ
「わかれよう」言うと決めた電話だけ 限ってとってはくれぬ君
高原でこのもや雲よと教えるとふわふわしてきたと笑う十八
銀座道 プラダ、シャネル、ルイヴィトン 「およびでないし」ツンとすまし顔
曇天に映える馬場道看板街 これもまた好き第二の故郷
おいときたい心のどこかにブルーレット おとしてくれぬか水底黒ずみ
五月晴れ春色スカートふくらまし風がはっぱとくるり輪を描く
蒔かぬ種の花の色を語るより固い大地に鍬いれる勇気
ひだり前ぬすみ見ている君の肩 ふと目があうことを切望している
好い声 耳は澄む ため息もひろえる 君は、遠くにありて聴くモノ
雷鳴に怯むないざ行け走れ 帰る部屋に灯はないのだ
きしむ手指は金平糖のような痛み 夏の白昼夢 水追いに溶けいる
あなたの頭蓋骨きれい、目蓋、奥歯 てのひらの恋 まどのそと、あめ
言葉などいらない愛を最上と呼ばないで 背に呟くは、
現実は換気扇の音まわる山手線 立ちくらむ青
海抱かぬ大地に生まれ夢中に水の中をえがく いま日々生きる
三年忌祖父の戒名、耕雲院 梅雨空に鍬を握る手を見る
明鏡たる皐月の稲田あぜみちに佇めば平行世界の誘い
彼方より、うすみどりの水面溶けいる死をまつ 透きとおるような
AM7時またたきの後16時 汚れたリネン 痛む脳髄
恋人に歌ったフォーレなぞる夜 ふ、と愛されていたことに気づく
歌批評しよ クリアだの濁りだの早稲田ビールの夜7時半
予感す。雨は蝕む蜘蛛の糸 沈黙と小指 ぱつり、ぱつり、と
筆と病 僕の苦しみは青僕の悲しみは青喜びは青
「助けて」呟く自嘲リアリティをもたない誰かの青い碧い背
シリコンが埋め立てる僕の甘さヴィニルのつやめき オイルの先 独り
下校雨君にさしだす相合傘 問はず語らず発光する頬
叉旅猫目
右耳にせえのであけた丸い穴今はときどきじくじく痛み
したあとの湿った疲れぶつけ合いペットボドルがごとんと揺れる
散らばった契約書類の氏名欄には匿名匿名匿名希望
ハイジャック犯吸うHOPEの指先ピンク揺れる自意識無視する股間
屋上でおでんを食べる午前9時愛や希望は感光してる
アイスクリーム溶けた溶けて笑うまるで死体みたいな笑顔ね
キスしたらかちりと何か音がしてこれは始まり?何かの終わり?
復活の呪文が思い出せませんプラスチックで出来ていたのに
人を刺すためのナイフはこちらです可愛く包んで差し上げますね
夏服の透ける背中を目でなぞるノストラダムスよ力を貸せよ
夜が明けてキオスクで触れる指先が失くした温度を思い出してる
落下する日々がスライドショーのよう正しき光夕闇に消え
去り際に置いて残した真っ赤なトマト隣にメモを「不発弾です」
1995年の真ん中に取り残された幼女の尿意
順番を間違えたまま朝がきて僕らの正しき愛が始まる
山田太郎
満開の舞い散る桜みて思う風に流されどこいく未来
満開のさくら飛び散る強い風私のさくらいついつ咲くか
吹雪のよう風に舞い散る桜たち「綺麗」そういう君が「綺麗」だね
桜の木今年咲いたら一年後来年もまたまたありがとう
風が舞い今年も桜咲きましたあのこも桜みれているかな
それでも星は輝くし太陽はまた昇るそれでいいいいんです
大手町スーツを着こみみな疲れ線路は続くよどこまでも
君は言うもう少しだけ開いたらそれでも私こもる貝殻
愛想尽かされても一向に構わない君が幸せならそれでいい
酔っぱらいホームで嘔吐三時間山手ぐるぐる我記憶なし
痛む膝青あざをみて思い出す昨夜のひとりボーリング大会
カーリング電話が鳴ってコーリング最近流行りのサイクリング
ゆるり
いい酒で触れそうで触れない肩ふたつ終電逃せと言いたいけれど
迫りくる三浦の海よ ああ海よ 思わず叫ぶ サーファー笑う
日が延びて西日が襲うキャンパスで輪をかけ眩しい新入生たち
眠れない夜に電話で泣いてみる きみも泣くからちょっと笑える
キューポラの黒い煙は夢のあと シャッター街は黙るばかりで
笑う声 放れば返る 眠る山 友のカメラと 埋もれる足と
四月の雨去って冷え込む夜の路 影をふみふみカレーの匂い
前を駆けるセーラー服のプリーツの伸びた少女にわが面影を
子育てはもう終わったと笑う母 声に混じった強がりは見ぬふり
ふと黙るきみのひび割れたくちびるをじっと睨めば世界が止まる
内ももの隙間の見えるスカートで街に繰り出せフリルを揺らせ
午後の二時あの胎児の頃のようにひとり布団で丸まっている
行く春に静かに沸いた憂鬱をグラスに注げば今宵も甘露
蛍光灯がトイレの鏡に映すのはわたしの顔の嫌いなとこばかり
腐れ縁切っても切っても切れぬもの切れたとたんに寂しくなるもの
踏み切りを転がるようにかけた夜あの日だけ君は恋人だった
あの日から寝ても冷めても胃を焦がすように痛むか失った愛
桃色のロングヘアーのダンサーは汗すら舞台衣装のようで
雨の日に狂おしく咲くツツジ花一斉にじっと我を見ている
ペディキュアのきらめく五月に手を振って梅雨のストーブを準備する夜
あの人は譲っちゃだめよと私に言う恋愛上手なアラ還*の美女 (*アラ還=アラウンド還暦)
東西につながる窓の道を吹く風が涼やか夕方の居間
全身を蟻が這い上がるのに似た絶望が今傍らに居る
壁越しに伝わる夜の雨音を強く激しく抱いて朝まで
脳内にいつかの声がこだまする。あの子は今は元気でいるか
君んちのプラスチックの急須には安い煎茶の平穏な味
スルスルと体に流れる鉄の音わずかに聞いた貧血の午後
サランへヨ。カムサハムニダ。チャン・ドンゴン。婆ちゃんに来た遅い春
11時汗の匂いのするスーツ脱いでそのまま翌日の朝
燃え尽きた蛍は塵になるのだろう疲れた胸がそっと呟く
藍色の空に浮かんだあの月のうさぎはいまだうさぎに見えず
半べそでギター抱えた弟よいいではないか歌え歌えよ
面白い?ねぇ面白い?と監視する君がそんなじゃ漫画も読めん
ご近所のオヤジもキミもそうですがどうして人は風呂で歌うの
この肺はまるで言葉の留置場そとにでたいと皆あらがうよ
息の音止まってどれだけたつかしら本を読んでる君の静寂
ふと思うSuicaに残る3円をどう処理しよう?どうでもいいね
疲れ果てそっと漂う寂しさにくしゃみをひとつ家に帰ろう
この広い世界ではみな主人公そんな大嘘ついたのは誰
秘密など窓が曇れば覆われる今夜は星がやたら多くて
にじりよる醤油ラーメンの香りと指がさまよう衣擦れの海
食われるか撃たれるかする猪の首は短く太く短い
青空と曇天色のパンツとのあいだに立った私緊張
夕闇のセピアに溶けて風景画と化すばぁばの背中は小つぶ
2000mm森の深部を仰ぐがごとく澄み渡りゆく喉仏かな
群青のパラグライダーの端っこに掴まってでも希望する飛翔
友人がハマりはじめたヨガの名は十二指腸のポーズだそうな
干したてのお布団みたく純情無垢の湯気たちのぼるあなたの匂い
8日目の洗わぬ靴下の悪臭に負けじ劣らずじ君のうそ
高くても困るが低血糖低血糖低血圧低気圧電話料金
揺れる。君のパルスと白い壁白い壁に一点のしみみっけ
悲しき酒飲みの口はライフルだっただった頃だだだだだだ駄々っ子
君の言うあなたのももの白き油脂それが好きだと口のほころぶ
あなたの言うあの子のももの白き油脂それが好きだと口のほころぶ
右が欠け左下欠け、メロンパンの表皮 ぼろり。 と黄色き星の砂
「ウーロンハイ!」「百年梅酒。」「生中ねー!!」カシスオレンジ乙女のしるし?
汗つたう広い背中の美しい(ワタシノモノヨ。)すするジャスミン茶
てぇつなご。差し出す彼の左手はいつもの2倍大きく見えた
大好きなあの人が振り向くのならやってやるとも核開発も
まっ黄色に染まる夜のカフェテラスさむいさみしい広重が好き
真夜中にひとりはさみしい声出さず壊して欲しい千切って欲しい
甘辛い赤い林檎の純情は18のよるけしとんじゃった
テキーラで酔うはずのない君のゆび胸に止まった蝶々みたい
テキーラで酔うはずのない君のゆび乳房にとまる蝶々みたい
おひとりで銀座京橋イタリアンとなりの席は駆け引き中ね
胸張って恋人のメッカお台場の女性お二人バンザイアタック
終電の田端改札キスをするスーツのふたりそっと眺める
ホントハネ あなたの睫毛すきだけどもっとだいじなあのこの笑顔
すべり込むぬくい潤んだくちびるが話とぎれてあいた隙間に
くれむつ和歌集(2009年春夏) 終
2010年2月26日金曜日
2010年2月3日水曜日
投稿作品13(2月2日までの分)
ついに最終回となりました。
毎回が、授業というより、歌会や詩会というべきものでした。正直言って、主催役・先生役の私としては、想像もしていなかったような楽しい刺激的な時間でした。
短歌はこうあるべき、といった枠組みをできるだけ取り払って、しかし、短歌ならではの字数の少なさを生かしつつ約一行で詩作してみると、これほど豊かな、バラエティーに富んだ作品が出てくるのかと驚かされ続けでした。
授業中にもたびたび言いましたが、短歌というものを超えて、出短歌記ともいうべき詩的な旅が始まるべき時が来ていると確信しました。今回の授業にたまたま集まった人たちには、短歌的形式への自らのセンスを発見できた人たちも少なくないはずですが、言語表現のひとつの選択肢として、ぜひ今後も考え続けていってもらいたいと思います。
2月10日の親睦会もお忘れなく。
◆投稿作品13(2010年2月2日までの分)◆
うぐいすさんのコメント...
うぐいすです。新年から暗いテーマですが投稿いたします。
自殺とは涅槃の最期欲捨てて来世に堕ちる甘き業なの
「いつ死のう」答えなき問い空に消え枯れし涙は今日も応えず
一過性人身事故は他人事舌打ちされる命の尊さ
籠揺れる色んなものを抱きながら 時には命ひきずりながら
泣かないで精一杯に微笑んで生き急がずに吾は死にたい
2010年1月22日10:11
マルディさんのコメント...
こんにちは。昨日の授業には間に合わなかったのですが、投稿します。
ポーズ(pose/pause)とる「苦しい時こそ深い呼吸」ヨガの教えをくり返す朝
人生は予兆、予兆に満ちている だから、いつも明日までは待って
2杯目のアルコール廻るときみたい我が身貫くきみのその声
隣りからサクランボ来た桜桃忌揺らし眺めつ回診を待つ(2009年6月の入院日記より)
すべてのきみ「きみしにたもうことなかれ」音は違えど私も晶子
きみ宿りわが教会に光射し 恋と信仰、学問を得る(2009年12月の日記より)
2010年1月22日10:13
時間さんのコメント...
時間です。長くなってしまいすみません。よろしくお願い致します。
○ 葉がずしりと重くざわめく口にすると甘さ膨らむ緑の青さに吸い込まれゆく
○ 雑草のような姿この黄色い花の少しの動物性をふくんで春になると際立つ
○ 主として秀でるのではなく一つとして息ささやくそれとして意味深長となる
○ 奇跡のカビかなにかの菌が形をふくんで形状と化すその歯ごたえは確かに
○ 記憶は果てることなく回転すあるがままの姿はどこへ飛ぶのか
○ ふんわりとした甘さかそれとも繊維の密かすでにこの骨は知るのか
○ 赤い鱗が綺麗にならぶ寒さに凍えてあざやかに光る昔のままでそこにいるのか
○ はちきれるほどの白さのなかに味噌がひそむ体の実は遥かにそれをこえる
○ 三種類のそれぞれがほど良く合わさった皿にならぶと華やかなまで彩る
○ 言葉はそこになくて音だけが箸を交じわす、わずかなわさびの香りがする
○ 茶の照りかかったその形の動きのない空とともに噛むと、現れるのは青
○ 歩く足がそれぞれに進み、それぞれを進む、知らぬ所へとわからぬ時へ
○ 同じように見える一つが束になって現れると、勢いをまして近づいてくる
○ 虹が通りすぎたように揃えて三列となって眩しく、たんぽぽの花そこに咲くのか
○ 下にいるのか上にいるのか、北から来たのか生きてるままに閉ざされた場所へは帰らず
○ 部は想像をこえ全は見えず、そのままを見てそれとするのか遥かをのぞくか、足の形は現れるのか○ 同じように見える一つが大きくなって現れると、恐ろしいほどの物になる
○ 包丁の音、冬の音、水の音、ざるの音、ビニールの音、葱の音、軽快な音、味の音
○ 土のなか、足跡だけが増えていく、数が増すほど目がよろこぶ
○ 真っ赤な鳥居を見あげると遠くに鳥の姿があった、見透かされたような気持ちになった
○ 走っているようなオレンジ色が深い緑と色合いに見ている人を驚かす、夕方だった
2010年1月29日11:45
マナ子さんのコメント...
とうとう最後の授業ですね。いろいろと考えるの楽しかったです。
あの雲は竜のかたちと言う子供「今はカモメを食べているところ」
さみしさが溢れ過ぎててびしょ濡れで雫を撒き散らしてごめんね
春になってカメラもってお花畑へ駆けつけよ我が安直!
オレンジと白と黄色とやがて黒 溶ろけるチーズが餅の上
金色の光まっすぐ目を刺したネオン韻踏む学生ローン
出かけよう湿った髪もそのままで風が吹くのでもう帰らない
2010年1月31日18:55
匿名さんのコメント...
佐橋です。今頃初投稿でごめんなさい。兄が結婚するので、それについて何となくつくりました。なお最後の歌は無関係ですが授業開始してすぐに考えた歌なのですが投稿の勝手がよく分からなくて放置してた歌です。
・今春に挙式する兄祝福す ポツリと我に「仮テンツモった…」
・メーテルが理想の女と言っていた 彼の背中は小さく見える
・式あげる ただそれだけで300万 既に自分もマリッジブルー
・酔い潰れ 病院起床でカテーテル そんな愚兄が家庭持つとは
・葬式と結婚式の相違点 曰く「当事者の生き死にだけ」と
・痣らしき 常は永久にぞ 右為の志士 寝ず見失しつる 冷めた抜き樺
2010年2月1日10:17
SAI さんのコメント...
前回は自殺・鬱についてのテーマで来たので、そのインスピレーションで投稿しようと思いました。私自身、出口の見えないトンネルを歩いているような気がしていた時期がありました。今もまだ、トンネルの中にいるのかもしれません。しかし、その先に光をイメージできるようになったのも事実です。どんな自分であれ、中途半端で不完全な自分であれすべて、引き受けて一歩踏み出していくこと、これがトンネルの中で学んだことです。過去はもう過ぎました、未来はまだやってきません。私たちの手の内にあるのは唯一、今という瞬間だけです。過去への後悔や、未来への不安も糧にして、思いっきりスパークしましょう!!
死にたいと思うあなたの本当は生きたいんだと他の誰より
いいんだよ弱さは弱さのままでいてそれがあなたの花になるから
弱いから大切なものに気付くんだたった一つのいのちの果てに
まっすぐだだから挫けもするだろうでも開いてこう今のまんまで
不完全それがスタートいつだって永遠の歌探しに行こうよ
ビーイング支え合って生きてきたまなざしたちは見守り続ける
ありがとう出会ってくれたもの総て道に咲く花ともに生きよう
2010年2月1日19:44
北寺瀬一さんのコメント...
雪ですねー!自転車に乗っていたら指が切れそうに痛かったです。
ギターより君から借りたニルヴァーナ ケースのヒビ割れ撫でる指先
「俺ギター弾くからお前、アレ買えよ」僕がベースを始めた理由
柑橘の色と香りが通過した中央線と踊る黒髪
ブレザーじゃ第二ボタンに意味はなく、こころに近いなにか下さい
2010年2月1日20:56
大沼貴英さんのコメント...
大沼です。一年間、ありがとうございました。でもこれで終わりにはしたくありません。今後ともよろしくお願いいたします。先生の仰る「まったく新しい、短歌ではなく別の名前で呼ばれるべき何か」を本当に出版できないものか、夢物語でなく、真剣に考えていきたいと思います。 では、とりあえず区切りの四首です。
卒業に寄せるうた四首
日曜の夜にシュガーベイブを聴いて泣くなら感傷ごと愛せよ俺
赤いカルボナーラとミルフィーユ。この相性も信じなきゃ嘘だよ。
夏なんです。秋なんです。冬なんです。卒業なんです。春なんです。
文学部四年が小学国語を教え「一番つまんないのが答え」
2010年2月1日23:41
礒部さんのコメント...
いそべです。短いあいだでしたが、この授業に参加できてよかったです。毎回皆さんの意見が聞けてとても勉強になりました。
もうすぐで電車が入るホームにて鳩が並んだ白線の上
押しつけた本を光が飲み込んで機械は紙に写し吐き出す
手芸屋のボタン売場の引き出しをすべて開けたし冬の日の午後
開かない自動扉の前にいてとっさに浮かぶ呪文のことば
真夜中の公園にあるブランコを自由に揺らす冷たい夜風
子どもから大人に変わり増えるのは心のなかの疑問符ばかり
2010年2月2日0:13
青木さんのコメント...
今夜の投稿をみて、みんな起きてるなーと思いました。
夢に出たギターを背負う女子高生 例えるならばティーンの匂い
高校の授業パスする二時間目 今日はきみとの青春ごっこ
帰りぎわメールアドレス聞けなくて戻ってこないブーメランする
いつまでもトライアングル鳴らしてる「何かあったの?」って聞いていい?
「すべて」とか「ぜんぶ」とかついまとめちゃう(でも、世界は単純かもね)
2010年2月2日1:08
青木さんのコメント...
■親睦会の出席を取ります!
■あと、こんなコメントの最後の方に書くのも何なのですが、10日の親睦会の出席を取りたいと思います。参加する人はこのコメント欄にその旨を表明してください。10日は18h15に馬場のロータリー集合にしましょうか。お店は、ロマーノというところを取りました。値段も比較的リーズナブルでまったり出来そうだったので。。。遅刻する人は適当に現地に赴いてください。東京都新宿区高田馬場2-14-27 村山ビル1F 03-3208-7388
2010年2月2日1:13
耳野さんのコメント...
とても変な時間にすみません。変な時間に眠ったせいか逆転しています。いまは雪がやんでいるようですね。
制服に拙ぬ唄声の横顔を仰ぐほど尊き我が情念よ
橙の窓辺より白き雪道と急くひと観て生きる今日は浮世絵
一瞬のセンタースポット浴びし後配送されしぼくは貸付屍体
緞帳色の泪だけ覆う仮面して肉曝すぼくらは青毒症だつた
声持たず食事せずとも息づいた乳肌のきみは創世主もどき
藍空に浮かぶ星採りては飴玉のよに呉れるきみよ成らなくていい
あ、親睦会 行きたいです。
2010年2月2日4:34
マツクラさんのコメント...
マツクラです。少ないですが投稿します
オレンジのバンダナ巻くとダサいけど蕎麦屋娘を蕎麦屋たらしめ
うつむくと泣いてるように見えるのを確かめもせず見つめてる
2010年2月2日12:50
叉旅猫目さんのコメント...
叉旅猫目です。一年間ありがとうございました。
ℓのキッコーマンがぼくたちの間で揺れる日曜の午後
真夜中のスタッカートが合図八分音符は街を駆け抜け
ぼくたちは白いページを黒くするために生まれたわけじゃないもの
2010年2月2日13:45
毎回が、授業というより、歌会や詩会というべきものでした。正直言って、主催役・先生役の私としては、想像もしていなかったような楽しい刺激的な時間でした。
短歌はこうあるべき、といった枠組みをできるだけ取り払って、しかし、短歌ならではの字数の少なさを生かしつつ約一行で詩作してみると、これほど豊かな、バラエティーに富んだ作品が出てくるのかと驚かされ続けでした。
授業中にもたびたび言いましたが、短歌というものを超えて、出短歌記ともいうべき詩的な旅が始まるべき時が来ていると確信しました。今回の授業にたまたま集まった人たちには、短歌的形式への自らのセンスを発見できた人たちも少なくないはずですが、言語表現のひとつの選択肢として、ぜひ今後も考え続けていってもらいたいと思います。
2月10日の親睦会もお忘れなく。
◆投稿作品13(2010年2月2日までの分)◆
うぐいすさんのコメント...
うぐいすです。新年から暗いテーマですが投稿いたします。
自殺とは涅槃の最期欲捨てて来世に堕ちる甘き業なの
「いつ死のう」答えなき問い空に消え枯れし涙は今日も応えず
一過性人身事故は他人事舌打ちされる命の尊さ
籠揺れる色んなものを抱きながら 時には命ひきずりながら
泣かないで精一杯に微笑んで生き急がずに吾は死にたい
2010年1月22日10:11
マルディさんのコメント...
こんにちは。昨日の授業には間に合わなかったのですが、投稿します。
ポーズ(pose/pause)とる「苦しい時こそ深い呼吸」ヨガの教えをくり返す朝
人生は予兆、予兆に満ちている だから、いつも明日までは待って
2杯目のアルコール廻るときみたい我が身貫くきみのその声
隣りからサクランボ来た桜桃忌揺らし眺めつ回診を待つ(2009年6月の入院日記より)
すべてのきみ「きみしにたもうことなかれ」音は違えど私も晶子
きみ宿りわが教会に光射し 恋と信仰、学問を得る(2009年12月の日記より)
2010年1月22日10:13
時間さんのコメント...
時間です。長くなってしまいすみません。よろしくお願い致します。
○ 葉がずしりと重くざわめく口にすると甘さ膨らむ緑の青さに吸い込まれゆく
○ 雑草のような姿この黄色い花の少しの動物性をふくんで春になると際立つ
○ 主として秀でるのではなく一つとして息ささやくそれとして意味深長となる
○ 奇跡のカビかなにかの菌が形をふくんで形状と化すその歯ごたえは確かに
○ 記憶は果てることなく回転すあるがままの姿はどこへ飛ぶのか
○ ふんわりとした甘さかそれとも繊維の密かすでにこの骨は知るのか
○ 赤い鱗が綺麗にならぶ寒さに凍えてあざやかに光る昔のままでそこにいるのか
○ はちきれるほどの白さのなかに味噌がひそむ体の実は遥かにそれをこえる
○ 三種類のそれぞれがほど良く合わさった皿にならぶと華やかなまで彩る
○ 言葉はそこになくて音だけが箸を交じわす、わずかなわさびの香りがする
○ 茶の照りかかったその形の動きのない空とともに噛むと、現れるのは青
○ 歩く足がそれぞれに進み、それぞれを進む、知らぬ所へとわからぬ時へ
○ 同じように見える一つが束になって現れると、勢いをまして近づいてくる
○ 虹が通りすぎたように揃えて三列となって眩しく、たんぽぽの花そこに咲くのか
○ 下にいるのか上にいるのか、北から来たのか生きてるままに閉ざされた場所へは帰らず
○ 部は想像をこえ全は見えず、そのままを見てそれとするのか遥かをのぞくか、足の形は現れるのか○ 同じように見える一つが大きくなって現れると、恐ろしいほどの物になる
○ 包丁の音、冬の音、水の音、ざるの音、ビニールの音、葱の音、軽快な音、味の音
○ 土のなか、足跡だけが増えていく、数が増すほど目がよろこぶ
○ 真っ赤な鳥居を見あげると遠くに鳥の姿があった、見透かされたような気持ちになった
○ 走っているようなオレンジ色が深い緑と色合いに見ている人を驚かす、夕方だった
2010年1月29日11:45
マナ子さんのコメント...
とうとう最後の授業ですね。いろいろと考えるの楽しかったです。
あの雲は竜のかたちと言う子供「今はカモメを食べているところ」
さみしさが溢れ過ぎててびしょ濡れで雫を撒き散らしてごめんね
春になってカメラもってお花畑へ駆けつけよ我が安直!
オレンジと白と黄色とやがて黒 溶ろけるチーズが餅の上
金色の光まっすぐ目を刺したネオン韻踏む学生ローン
出かけよう湿った髪もそのままで風が吹くのでもう帰らない
2010年1月31日18:55
匿名さんのコメント...
佐橋です。今頃初投稿でごめんなさい。兄が結婚するので、それについて何となくつくりました。なお最後の歌は無関係ですが授業開始してすぐに考えた歌なのですが投稿の勝手がよく分からなくて放置してた歌です。
・今春に挙式する兄祝福す ポツリと我に「仮テンツモった…」
・メーテルが理想の女と言っていた 彼の背中は小さく見える
・式あげる ただそれだけで300万 既に自分もマリッジブルー
・酔い潰れ 病院起床でカテーテル そんな愚兄が家庭持つとは
・葬式と結婚式の相違点 曰く「当事者の生き死にだけ」と
・痣らしき 常は永久にぞ 右為の志士 寝ず見失しつる 冷めた抜き樺
2010年2月1日10:17
SAI さんのコメント...
前回は自殺・鬱についてのテーマで来たので、そのインスピレーションで投稿しようと思いました。私自身、出口の見えないトンネルを歩いているような気がしていた時期がありました。今もまだ、トンネルの中にいるのかもしれません。しかし、その先に光をイメージできるようになったのも事実です。どんな自分であれ、中途半端で不完全な自分であれすべて、引き受けて一歩踏み出していくこと、これがトンネルの中で学んだことです。過去はもう過ぎました、未来はまだやってきません。私たちの手の内にあるのは唯一、今という瞬間だけです。過去への後悔や、未来への不安も糧にして、思いっきりスパークしましょう!!
死にたいと思うあなたの本当は生きたいんだと他の誰より
いいんだよ弱さは弱さのままでいてそれがあなたの花になるから
弱いから大切なものに気付くんだたった一つのいのちの果てに
まっすぐだだから挫けもするだろうでも開いてこう今のまんまで
不完全それがスタートいつだって永遠の歌探しに行こうよ
ビーイング支え合って生きてきたまなざしたちは見守り続ける
ありがとう出会ってくれたもの総て道に咲く花ともに生きよう
2010年2月1日19:44
北寺瀬一さんのコメント...
雪ですねー!自転車に乗っていたら指が切れそうに痛かったです。
ギターより君から借りたニルヴァーナ ケースのヒビ割れ撫でる指先
「俺ギター弾くからお前、アレ買えよ」僕がベースを始めた理由
柑橘の色と香りが通過した中央線と踊る黒髪
ブレザーじゃ第二ボタンに意味はなく、こころに近いなにか下さい
2010年2月1日20:56
大沼貴英さんのコメント...
大沼です。一年間、ありがとうございました。でもこれで終わりにはしたくありません。今後ともよろしくお願いいたします。先生の仰る「まったく新しい、短歌ではなく別の名前で呼ばれるべき何か」を本当に出版できないものか、夢物語でなく、真剣に考えていきたいと思います。 では、とりあえず区切りの四首です。
卒業に寄せるうた四首
日曜の夜にシュガーベイブを聴いて泣くなら感傷ごと愛せよ俺
赤いカルボナーラとミルフィーユ。この相性も信じなきゃ嘘だよ。
夏なんです。秋なんです。冬なんです。卒業なんです。春なんです。
文学部四年が小学国語を教え「一番つまんないのが答え」
2010年2月1日23:41
礒部さんのコメント...
いそべです。短いあいだでしたが、この授業に参加できてよかったです。毎回皆さんの意見が聞けてとても勉強になりました。
もうすぐで電車が入るホームにて鳩が並んだ白線の上
押しつけた本を光が飲み込んで機械は紙に写し吐き出す
手芸屋のボタン売場の引き出しをすべて開けたし冬の日の午後
開かない自動扉の前にいてとっさに浮かぶ呪文のことば
真夜中の公園にあるブランコを自由に揺らす冷たい夜風
子どもから大人に変わり増えるのは心のなかの疑問符ばかり
2010年2月2日0:13
青木さんのコメント...
今夜の投稿をみて、みんな起きてるなーと思いました。
夢に出たギターを背負う女子高生 例えるならばティーンの匂い
高校の授業パスする二時間目 今日はきみとの青春ごっこ
帰りぎわメールアドレス聞けなくて戻ってこないブーメランする
いつまでもトライアングル鳴らしてる「何かあったの?」って聞いていい?
「すべて」とか「ぜんぶ」とかついまとめちゃう(でも、世界は単純かもね)
2010年2月2日1:08
青木さんのコメント...
■親睦会の出席を取ります!
■あと、こんなコメントの最後の方に書くのも何なのですが、10日の親睦会の出席を取りたいと思います。参加する人はこのコメント欄にその旨を表明してください。10日は18h15に馬場のロータリー集合にしましょうか。お店は、ロマーノというところを取りました。値段も比較的リーズナブルでまったり出来そうだったので。。。遅刻する人は適当に現地に赴いてください。東京都新宿区高田馬場2-14-27 村山ビル1F 03-3208-7388
2010年2月2日1:13
耳野さんのコメント...
とても変な時間にすみません。変な時間に眠ったせいか逆転しています。いまは雪がやんでいるようですね。
制服に拙ぬ唄声の横顔を仰ぐほど尊き我が情念よ
橙の窓辺より白き雪道と急くひと観て生きる今日は浮世絵
一瞬のセンタースポット浴びし後配送されしぼくは貸付屍体
緞帳色の泪だけ覆う仮面して肉曝すぼくらは青毒症だつた
声持たず食事せずとも息づいた乳肌のきみは創世主もどき
藍空に浮かぶ星採りては飴玉のよに呉れるきみよ成らなくていい
あ、親睦会 行きたいです。
2010年2月2日4:34
マツクラさんのコメント...
マツクラです。少ないですが投稿します
オレンジのバンダナ巻くとダサいけど蕎麦屋娘を蕎麦屋たらしめ
うつむくと泣いてるように見えるのを確かめもせず見つめてる
2010年2月2日12:50
叉旅猫目さんのコメント...
叉旅猫目です。一年間ありがとうございました。
ℓのキッコーマンがぼくたちの間で揺れる日曜の午後
真夜中のスタッカートが合図八分音符は街を駆け抜け
ぼくたちは白いページを黒くするために生まれたわけじゃないもの
2010年2月2日13:45
2010年1月22日金曜日
投稿作品12(2010年1月19日までの分)
19日で授業が終わりかと思ったら、まだ2月2日にもあったと聞き、ちょっと戸惑いました。一週間空いてしまうので、変な感じです。
ということで、2月2日が最後の授業。力作を投稿してください。
これまで作品を出していない人も、そろそろラストの頑張りを。
◆投稿作品12(2010年1月19日までの分)
炬燵さんのコメント...
炬燵です。もうこれがこの授業最後の短歌になりましょうか。後期はあまり参加できなかったのが悲しかったので、親睦会が楽しみです。行けると良いのですが。
愛とよりよい生き方をぼくたちに伝えて愛するシニアワールド
ワークライフきりとっているパートタイムぼくたちがいてきみたちがいる
きみに恋しているときのスタイルが笑えるいまのコーヒータイム
少し無理してやる気ふるい起こしたら知らない人とランチしましょう
2010年1月19日3:45
マツクラさんのコメント...
マツクラと申します。最後になって申し訳ないのですが初投稿です字数があってるのかもよくわからないのですがよろしくお願いします。
釘を打ち続ける間脳内で君に釘付けなんてループさせ
座布団を腕に巻き付け枕です 王子の昼は昼寝で過ぎて
君の詠む君ってどこのクソヤロウ。僕の知らないコブ付きベイビー
ゴキちゃんを殺す道具はクイックルワイパーがベストと我開眼す
マッサージでいつも治らぬ肩痛を爆乳だからとおどけてみせ
水筒のお茶の代わりのお湯割りのアルコールが刺す目鼻の痛み
印籠を開始5分で出したなら残り時間でどーする黄門
隣から不良少女の声がする 雨粒程の声をしぼりて
どっかの部屋の水の音 垂直に落ちるエレベーター状の悲しみ
2010年1月19日4:20
青木さんのコメント...
宴の幹事やりますよ☆
夜更けても返ってこないソナー波。油断してると涙が溢れる
すれ違う裸の心を寄せ合って一夜限りの星を見ている
教室の机の隙間に挟まってチョコを一緒に食べようよ
とめどなくNutellaを食べてしまう夜きみが突然尋ねてくる 夢
いいんだよ我慢しないで言っちゃえよfuck青春!fuck人生!
2010年1月19日8:51
SAI さんのコメント...
人知れず小高い丘の上に立つ若木はそっと風に憧れ
根を下ろしここに在るからできることふらつきながらももう逃げないと
さあ終わりさあ始まりさ何度でも永遠のうた永遠のうた
堅い殻種春宿すノックの音闇は光を隠せはしない
分かってる弱さだってね分かってるでも分かってる強さだってね分かってるんだ
見てごらんもっと周りを今ここにまだ見ぬ一歩は窓の外眠る
悲しみを飼いならしたものたちは今ここに立つここに今立つ
悲しみよやっと逢えたね悲しみよ私はずっと待っていたんだ
愛はただ人の心を満たすだけ溢れるだけの清らかな水
2010年1月19日9:18
大沼貴英さんのコメント...
大沼です。 いいですね、宴。行きたいです。
《愛のかたち、あるいは撥音の正しい使いかたに寄せるうた四首》
エイズの日タダより高いゴムはなくセーフセックスレスはなおセーフ
君の手で髪を撫でられる一瞬が不連続する微睡みのなか
海外ですごいPK止めたって日本人選手の後頭部
モーラ数 句の終わりの「ん」 はみ出した「ん」 前者は1で 後者ははんぶん
2010年1月19日10:10
耳野さんのコメント...
おはようございます。今年も最後ですね。宴よいですね、是非行きたいです
密蔦に埋もれた喫茶の窓席でトロイカ鳴りし昔を知れり
今は亡き地下店でペン執る亡霊を訪ぬぼくもまた透明探偵
細工窓透かし視る黒きトレンチを纏いし彼の珈琲製血管
ダッフルの裾より伸びし白脚で駆くるきみに痴る午后の終わりを
薄氷色春一番を蹂躙し猫背少年の行列は往く
2010年1月19日11:18
礒部さんのコメント...
こんにちは。いそべです。題詠マラソンに参加してみようかなと思ってます↓http://blog.goo.ne.jp/daieiblog2010
短歌を続けるきっかけにもなりそうなので、興味があるかたは見てみてください。
春近し口をとがらせ子どもらが口笛吹いて真似るうぐいす
新学期最前列で披露する美脚自慢の集合写真
身長を測るみたいに背を伸ばし壁にもたれて口づける夜
終電で家に着くころオリオンは屋根の真上の夜空にあって
言い訳を考えながら乗るバスは今日に限って各駅停車
取れそうでぶらぶらしてる右腕のボタン気にしてつかむつり革
ペン並ぶ売場で残す試し書き誰かの「あい」に付け足す「してる」
2010年1月19日12:01
北寺瀬一さんのコメント...
北寺瀬一です。今日が最終授業だそうですが…最後の最後まで駆け込み投稿ですみません。宴、是非とも参加したいです!!
F鳴らぬギター背負って音楽室へ(君はもうすぐ運命に出会う)
駅前でブレザー二枚押し込んで駆け抜ける真冬のシモキタ
レジメンタル元は規律を取るためのそれをゆるめて笑う三月
屋上のフェンスの向こうで踏み出す青 春終わらせぬための選択
2010年1月19日14:07
ということで、2月2日が最後の授業。力作を投稿してください。
これまで作品を出していない人も、そろそろラストの頑張りを。
◆投稿作品12(2010年1月19日までの分)
炬燵さんのコメント...
炬燵です。もうこれがこの授業最後の短歌になりましょうか。後期はあまり参加できなかったのが悲しかったので、親睦会が楽しみです。行けると良いのですが。
愛とよりよい生き方をぼくたちに伝えて愛するシニアワールド
ワークライフきりとっているパートタイムぼくたちがいてきみたちがいる
きみに恋しているときのスタイルが笑えるいまのコーヒータイム
少し無理してやる気ふるい起こしたら知らない人とランチしましょう
2010年1月19日3:45
マツクラさんのコメント...
マツクラと申します。最後になって申し訳ないのですが初投稿です字数があってるのかもよくわからないのですがよろしくお願いします。
釘を打ち続ける間脳内で君に釘付けなんてループさせ
座布団を腕に巻き付け枕です 王子の昼は昼寝で過ぎて
君の詠む君ってどこのクソヤロウ。僕の知らないコブ付きベイビー
ゴキちゃんを殺す道具はクイックルワイパーがベストと我開眼す
マッサージでいつも治らぬ肩痛を爆乳だからとおどけてみせ
水筒のお茶の代わりのお湯割りのアルコールが刺す目鼻の痛み
印籠を開始5分で出したなら残り時間でどーする黄門
隣から不良少女の声がする 雨粒程の声をしぼりて
どっかの部屋の水の音 垂直に落ちるエレベーター状の悲しみ
2010年1月19日4:20
青木さんのコメント...
宴の幹事やりますよ☆
夜更けても返ってこないソナー波。油断してると涙が溢れる
すれ違う裸の心を寄せ合って一夜限りの星を見ている
教室の机の隙間に挟まってチョコを一緒に食べようよ
とめどなくNutellaを食べてしまう夜きみが突然尋ねてくる 夢
いいんだよ我慢しないで言っちゃえよfuck青春!fuck人生!
2010年1月19日8:51
SAI さんのコメント...
人知れず小高い丘の上に立つ若木はそっと風に憧れ
根を下ろしここに在るからできることふらつきながらももう逃げないと
さあ終わりさあ始まりさ何度でも永遠のうた永遠のうた
堅い殻種春宿すノックの音闇は光を隠せはしない
分かってる弱さだってね分かってるでも分かってる強さだってね分かってるんだ
見てごらんもっと周りを今ここにまだ見ぬ一歩は窓の外眠る
悲しみを飼いならしたものたちは今ここに立つここに今立つ
悲しみよやっと逢えたね悲しみよ私はずっと待っていたんだ
愛はただ人の心を満たすだけ溢れるだけの清らかな水
2010年1月19日9:18
大沼貴英さんのコメント...
大沼です。 いいですね、宴。行きたいです。
《愛のかたち、あるいは撥音の正しい使いかたに寄せるうた四首》
エイズの日タダより高いゴムはなくセーフセックスレスはなおセーフ
君の手で髪を撫でられる一瞬が不連続する微睡みのなか
海外ですごいPK止めたって日本人選手の後頭部
モーラ数 句の終わりの「ん」 はみ出した「ん」 前者は1で 後者ははんぶん
2010年1月19日10:10
耳野さんのコメント...
おはようございます。今年も最後ですね。宴よいですね、是非行きたいです
密蔦に埋もれた喫茶の窓席でトロイカ鳴りし昔を知れり
今は亡き地下店でペン執る亡霊を訪ぬぼくもまた透明探偵
細工窓透かし視る黒きトレンチを纏いし彼の珈琲製血管
ダッフルの裾より伸びし白脚で駆くるきみに痴る午后の終わりを
薄氷色春一番を蹂躙し猫背少年の行列は往く
2010年1月19日11:18
礒部さんのコメント...
こんにちは。いそべです。題詠マラソンに参加してみようかなと思ってます↓http://blog.goo.ne.jp/daieiblog2010
短歌を続けるきっかけにもなりそうなので、興味があるかたは見てみてください。
春近し口をとがらせ子どもらが口笛吹いて真似るうぐいす
新学期最前列で披露する美脚自慢の集合写真
身長を測るみたいに背を伸ばし壁にもたれて口づける夜
終電で家に着くころオリオンは屋根の真上の夜空にあって
言い訳を考えながら乗るバスは今日に限って各駅停車
取れそうでぶらぶらしてる右腕のボタン気にしてつかむつり革
ペン並ぶ売場で残す試し書き誰かの「あい」に付け足す「してる」
2010年1月19日12:01
北寺瀬一さんのコメント...
北寺瀬一です。今日が最終授業だそうですが…最後の最後まで駆け込み投稿ですみません。宴、是非とも参加したいです!!
F鳴らぬギター背負って音楽室へ(君はもうすぐ運命に出会う)
駅前でブレザー二枚押し込んで駆け抜ける真冬のシモキタ
レジメンタル元は規律を取るためのそれをゆるめて笑う三月
屋上のフェンスの向こうで踏み出す青 春終わらせぬための選択
2010年1月19日14:07
2010年1月16日土曜日
必読短歌18 (寺山修司2)+投稿作品10+投稿作品11
1月12日に検討した寺山修司作品(2)にあわせて、投稿作品10(12月22日までの分)と投稿作品11(1月12日までの分)をアップしておきます。
さて、2009年度の授業もそろそろ終わり。1月終わりから2月あたりに、たら~っとした親睦の宴でもしましょうか。このブログ、最後の授業のある19日までは作品投稿用に用いるとして、その後はよさそうな日時を決めるための掲示板にしちゃおうと思います。だれか幹事さん、買って出てくれないですか?
◆寺山修司(てらやましゅうじ) 一九三五~一九八三 その2◆
とびやすき葡萄の汁で汚すなかれ虐げられし少年の詩を
わが通る果樹園の小屋いつも暗く父と呼びたき番人が棲む
そら豆の殻一せいに鳴る夕母につながるわれのソネット
吊るされて玉葱芽ぐむ納屋ふかくツルゲネエフをはじめて読みき
草の笛吹くを切なく聞きており告白以前の愛とは何ぞ
蛮声をあげて九月の森に入れりハイネのために学をあざむき
雲雀の血すこしにじみしわがシャツに時経てもなおさみしき凱歌
傷つきてわれらの夏も過ぎゆけり帆はかがやきていま樹間過ぐ
歳月がわれを呼ぶ声にふりむけば地を恋う雲雀はるかに高し
失いし言葉がみんな生きるとき夕焼ており種子も破片も
遠い空に何かを忘れて来しわれが雲雀の卵地にみつめおり
向日葵は枯れつつ花を捧げおり父の墓標はわれより低し
冬の斧たてかけてある壁にさし陽は強まれり家継ぐべしや
北へ走る鉄路に立てば胸いづるトロイカもすぐわれを捨てゆく
さむきわが射程のなかにさだまりし屋根の雀は母かもしれぬ
冬菜屑うかべし川にうつさるるわれに敗者の微笑はありや
われの神なるやも知れぬ冬の鳩を撃ちて硝煙あげつつ帰る
胸にひらく海の花火を見てかえりひとりの鍵を音たてて挿す
◆投稿作品10(12月22日までの分)◆
うぐいすさんのコメント...
見え透いた嘘をつきつつ生きる日々誠意はあるか誇りはあるか
吾が夢を語る友なく一人ただ牛丼かきこみ店をあとにす
意地っぱり素直になれぬ親の前「見合いせよ」との声を無視して
恋をする回路が壊れ幾年も復旧させず「そのままでよし」
眠るだけそれが出来ずに悩みをり犬の寝顔をじっと見つめる
濁り無き澄んだ犬の眼見通せり吾の孤独の深きなること
2009年12月15日16:47
匿名さんのコメント...
クロです。少し前に恋人と別れ、作ったものです。
声を聞き気づく事実に息をのみ追ってみるけどわずかに及ばず
出るものは音水空気感じるは浮かぶ宇宙と1人の不在
りんかくをつかめていると思いこみ手がとけこんで初めて気づく
かくせない考え思い知ればこそわかっていたのに動かなかった
最後にはにおいが残る犬を見て思い出したはあの人の香
2009年12月22日2:02
青木さんのコメント...
先生が写真を貼っていたので、僕は音楽を張ってみます。
http://www.youtube.com/watch?v=BwF9G3-XhBc
髪型を同じにすれば同じ顔の兄弟姉妹がホームに並ぶ
ひそやかに寝息をたてるカリオカの肌にゆっくりロウソクを立てる
寝る前に睡眠薬を飲んでいる妻の殺意に子供の寝顔
五年目の皆勤賞を受け取った同僚のする離婚相談
本名も血液型も知っているきみに尋ねる「お名前は何?」
2009年12月22日10:28
マナ子さんのコメント...
実家の猫は、人を「適当にあしらう」ということを知っているような気がします。年齢のせい…?年内最後の授業ですが、用事で出席できなくなってしまいました。投稿だけしていきます。
洋梨と五歳の君の「なーんだ?」優しいものとは答えは“ぼく”
紅玉の酸いも甘いも噛みわけて蜜は凍らぬ0°の朝も
闇の奥 星かと思えば手が届く おや、寝ていた やがて19時
桃色のくちびる左右吊りあげて香水瓶が乙女の形してる
逆光を背負った人が一人来る 似てはいるが待ち人と違う
さっきまで確かに覚えていた夢がもう気配もない白湯の冷める頃
2009年12月22日11:00
澁谷美香さんのコメント...
ソーシキで死んだアイツが弾くギター ・・・死んだフリでしょ・・・?
黒人さんは笑いながら怒ります。つぶらなつぶらな瞳の奥で
23の夜に眠って25に起きるの、なんてナイスなアイデア!
2009年12月22日11:35
マルディさんのコメント...
おはようございます。私が仲良くしている猫は、食事のあと必ずきちんとストレッチをします。いつもえらいなぁと思いながら見ています。
わが胸ときみの腿にあるという傷の交歓いつの日か来る
クリスマス冥界からの電話待つあの娘が歌う主は来ませり
零れ落ちるピアノみたい 鳥たちが離れていった空の五線譜
2009年12月22日11:40
礒部さんのコメント...
いそべです。やっと卒論から解放されたので久しぶりに歌を作りました。
道端に続く行列追いかけて地下の世界の入口に着く
年末の本屋に並ぶカレンダー 暖簾のように吊り下げられて
意味なんて知らないけれど手をつなぎ歌うキャロルは聖夜に響く
店先で告げる時刻にあらわれる時間通りの焼きたてのパン
玄関で整列してる雪だるま 「ただいま」の頃また会えるかな
マス目から飛び出しそうなひらがなで夢が書かれた作文用紙
境内のいたるところに飾られた絵馬の数だけ願いは揺れて
2009年12月22日11:44
北寺瀬一さんのコメント...
こんにちは、北寺瀬一です。先日、ペットショップで売り物のにゃんこを手懐けてきました。にゃんこかわいいにゃんこ…サンタさん…。失礼しました、今回は学校縛りです。
教卓の真ん前の席で爆睡できる君の諸々うらやましいです
校長の「えー」の回数数えてる彼は今年で十九のウワサ
先生のイスで待たされ十五分底冷えのする理科準備室
並び立つ爪先の色が違うので先輩はやっぱり先輩ですね
「放課後、指導室へ来なさい」なんて期待するなという方がムリ!
2009年12月22日11:57
耳野さんのコメント...
こんにちは、耳野です。例のインフルエンザにかかったり、クリスマス前の年末進行だったり忙しいような暇なような、変な2週間を過ごしてしまいました。
白昼の残響は音無閑々と幾ツ頃よりうつくしがらずや
臓物の黒陰は夜長のシリンダー目盛り浮く度疼き啼くなり
袖口より血と宝石とを滴らせ嗚呼我が瞼の少年仮面
白ケ空刺して聳ゆる新宿の伊勢丹は屈式ローマンス堂
蛍光三角二重にぶれて六芒星DJファウストの夜は輪廻し
2009年12月22日12:17
炬燵さんのコメント...
炬燵です。後期の授業がはじまって相当日数がたつというのに、欠席ばかりで、しかも今日が初提出です。後期からの方は掲示板でははじめまして。前期には結構精力的に作品を出していたので、もしよければ読んでください。
大沼さんのいうウェブでの短歌ライブ。http://twitter.com/#search?q=%23tankaで行われているのを僕はフォローしていて、twitter以外のミニブログでも行われていますが、(一部では僕も参加しています)すでに大衆の短歌はライブ化されてきていますね。これにライブ的な付加価値が加わるとよいのに、と思うのですが、個人的にはモバイルのGPS機能と連動させて、位置情報と紐付けられるシステムが面白いのでは、と考えていまして……失敬、これでは短歌の話というより、ウェブサービスの話になってしまいますね。それでは、初提出に7首。全部恋愛の歌で、恋の歌じゃなくて愛の歌で、全部結局同じ内容の歌です。
どれくらい混ぜればひとつになれるのか自問に自答のホテルロビーで
がんばって素敵な呪文をとなえようとバレバレなのがさかさまな魔法
ああキミはキミのライフスタイルばっかりじゃない? もっと楽しめるパーフェクトミュージック
思い出に迷わないでポップコーンチョイスです 過去が変わっちゃう年ごろなので
会うときだけでいいじゃないって迂闊からフレグランスも準備不足ね
この恋は終わったってときの大掃除ブログに書いてた君をからかう
理想との差まで愛せるところからスタートしててスピードゆるめ
2009年12月22日13:01
◆投稿作品11(2010年1月12日までの分)◆
炬燵さんのコメント...
炬燵です。新年ですが、年頭の挨拶は喪中につき差し控えます。2010年ですね。あっという間にゼロ年代終わっちゃいましたね。それでは10年代の短歌を読んでいきましょう。
テクノロジーぼくらのさみしさテクノロジーうめてくれるのふさいでくれるの
プログラムの愛に「それでも愛する」がプラスされてもなにがたりない
タイミング次第でかみあう四次元の2ピースだけのパズルの名前
2010年1月5日2:35
マナ子さんのコメント...
あけましておめでとうございます。2000年だ!って大騒ぎしたのが、もう10年も前だとは・・ 出来の良し悪しはわかりませんが、自分では好きな三首を投稿します。
早咲きの梅はめじろに啄ばまれ まだまだ咲くよまだ咲くよう
朝になる 喉がまたひび割れてゐる うすい粥をばのまねばならぬ
あたしのがずっとあいしてるんだからやさしくしなさいのぶれすおぶりじゅ
2010年1月8日13:43
時間さんのコメント...
時間です。10首投稿します。よろしくお願いします。
○ 時ここに来てあらわに短く奪われたか長くも感じず流れ尽きてたゆたう
○ 小松菜の根が重ねるように力強く寒さが地から這い上がる喜びと呼ぶか皮肉を感じて
○ ブロッコリー日に日に大きくなるのは冬かそれと同時に身体も浮くようになる
○ 赤々と鮮やかな色に眼が冴えるずしりと重いトマトの色気よ
○ 毎日が繰り返すように立ち去りて今日と昨日と明後日が漂いながれる
○ 地に逆らうよう身体はずませ時の経過をおもんばからず前にだけ進めといった
○ 夜更けて継続的に実をかじる指が求める怠惰に任せて
○ 水を含む身体が洗われるが如く舞い上がりて中空へ放つ
○ 何もせず何も成されず辿り着いたは魚屋の面影吊るされた籠が気になる
○ 目立つばかりを考えて朱色と銅像うなぎが二匹、只濃いだけでいいのか
2010年1月9日20:12
耳野さんのコメント...
明けましておめでとうございます。毎日寒いですね、今年もどうぞよろしくお願いします。
白熱光のごとく枝垂れよ冬蜃気紅白煙突銜えるきみへ
靑印を捺した薬紙の幾重にも折られ縮れしノスタルジヤに、
詰襟を緩めし隣の襟足が我が心軸へと鉄杭討ちて
年毎にきみよ我が骨中埋むとも洞傷からは塵雪ばかり
天吊らる少年屍体と為りて猶我がキリストはいなかのじけん
2010年1月11日13:17
礒部さんのコメント...
いそべです。授業も残り少ないですが、今年もよろしくお願いします。
沈黙のエレベーターに乗る人の視線集める階数表示町はずれ閉店近いケーキ屋の前を過ぎれば目につく苺いつからか切符売り場の前に立ち運賃表を見上げなくなり今ここに私がいないこと示す宅配便の不在届けよ目の前でスポーツ新聞めくりだし男は読めと言わんばかりに替え歌を披露している通学路並んで帰る冬の夕暮れ片手にはのらない数の歳になる節分の日の豆を見ながら
2010年1月11日23:45
青木さんのコメント...
あけましておめでとうございます。
いつまでもタイミングばかり計ってる人生だったと最後の言葉
部屋中にレモンタルトを焼く香り溢れさせたら幸せになる
2010年1月12日8:39
マルディさんのコメント...
おはようございます。昨年末、掃除をさぼって読んでいたフィガロジャポンにアナイス・ニンの特集があったのですが、その見出しには「元祖ブロガ―」…。21世紀にアナイスが生きていたとして、彼女はブログを書くタイプだろうか?そんなことを考えながらの年越しでした。今年もよろしくお願いいたします。
ヘンリーが、~の、~は、アナイスの日記を満たすヘンリー・ミラー
恋っぽい熱でなに求めなに恐れて我をただすの?
きみ年若いヘンリー・ミラーねなにひとつ望まぬ私のその横で
日々立ち上がり消えていくものその線に従うように分解す
鏡開きの日の空は透明僕だって頑張ってると叫んでる黒南天の下でするキス
2010年1月12日9:10
さて、2009年度の授業もそろそろ終わり。1月終わりから2月あたりに、たら~っとした親睦の宴でもしましょうか。このブログ、最後の授業のある19日までは作品投稿用に用いるとして、その後はよさそうな日時を決めるための掲示板にしちゃおうと思います。だれか幹事さん、買って出てくれないですか?
◆寺山修司(てらやましゅうじ) 一九三五~一九八三 その2◆
とびやすき葡萄の汁で汚すなかれ虐げられし少年の詩を
わが通る果樹園の小屋いつも暗く父と呼びたき番人が棲む
そら豆の殻一せいに鳴る夕母につながるわれのソネット
吊るされて玉葱芽ぐむ納屋ふかくツルゲネエフをはじめて読みき
草の笛吹くを切なく聞きており告白以前の愛とは何ぞ
蛮声をあげて九月の森に入れりハイネのために学をあざむき
雲雀の血すこしにじみしわがシャツに時経てもなおさみしき凱歌
傷つきてわれらの夏も過ぎゆけり帆はかがやきていま樹間過ぐ
歳月がわれを呼ぶ声にふりむけば地を恋う雲雀はるかに高し
失いし言葉がみんな生きるとき夕焼ており種子も破片も
遠い空に何かを忘れて来しわれが雲雀の卵地にみつめおり
向日葵は枯れつつ花を捧げおり父の墓標はわれより低し
冬の斧たてかけてある壁にさし陽は強まれり家継ぐべしや
北へ走る鉄路に立てば胸いづるトロイカもすぐわれを捨てゆく
さむきわが射程のなかにさだまりし屋根の雀は母かもしれぬ
冬菜屑うかべし川にうつさるるわれに敗者の微笑はありや
われの神なるやも知れぬ冬の鳩を撃ちて硝煙あげつつ帰る
胸にひらく海の花火を見てかえりひとりの鍵を音たてて挿す
◆投稿作品10(12月22日までの分)◆
うぐいすさんのコメント...
見え透いた嘘をつきつつ生きる日々誠意はあるか誇りはあるか
吾が夢を語る友なく一人ただ牛丼かきこみ店をあとにす
意地っぱり素直になれぬ親の前「見合いせよ」との声を無視して
恋をする回路が壊れ幾年も復旧させず「そのままでよし」
眠るだけそれが出来ずに悩みをり犬の寝顔をじっと見つめる
濁り無き澄んだ犬の眼見通せり吾の孤独の深きなること
2009年12月15日16:47
匿名さんのコメント...
クロです。少し前に恋人と別れ、作ったものです。
声を聞き気づく事実に息をのみ追ってみるけどわずかに及ばず
出るものは音水空気感じるは浮かぶ宇宙と1人の不在
りんかくをつかめていると思いこみ手がとけこんで初めて気づく
かくせない考え思い知ればこそわかっていたのに動かなかった
最後にはにおいが残る犬を見て思い出したはあの人の香
2009年12月22日2:02
青木さんのコメント...
先生が写真を貼っていたので、僕は音楽を張ってみます。
http://www.youtube.com/watch?v=BwF9G3-XhBc
髪型を同じにすれば同じ顔の兄弟姉妹がホームに並ぶ
ひそやかに寝息をたてるカリオカの肌にゆっくりロウソクを立てる
寝る前に睡眠薬を飲んでいる妻の殺意に子供の寝顔
五年目の皆勤賞を受け取った同僚のする離婚相談
本名も血液型も知っているきみに尋ねる「お名前は何?」
2009年12月22日10:28
マナ子さんのコメント...
実家の猫は、人を「適当にあしらう」ということを知っているような気がします。年齢のせい…?年内最後の授業ですが、用事で出席できなくなってしまいました。投稿だけしていきます。
洋梨と五歳の君の「なーんだ?」優しいものとは答えは“ぼく”
紅玉の酸いも甘いも噛みわけて蜜は凍らぬ0°の朝も
闇の奥 星かと思えば手が届く おや、寝ていた やがて19時
桃色のくちびる左右吊りあげて香水瓶が乙女の形してる
逆光を背負った人が一人来る 似てはいるが待ち人と違う
さっきまで確かに覚えていた夢がもう気配もない白湯の冷める頃
2009年12月22日11:00
澁谷美香さんのコメント...
ソーシキで死んだアイツが弾くギター ・・・死んだフリでしょ・・・?
黒人さんは笑いながら怒ります。つぶらなつぶらな瞳の奥で
23の夜に眠って25に起きるの、なんてナイスなアイデア!
2009年12月22日11:35
マルディさんのコメント...
おはようございます。私が仲良くしている猫は、食事のあと必ずきちんとストレッチをします。いつもえらいなぁと思いながら見ています。
わが胸ときみの腿にあるという傷の交歓いつの日か来る
クリスマス冥界からの電話待つあの娘が歌う主は来ませり
零れ落ちるピアノみたい 鳥たちが離れていった空の五線譜
2009年12月22日11:40
礒部さんのコメント...
いそべです。やっと卒論から解放されたので久しぶりに歌を作りました。
道端に続く行列追いかけて地下の世界の入口に着く
年末の本屋に並ぶカレンダー 暖簾のように吊り下げられて
意味なんて知らないけれど手をつなぎ歌うキャロルは聖夜に響く
店先で告げる時刻にあらわれる時間通りの焼きたてのパン
玄関で整列してる雪だるま 「ただいま」の頃また会えるかな
マス目から飛び出しそうなひらがなで夢が書かれた作文用紙
境内のいたるところに飾られた絵馬の数だけ願いは揺れて
2009年12月22日11:44
北寺瀬一さんのコメント...
こんにちは、北寺瀬一です。先日、ペットショップで売り物のにゃんこを手懐けてきました。にゃんこかわいいにゃんこ…サンタさん…。失礼しました、今回は学校縛りです。
教卓の真ん前の席で爆睡できる君の諸々うらやましいです
校長の「えー」の回数数えてる彼は今年で十九のウワサ
先生のイスで待たされ十五分底冷えのする理科準備室
並び立つ爪先の色が違うので先輩はやっぱり先輩ですね
「放課後、指導室へ来なさい」なんて期待するなという方がムリ!
2009年12月22日11:57
耳野さんのコメント...
こんにちは、耳野です。例のインフルエンザにかかったり、クリスマス前の年末進行だったり忙しいような暇なような、変な2週間を過ごしてしまいました。
白昼の残響は音無閑々と幾ツ頃よりうつくしがらずや
臓物の黒陰は夜長のシリンダー目盛り浮く度疼き啼くなり
袖口より血と宝石とを滴らせ嗚呼我が瞼の少年仮面
白ケ空刺して聳ゆる新宿の伊勢丹は屈式ローマンス堂
蛍光三角二重にぶれて六芒星DJファウストの夜は輪廻し
2009年12月22日12:17
炬燵さんのコメント...
炬燵です。後期の授業がはじまって相当日数がたつというのに、欠席ばかりで、しかも今日が初提出です。後期からの方は掲示板でははじめまして。前期には結構精力的に作品を出していたので、もしよければ読んでください。
大沼さんのいうウェブでの短歌ライブ。http://twitter.com/#search?q=%23tankaで行われているのを僕はフォローしていて、twitter以外のミニブログでも行われていますが、(一部では僕も参加しています)すでに大衆の短歌はライブ化されてきていますね。これにライブ的な付加価値が加わるとよいのに、と思うのですが、個人的にはモバイルのGPS機能と連動させて、位置情報と紐付けられるシステムが面白いのでは、と考えていまして……失敬、これでは短歌の話というより、ウェブサービスの話になってしまいますね。それでは、初提出に7首。全部恋愛の歌で、恋の歌じゃなくて愛の歌で、全部結局同じ内容の歌です。
どれくらい混ぜればひとつになれるのか自問に自答のホテルロビーで
がんばって素敵な呪文をとなえようとバレバレなのがさかさまな魔法
ああキミはキミのライフスタイルばっかりじゃない? もっと楽しめるパーフェクトミュージック
思い出に迷わないでポップコーンチョイスです 過去が変わっちゃう年ごろなので
会うときだけでいいじゃないって迂闊からフレグランスも準備不足ね
この恋は終わったってときの大掃除ブログに書いてた君をからかう
理想との差まで愛せるところからスタートしててスピードゆるめ
2009年12月22日13:01
◆投稿作品11(2010年1月12日までの分)◆
炬燵さんのコメント...
炬燵です。新年ですが、年頭の挨拶は喪中につき差し控えます。2010年ですね。あっという間にゼロ年代終わっちゃいましたね。それでは10年代の短歌を読んでいきましょう。
テクノロジーぼくらのさみしさテクノロジーうめてくれるのふさいでくれるの
プログラムの愛に「それでも愛する」がプラスされてもなにがたりない
タイミング次第でかみあう四次元の2ピースだけのパズルの名前
2010年1月5日2:35
マナ子さんのコメント...
あけましておめでとうございます。2000年だ!って大騒ぎしたのが、もう10年も前だとは・・ 出来の良し悪しはわかりませんが、自分では好きな三首を投稿します。
早咲きの梅はめじろに啄ばまれ まだまだ咲くよまだ咲くよう
朝になる 喉がまたひび割れてゐる うすい粥をばのまねばならぬ
あたしのがずっとあいしてるんだからやさしくしなさいのぶれすおぶりじゅ
2010年1月8日13:43
時間さんのコメント...
時間です。10首投稿します。よろしくお願いします。
○ 時ここに来てあらわに短く奪われたか長くも感じず流れ尽きてたゆたう
○ 小松菜の根が重ねるように力強く寒さが地から這い上がる喜びと呼ぶか皮肉を感じて
○ ブロッコリー日に日に大きくなるのは冬かそれと同時に身体も浮くようになる
○ 赤々と鮮やかな色に眼が冴えるずしりと重いトマトの色気よ
○ 毎日が繰り返すように立ち去りて今日と昨日と明後日が漂いながれる
○ 地に逆らうよう身体はずませ時の経過をおもんばからず前にだけ進めといった
○ 夜更けて継続的に実をかじる指が求める怠惰に任せて
○ 水を含む身体が洗われるが如く舞い上がりて中空へ放つ
○ 何もせず何も成されず辿り着いたは魚屋の面影吊るされた籠が気になる
○ 目立つばかりを考えて朱色と銅像うなぎが二匹、只濃いだけでいいのか
2010年1月9日20:12
耳野さんのコメント...
明けましておめでとうございます。毎日寒いですね、今年もどうぞよろしくお願いします。
白熱光のごとく枝垂れよ冬蜃気紅白煙突銜えるきみへ
靑印を捺した薬紙の幾重にも折られ縮れしノスタルジヤに、
詰襟を緩めし隣の襟足が我が心軸へと鉄杭討ちて
年毎にきみよ我が骨中埋むとも洞傷からは塵雪ばかり
天吊らる少年屍体と為りて猶我がキリストはいなかのじけん
2010年1月11日13:17
礒部さんのコメント...
いそべです。授業も残り少ないですが、今年もよろしくお願いします。
沈黙のエレベーターに乗る人の視線集める階数表示町はずれ閉店近いケーキ屋の前を過ぎれば目につく苺いつからか切符売り場の前に立ち運賃表を見上げなくなり今ここに私がいないこと示す宅配便の不在届けよ目の前でスポーツ新聞めくりだし男は読めと言わんばかりに替え歌を披露している通学路並んで帰る冬の夕暮れ片手にはのらない数の歳になる節分の日の豆を見ながら
2010年1月11日23:45
青木さんのコメント...
あけましておめでとうございます。
いつまでもタイミングばかり計ってる人生だったと最後の言葉
部屋中にレモンタルトを焼く香り溢れさせたら幸せになる
2010年1月12日8:39
マルディさんのコメント...
おはようございます。昨年末、掃除をさぼって読んでいたフィガロジャポンにアナイス・ニンの特集があったのですが、その見出しには「元祖ブロガ―」…。21世紀にアナイスが生きていたとして、彼女はブログを書くタイプだろうか?そんなことを考えながらの年越しでした。今年もよろしくお願いいたします。
ヘンリーが、~の、~は、アナイスの日記を満たすヘンリー・ミラー
恋っぽい熱でなに求めなに恐れて我をただすの?
きみ年若いヘンリー・ミラーねなにひとつ望まぬ私のその横で
日々立ち上がり消えていくものその線に従うように分解す
鏡開きの日の空は透明僕だって頑張ってると叫んでる黒南天の下でするキス
2010年1月12日9:10
2009年12月24日木曜日
必読短歌17 (小中英之+荻原裕幸+大辻隆之)
12月22日の授業で取り上げた歌人たちとその作品を載せておきます。ひとりひとり異なった背景を持ち、歌の発生においても同一ではないのですが、このあたりの歌人となると、文芸好きの人たちにとっても、実際は縁遠くなってしまっているのが現代短歌の現実。
我々のささやかな授業時間は、こういった作品群に、突発的な事故のように遭遇してもらってしまう場です。 文芸の特徴は、さっきまで知らなかった作り手や作品にふいに触れることによって、自分たちの内的世界がガラッと変わってしまうということ。短歌を読むという行為も、控え目に言っても、目や耳を通して入ってくる一首一首によって、内的世界の様相を変容させ続けていくことだと言えるでしょう。
他人の作ったものに触れることの喜び、救済。大袈裟ではなく、そう考えておくべき面が、文芸作品というものにはやはりあります。
◆小中英之(こなか ひでゆき) 一九三七~二〇〇一◆
昼顔のかなた炎えつつ神神の領たりし日といづれかぐはし
氷片にふるるがごとくめざめたり患むこと神にえらばれたるや
月射せばすすきみみづく薄光りほほゑみのみとなりゆく世界
遠景をしぐれいくたび明暗の創(きず)のごとくに水うごきたり
花びらはくれなゐうすく咲き満ちてこずゑの重さはかりがたしも
身辺をととのへゆかな春なれば手紙ひとたば草上に燃す
螢田てふ駅に降りたち一分の間(かん)にみたざる虹とあひたり
鶏ねむる村の東西南北にぼあーんぼあーんと桃の花見ゆ
死ぬる日をこばまずこはず桃の花咲く朝ひとりすすぐ口はも
つはぶきの花は日ざしをかうむりて至福のごとき黄の時間あり
六月はうすずみの界ひと籠に盛られたる枇杷運ばれて行く
無花果のしづまりふかく蜜ありてダージリンまでゆきたき日ぐれ
春をくる風の荒びやうつし身の原初(はじめ)は耳より成りたるならむ
今しばし死までの時間あるごとくこの世にあはれ花の咲く駅
芹つむを夢にとどめて黙ふかく疾みつつ春の過客なるべし
みづからをいきどほりつつなだめつつ花の終りをとほく眺めつ
花馬酔木いく夜か白しうらがなしふくろふ星雲うるむ夜あらむ
座につきてあはれ箸とる行為さへあと幾年のやさしさならむ
◆荻原裕幸(おぎわら ひろゆき) 一九六二~◆
政治がまた知らないうちにみづいろに傾いてぼくの世界を齧る
▼▼▼▼▼ココガ戦場?▼▼▼▼▼抗議シテヤル▼▼▼▼▼BOMB!
恋人と棲むよろこびもかなしみもぽぽぽぽぽぽとしか思はれず
春の日はぶたぶたこぶたわれは今ぶたぶたこぶた睡るしかない
天王星に買つた避暑地のあさがほに夏が来たのを報せておかう
ほらあれさ何て言ふのか晴朗なあれだよパイナップルの彼方の
はつなつのあをを含んで真夜中のすかいらーくにゐる生活を
三越のライオンに手を触れるひとりふたりさんにん、何の力だ
ぼくはいま、以下につらなる鮮明な述語なくしてたつ夜の虹
ぎんいろの缶からきんの水あふれ光くるくるまはる、以下略
戦争が(どの戦争が?)終つたら紫陽花を見にゆくつもりです
しみじみとわれの孤独を照らしをり札幌麦酒のこの一つ星
顎つよき愛犬を街にときはなつ銀色の秋くはえてかへれ
伝言板のこの寂しさはどんな奴「千年タツタラドコカデ逢ハウ」
母か堕胎か決めかねてゐる恋人の火星の雪のやうな顔つき
(結婚+ナルシシズム)の解答を出されて犀の一日である
月曜日の朝かへりきてノブのQOQOQQOQQOQ
間違へてみどりに塗つたしまうまが夏のすべてを支配してゐる
◆大辻隆弘(おおつじ たかひろ) 一九六〇~◆
指からめあふとき風の谿は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ
疾風にみどりみだるれ若き日はやすらかに過ぐ思ひゐしより
十代の吾に見えざりしものなべて優しからむか 闇洗ふ雨
山羊小屋に山羊の瞳のひそけきを我に見せしめし若き父はや
青嵐ゆふあらし過ぎ街路樹にわが歌ひ得ぬものらはさやぐ
やがてわが街をぬらさむ夜の雨を受話器の底の声は告げゐる
あぢさゐにさびしき紺をそそぎゐる直立の雨、そのかぐはしさ
青春はたとへば流れ解散のごときわびしさ杯をかかげて
星合といふバス停にバスを待つぼくたち、夏の風をみつめて
朝庭に空き瓶を積むひびきして陽ざし触れあふごときその音
ほのしろき夜明けにとほき梨咲いてこのあかるさに世界は滅ぶ
あけがたは耳さむく聴く雨だれのポル・ポトといふ名を持つをとこ
つまりつらい旅の終りだ 西日さす部屋にほのかに浮ぶ夕椅子
子を乗せて木馬しづかに沈むときこの子さへ死ぬのかと思ひき
ああ父はまどかに老いて盗みたる梅の若枝(わくえ)を挿し木してゐる
縁さむくかがやく壺ゆひとすぢの乳(ち)はよぢれつつ注がれてゐつ
紐育空爆之図の壮快よ、われらかく長くながく待ちゐき
突つ込んでゆくとき声に神の名を呼びしか呼びて神は見えしか
我々のささやかな授業時間は、こういった作品群に、突発的な事故のように遭遇してもらってしまう場です。 文芸の特徴は、さっきまで知らなかった作り手や作品にふいに触れることによって、自分たちの内的世界がガラッと変わってしまうということ。短歌を読むという行為も、控え目に言っても、目や耳を通して入ってくる一首一首によって、内的世界の様相を変容させ続けていくことだと言えるでしょう。
他人の作ったものに触れることの喜び、救済。大袈裟ではなく、そう考えておくべき面が、文芸作品というものにはやはりあります。
◆小中英之(こなか ひでゆき) 一九三七~二〇〇一◆
昼顔のかなた炎えつつ神神の領たりし日といづれかぐはし
氷片にふるるがごとくめざめたり患むこと神にえらばれたるや
月射せばすすきみみづく薄光りほほゑみのみとなりゆく世界
遠景をしぐれいくたび明暗の創(きず)のごとくに水うごきたり
花びらはくれなゐうすく咲き満ちてこずゑの重さはかりがたしも
身辺をととのへゆかな春なれば手紙ひとたば草上に燃す
螢田てふ駅に降りたち一分の間(かん)にみたざる虹とあひたり
鶏ねむる村の東西南北にぼあーんぼあーんと桃の花見ゆ
死ぬる日をこばまずこはず桃の花咲く朝ひとりすすぐ口はも
つはぶきの花は日ざしをかうむりて至福のごとき黄の時間あり
六月はうすずみの界ひと籠に盛られたる枇杷運ばれて行く
無花果のしづまりふかく蜜ありてダージリンまでゆきたき日ぐれ
春をくる風の荒びやうつし身の原初(はじめ)は耳より成りたるならむ
今しばし死までの時間あるごとくこの世にあはれ花の咲く駅
芹つむを夢にとどめて黙ふかく疾みつつ春の過客なるべし
みづからをいきどほりつつなだめつつ花の終りをとほく眺めつ
花馬酔木いく夜か白しうらがなしふくろふ星雲うるむ夜あらむ
座につきてあはれ箸とる行為さへあと幾年のやさしさならむ
◆荻原裕幸(おぎわら ひろゆき) 一九六二~◆
政治がまた知らないうちにみづいろに傾いてぼくの世界を齧る
▼▼▼▼▼ココガ戦場?▼▼▼▼▼抗議シテヤル▼▼▼▼▼BOMB!
恋人と棲むよろこびもかなしみもぽぽぽぽぽぽとしか思はれず
春の日はぶたぶたこぶたわれは今ぶたぶたこぶた睡るしかない
天王星に買つた避暑地のあさがほに夏が来たのを報せておかう
ほらあれさ何て言ふのか晴朗なあれだよパイナップルの彼方の
はつなつのあをを含んで真夜中のすかいらーくにゐる生活を
三越のライオンに手を触れるひとりふたりさんにん、何の力だ
ぼくはいま、以下につらなる鮮明な述語なくしてたつ夜の虹
ぎんいろの缶からきんの水あふれ光くるくるまはる、以下略
戦争が(どの戦争が?)終つたら紫陽花を見にゆくつもりです
しみじみとわれの孤独を照らしをり札幌麦酒のこの一つ星
顎つよき愛犬を街にときはなつ銀色の秋くはえてかへれ
伝言板のこの寂しさはどんな奴「千年タツタラドコカデ逢ハウ」
母か堕胎か決めかねてゐる恋人の火星の雪のやうな顔つき
(結婚+ナルシシズム)の解答を出されて犀の一日である
月曜日の朝かへりきてノブのQOQOQQOQQOQ
間違へてみどりに塗つたしまうまが夏のすべてを支配してゐる
◆大辻隆弘(おおつじ たかひろ) 一九六〇~◆
指からめあふとき風の谿は見ゆ ひざのちからを抜いてごらんよ
疾風にみどりみだるれ若き日はやすらかに過ぐ思ひゐしより
十代の吾に見えざりしものなべて優しからむか 闇洗ふ雨
山羊小屋に山羊の瞳のひそけきを我に見せしめし若き父はや
青嵐ゆふあらし過ぎ街路樹にわが歌ひ得ぬものらはさやぐ
やがてわが街をぬらさむ夜の雨を受話器の底の声は告げゐる
あぢさゐにさびしき紺をそそぎゐる直立の雨、そのかぐはしさ
青春はたとへば流れ解散のごときわびしさ杯をかかげて
星合といふバス停にバスを待つぼくたち、夏の風をみつめて
朝庭に空き瓶を積むひびきして陽ざし触れあふごときその音
ほのしろき夜明けにとほき梨咲いてこのあかるさに世界は滅ぶ
あけがたは耳さむく聴く雨だれのポル・ポトといふ名を持つをとこ
つまりつらい旅の終りだ 西日さす部屋にほのかに浮ぶ夕椅子
子を乗せて木馬しづかに沈むときこの子さへ死ぬのかと思ひき
ああ父はまどかに老いて盗みたる梅の若枝(わくえ)を挿し木してゐる
縁さむくかがやく壺ゆひとすぢの乳(ち)はよぢれつつ注がれてゐつ
紐育空爆之図の壮快よ、われらかく長くながく待ちゐき
突つ込んでゆくとき声に神の名を呼びしか呼びて神は見えしか
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